3 / 101
第3話 思いがけない出会い
しおりを挟む
「ハ~イ、あなたチャイニーズ?
それともジャパニーズ?」
「僕ですか?」
初めての授業の日、僕の隣の席に座った彼女が訪ねてきた。
「イエ~ス!あなたよ!
それで? どっちなの?」
彼女は人懐っこいブルーの瞳をキラキラとさせて、
僕の答えを今か今かと待っている。
「僕はジャパニーズです。
コージと言います。
コージ・ヤノです」
「そう! ジャパニーズなのね!
私はアリッサよ、宜しくね」
「いえ、こちらこそ……」
「ね、突然だけどさ、
私、アニメの大ファンなの。
アニメってニッポンから来てるんでしょ?
ニッポンってアニメの世界そのものなの?
一度行ってみたいわ~」
と、このアリッサという女の子はとてもフレンドリーな様だ。
ハッキリ言って僕にはアニメの世界は良く分からない。
でも日本がアニメの様な世界だと言うのは
ちょっと?いや、全然か? 僕的には違うと思う。
彼女の夢を壊したくはなかったけど、
「アニメの世界と現実はちょっと違うかな~?」
と、僕も馬鹿正直に答えてしまった。
そのあとガクッと項垂れた彼女をみるのは可哀想だったけど、
今現実を知っていたら、
いつか日本へ行く機会があった時、
その時に本当の事を知ってがっかりするよりも日本を楽しめるだろう。
「ねえ、コージってニッポンの何処から来たの?」
「東京だよ」
そう答えると、彼女は興奮した様に、
「トーキョー行ってみたい!
ハラジュク、シンジュク、アサクサ、ニッコー、シブヤにアキハバラ!」
と叫んだ。
「ハハハ、よく知ってるね」
「ハイ~ 私オタクです!」
どうやらアリッサは日本オタクの様だ。
「君、アリッサだっけ?
良くオタクなんて言葉知ってるね?」
「私、日本語学んでま~す!
コージも英語上手ね。
私も日本語上手になりたい!
今度日本語、教えてくれますか?」
そう尋ねられ、
「時間があればね……」
と返した。
今はまだ、人と関わることが億劫だった。
要君の事を考えると、
まだ何もやる気が起きない。
アメリカに来たばかりの頃は、
そんな感じで生きた屍の様に生きていた。
僕はこの4月からニューヨークにある
ビジネススクールに通っている。
授業について行くのは大変だけど、
やりがいがあって楽しい。
宿題や読み物が沢山あるけど、
忙しくしてると要君の事を考えなくて良いから楽だ。
「ねえ、キャンパスに郵便局ってあるの?」
「郵便局は入って無いけど、切手だったら売店で売ってるわよ」
「うーん、切手だと幾らになるか分かんないな~」
「何? パッケージを送るの?」
「ううん、手紙だけど、
日本へ送るんだ」
「え~ 今時手紙?
オンラインでメッセージ送ったらすぐじゃない!
何をわざわざそんな時間かかる手紙にするの?」
「これはね、特別な人に対して出すんだ。
手紙の方があったかいでしょう?」
「え~ でも今封筒に入れたのって
授業で取ったノートじゃなかった?」
「ハハハ、僕が何を学んでるか分かって楽しいでしょう?
アメリカで頑張ってるって言うのが分かって良いんじゃない?」
「え~ 私だったらヤダよ~
もっとコージの近況が知りたいけど~
今こうしてるとか、あれしてるとか……さ。
でも、それ誰に出すの?
お友達?」
「フフ、こう言うのもらって喜びそうな子だよ」
「あ、怪しい~
恋人でしょう?
そうなんでしょう?」
「だったら良いんだけど、
残念ながら違うよ」
「ねえ、コージって日本に恋人いるの?」
その問いに少し固まった。
アリッサは少し???と言う様な顔をしていたけど、
直ぐに何の悪気もなさそうに、
「何て顔してるの!
死刑宣告された犯罪者みたいよ!」
そう言って僕の背中をバンバン叩いた。
そこでハッとして現実に戻された僕は、
彼女の顔を見て、
「いえ、彼女はいません」
と答えた。
「ねえ、私、日本人のボーイフレンド欲しかったんだけど、
私と付き合わない?」
そう聞かれて、
「ごめん。
恋人はいないけど、
好きな人がいるんだ。
失恋したんだけど未だ誰とも付き合う気持ちは無くって……」
そう正直に言うと、アリッサは残念そうな顔をしていた。
僕は思っていたよりも要君との別れがトラウマになっている様だ。
自分で決めた事なのにこの気持ちだけは上手くコントロール出来ない。
本当は誰かと付き合ったりした方が
早く忘れられるのかもだけど、
今のところは全然そんな気になれなかった。
「じゃあさ、付き合ってはもう良いから、
今度食事にでも付き合ってよ!
私ね、ジャパニーズのママのいる友達がいるんだけど、
彼もジャパニーズのお友達が出来たらうれしいとおもうわよ!」
「ハハ、それくらいだったらお安い御用さ。
僕も友達が増えるのはうれしいからね」
そんな流れで、僕の留学生活は順調に出発していた。
そんな留学生活も夏休みが終わり、
秋の学期がやってくる頃には、
僕もアメリカでの学生生活にも慣れて、
キャンパスにも全生徒が戻って賑やかになっていた。
僕の通った大学は、秋と冬をセメスター制にし、
春と夏をクウォーター制にしてあり、
生徒の殆どは春・夏と実家へ帰り、
秋と冬のセメスターに授業を取っていた。
秋の新学期が始まる頃は要君の事も段々と思い出に変わりつつあり、
すべては順調に進んでいた。
そんな時アリッサからもう既に忘れかけていたお誘いがあった。
「カイがキャンパスに戻って来たのよ!
是非今週末一緒に食事に行きましょう!」
「え? カイって?」
「ほら、ママがジャパニーズだって言った私の友達よ!」
「あ~ そんな事言ってたね、
ここに来たばかりの頃だったからすっかり忘れていたよ!」
「彼は夏は実家のあるロサンゼルスに帰ってたからね。
昨日電話で話したら彼も是非コージに会いたいって言ってたから!」
「嬉しいね~
それじゃあ今週末のいつにする?」
「じゃあ、金曜日の夜に私のアパートで
スキヤキパーティはどう?
そろそろ日本食が恋しい頃でしょう?」
「君、スキヤキ作れるの?」
「カイのママがこっちに遊びに来たときに学んだの!
スキヤキって美味しいのね~
1ヶ月に2、3度は作ってるわよ!」
「それは楽しみだね!」
「じゃあ、金曜日の7時に私のアパートでね。」
「何か持って来て欲しいものとかある?」
「だ~い丈夫よ!
これはコージの歓迎パーティだから身一つで来て!」
「ハハ有難う。
それじゃあ遠慮なく!」
そう言ってやって来た金曜日に、
教えてもらった住所に行ってベルをならすと、
「は~い」
と言ってアリッサが出て来た。
カイも既に到着している様で、
アリッサの後ろに一緒に立っていた。
「これ、お土産」
そう言って花束を渡すと、
「まあ、ありがとう!
ジャパニーズボーイがこう言うことするって粋な計らいね。
私ジャパニーズボーイズはこう言う事にはシャイだって聞いてたわよ」
「え~ 何処でそんな情報学んだの~?」
「へへ~
カイのお母さんがいっぱいニッポンの事教えてくれるの!」
「へ~
カイのお母さんと仲良しなんだね」
「そうよ、すっごい気さくで優しいお母さんだよ!
良くメッセージ交換するんだ!
コージもいつか会えたら良いわね!」
「そうだね。
もうカイってきてるんでしょ?
君の後ろにいるのが……」
「そうそう!
じゃあ紹介するわね。
これがカイよ。
で、カイ、こちらがニッポンから来たコージよ!」
「カイです。宜しく」
そう言ってアリッサの後ろから、
恥ずかしそうに出てた来たカイを見て僕の周りの空気が凍った。
柔らかそうな栗色の髪に
大きなアンバー色の瞳……
恥ずかしそうに、はにかんだように微笑む笑顔。
カイは見た目どころか、
雰囲気までも要君にそっくりだった。
それともジャパニーズ?」
「僕ですか?」
初めての授業の日、僕の隣の席に座った彼女が訪ねてきた。
「イエ~ス!あなたよ!
それで? どっちなの?」
彼女は人懐っこいブルーの瞳をキラキラとさせて、
僕の答えを今か今かと待っている。
「僕はジャパニーズです。
コージと言います。
コージ・ヤノです」
「そう! ジャパニーズなのね!
私はアリッサよ、宜しくね」
「いえ、こちらこそ……」
「ね、突然だけどさ、
私、アニメの大ファンなの。
アニメってニッポンから来てるんでしょ?
ニッポンってアニメの世界そのものなの?
一度行ってみたいわ~」
と、このアリッサという女の子はとてもフレンドリーな様だ。
ハッキリ言って僕にはアニメの世界は良く分からない。
でも日本がアニメの様な世界だと言うのは
ちょっと?いや、全然か? 僕的には違うと思う。
彼女の夢を壊したくはなかったけど、
「アニメの世界と現実はちょっと違うかな~?」
と、僕も馬鹿正直に答えてしまった。
そのあとガクッと項垂れた彼女をみるのは可哀想だったけど、
今現実を知っていたら、
いつか日本へ行く機会があった時、
その時に本当の事を知ってがっかりするよりも日本を楽しめるだろう。
「ねえ、コージってニッポンの何処から来たの?」
「東京だよ」
そう答えると、彼女は興奮した様に、
「トーキョー行ってみたい!
ハラジュク、シンジュク、アサクサ、ニッコー、シブヤにアキハバラ!」
と叫んだ。
「ハハハ、よく知ってるね」
「ハイ~ 私オタクです!」
どうやらアリッサは日本オタクの様だ。
「君、アリッサだっけ?
良くオタクなんて言葉知ってるね?」
「私、日本語学んでま~す!
コージも英語上手ね。
私も日本語上手になりたい!
今度日本語、教えてくれますか?」
そう尋ねられ、
「時間があればね……」
と返した。
今はまだ、人と関わることが億劫だった。
要君の事を考えると、
まだ何もやる気が起きない。
アメリカに来たばかりの頃は、
そんな感じで生きた屍の様に生きていた。
僕はこの4月からニューヨークにある
ビジネススクールに通っている。
授業について行くのは大変だけど、
やりがいがあって楽しい。
宿題や読み物が沢山あるけど、
忙しくしてると要君の事を考えなくて良いから楽だ。
「ねえ、キャンパスに郵便局ってあるの?」
「郵便局は入って無いけど、切手だったら売店で売ってるわよ」
「うーん、切手だと幾らになるか分かんないな~」
「何? パッケージを送るの?」
「ううん、手紙だけど、
日本へ送るんだ」
「え~ 今時手紙?
オンラインでメッセージ送ったらすぐじゃない!
何をわざわざそんな時間かかる手紙にするの?」
「これはね、特別な人に対して出すんだ。
手紙の方があったかいでしょう?」
「え~ でも今封筒に入れたのって
授業で取ったノートじゃなかった?」
「ハハハ、僕が何を学んでるか分かって楽しいでしょう?
アメリカで頑張ってるって言うのが分かって良いんじゃない?」
「え~ 私だったらヤダよ~
もっとコージの近況が知りたいけど~
今こうしてるとか、あれしてるとか……さ。
でも、それ誰に出すの?
お友達?」
「フフ、こう言うのもらって喜びそうな子だよ」
「あ、怪しい~
恋人でしょう?
そうなんでしょう?」
「だったら良いんだけど、
残念ながら違うよ」
「ねえ、コージって日本に恋人いるの?」
その問いに少し固まった。
アリッサは少し???と言う様な顔をしていたけど、
直ぐに何の悪気もなさそうに、
「何て顔してるの!
死刑宣告された犯罪者みたいよ!」
そう言って僕の背中をバンバン叩いた。
そこでハッとして現実に戻された僕は、
彼女の顔を見て、
「いえ、彼女はいません」
と答えた。
「ねえ、私、日本人のボーイフレンド欲しかったんだけど、
私と付き合わない?」
そう聞かれて、
「ごめん。
恋人はいないけど、
好きな人がいるんだ。
失恋したんだけど未だ誰とも付き合う気持ちは無くって……」
そう正直に言うと、アリッサは残念そうな顔をしていた。
僕は思っていたよりも要君との別れがトラウマになっている様だ。
自分で決めた事なのにこの気持ちだけは上手くコントロール出来ない。
本当は誰かと付き合ったりした方が
早く忘れられるのかもだけど、
今のところは全然そんな気になれなかった。
「じゃあさ、付き合ってはもう良いから、
今度食事にでも付き合ってよ!
私ね、ジャパニーズのママのいる友達がいるんだけど、
彼もジャパニーズのお友達が出来たらうれしいとおもうわよ!」
「ハハ、それくらいだったらお安い御用さ。
僕も友達が増えるのはうれしいからね」
そんな流れで、僕の留学生活は順調に出発していた。
そんな留学生活も夏休みが終わり、
秋の学期がやってくる頃には、
僕もアメリカでの学生生活にも慣れて、
キャンパスにも全生徒が戻って賑やかになっていた。
僕の通った大学は、秋と冬をセメスター制にし、
春と夏をクウォーター制にしてあり、
生徒の殆どは春・夏と実家へ帰り、
秋と冬のセメスターに授業を取っていた。
秋の新学期が始まる頃は要君の事も段々と思い出に変わりつつあり、
すべては順調に進んでいた。
そんな時アリッサからもう既に忘れかけていたお誘いがあった。
「カイがキャンパスに戻って来たのよ!
是非今週末一緒に食事に行きましょう!」
「え? カイって?」
「ほら、ママがジャパニーズだって言った私の友達よ!」
「あ~ そんな事言ってたね、
ここに来たばかりの頃だったからすっかり忘れていたよ!」
「彼は夏は実家のあるロサンゼルスに帰ってたからね。
昨日電話で話したら彼も是非コージに会いたいって言ってたから!」
「嬉しいね~
それじゃあ今週末のいつにする?」
「じゃあ、金曜日の夜に私のアパートで
スキヤキパーティはどう?
そろそろ日本食が恋しい頃でしょう?」
「君、スキヤキ作れるの?」
「カイのママがこっちに遊びに来たときに学んだの!
スキヤキって美味しいのね~
1ヶ月に2、3度は作ってるわよ!」
「それは楽しみだね!」
「じゃあ、金曜日の7時に私のアパートでね。」
「何か持って来て欲しいものとかある?」
「だ~い丈夫よ!
これはコージの歓迎パーティだから身一つで来て!」
「ハハ有難う。
それじゃあ遠慮なく!」
そう言ってやって来た金曜日に、
教えてもらった住所に行ってベルをならすと、
「は~い」
と言ってアリッサが出て来た。
カイも既に到着している様で、
アリッサの後ろに一緒に立っていた。
「これ、お土産」
そう言って花束を渡すと、
「まあ、ありがとう!
ジャパニーズボーイがこう言うことするって粋な計らいね。
私ジャパニーズボーイズはこう言う事にはシャイだって聞いてたわよ」
「え~ 何処でそんな情報学んだの~?」
「へへ~
カイのお母さんがいっぱいニッポンの事教えてくれるの!」
「へ~
カイのお母さんと仲良しなんだね」
「そうよ、すっごい気さくで優しいお母さんだよ!
良くメッセージ交換するんだ!
コージもいつか会えたら良いわね!」
「そうだね。
もうカイってきてるんでしょ?
君の後ろにいるのが……」
「そうそう!
じゃあ紹介するわね。
これがカイよ。
で、カイ、こちらがニッポンから来たコージよ!」
「カイです。宜しく」
そう言ってアリッサの後ろから、
恥ずかしそうに出てた来たカイを見て僕の周りの空気が凍った。
柔らかそうな栗色の髪に
大きなアンバー色の瞳……
恥ずかしそうに、はにかんだように微笑む笑顔。
カイは見た目どころか、
雰囲気までも要君にそっくりだった。
0
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
Endless Summer Night ~終わらない夏~
樹木緑
BL
ボーイズラブ・オメガバース "愛し合ったあの日々は、終わりのない夏の夜の様だった”
長谷川陽向は “お見合い大学” と呼ばれる大学費用を稼ぐために、
ひと夏の契約でリゾートにやってきた。
最初は反りが合わず、すれ違いが多かったはずなのに、
気が付けば同じように東京から来ていた同じ年の矢野光に恋をしていた。
そして彼は自分の事を “ポンコツのα” と呼んだ。
***前作品とは完全に切り離したお話ですが、
世界が被っていますので、所々に前作品の登場人物の名前が出てきます。***
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【続編】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
俺にとってはあなたが運命でした
ハル
BL
第2次性が浸透し、αを引き付ける発情期があるΩへの差別が医療の発達により緩和され始めた社会
βの少し人付き合いが苦手で友人がいないだけの平凡な大学生、浅野瑞穂
彼は一人暮らしをしていたが、コンビニ生活を母に知られ実家に戻される。
その隣に引っ越してきたαΩ夫夫、嵯峨彰彦と菜桜、αの子供、理人と香菜と出会い、彼らと交流を深める。
それと同時に、彼ら家族が頼りにする彰彦の幼馴染で同僚である遠月晴哉とも親睦を深め、やがて2人は惹かれ合う。
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる