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9章「堂々とデート」
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ヨーコからののポケベルが鳴ると私は反応する。
パブロフの犬現象か…
電話でヨーコは私とデートがしたいと言ってきた。
近所のデパートを二人でショッピングに行きたいと。
私はヨーコに言った…
「大丈夫なんか? 君の家から近すぎるやろ。」
私の家とヨーコの家は5km位の距離にあり、そのデパートはそれぞれの家からやはり5km位の位置にあった。
当然、彼女の近所の人々も利用する場所である。
彼女は私に言った。
「ええねん、セイジさんとデートしたいんやもん。
そんなん見つかれへんて、大丈夫大丈夫。」
ヨーコは自分の希望を譲らない…どうしても私と普通のデートをしたいらしい。
彼女はすねたような声で電話の向こうで言った
「セイジさんは私とデートしたくないん?」
私は慌ててヨーコに言う。
「そんなことないて! 僕かてヨーコとデートしたいで!」
彼女は笑って言った。
「そやろ、絶対行こな。」
もう止められない…
心配だが、じつのところ私にとっても楽しみでもあった。
ヨーコとデート… うれしい。
彼女の気持ちもよくわかるのだ。前章の当直での件もあった。
二人が逢う時はいつも、こそこそと隠れての逢瀬である…
私だってヨーコと堂々とデートをしたいのだ。
それが許されないのも、分かってはいるのだが…
デート当日。
私達二人は最寄りの駅前のデパートに二人で出かけた。
いつもと同じくヨーコの車で…
デパートでは、仲良く手をつないだヨーコに連れまわされた。
私はどちらかというと、人込みは苦手である…
人に酔ってしまうのだ。
しかし、やはり彼女は女性である。買わなくても店をハシゴするだけでも楽しそうだ。
私はヨーコについて歩いているだけだが、つながれた彼女の手を離したくはなかった。内心では、ずっと握っていたいと思っていたのだ。
私もまたヨーコに連れまわされるデートを楽しんでいたのだ。
二人にとって幸せな時間だった…
そうして幾つかのヨーコの買い物に付き合ったが、楽しい時間もあっという間に過ぎてしまう。
少し歩き疲れた二人は喫茶店で休憩をすることにした。
ヨーコはチョコレートパフェ、私はアイスコーヒーを頼んだ。
「フーっ、だいぶ歩いたねえ、ちょっと疲れたわ。」
とヨーコが言う。
「ほんまやな、でも楽しかった。」
そう答える私。
「そやね、ほんまに楽しかった…
セイジさん、今日は付き合ってくれてホンマにありがとう。」
満面の笑顔で答えるヨーコを見ていると、私も心から幸せになる。
運ばれてきたパフェを笑顔で食べるヨーコを見て私が言った。
「なんか子供みたい…」
私にそう言われた彼女は怒ったように言う。
「ちょっとあげようかと思っとったのになあ。そういう事言うと、あげへん。」
私は少し慌てて言った。
「ごめん、ごめん、それどんな味なん? ちょっとだけちょうだい。」
ヨーコは一度自分の舌で綺麗に舐めとったスプーンに、新たにチョコレートをすくい取った。
「しゃあないなあ、はいアーんして…」
「アーん…」
私の口にスプーンを運んでパフェを食べさせてくれた。
ヨーコはニコッと笑いながら言った。
「フフッ、間接キスやで。美味しい?」
私は味わってから答えた。
「うん、めっちゃ美味しい。ヨーコの味がする。」
ヨーコは、私を軽く睨みながら言う。
「何言うてんの、やらしい。」
だが、すぐに思い直したように真面目な顔で
「今日はせっかく逢えたのに、エッチ出来へんかったね… ごめんね。」
と私に謝った。
私は首を振ってヨーコに返事をした。
「いや、僕も本当に楽しかったんやで… でもまあ、ホント言うたらヨーコを欲しかったけどな。」
ヨーコは私の手に自分の手を重ねて言う。
「今度はいっぱいしよな、今日のお礼に大サービスする。」
私は彼女の手を握り返して答えた。
「約束やで、それまで我慢して溜めとこっと…」
「あほっ、やらしーねん。
でも全部私が抜いたるから、いっぱい溜めといてええよ。」
ヨーコは可愛い目で私を挑戦するように睨みつつ、笑って言った。
まるで恋人同士のカップル…
はたから見るとそう映っただろうか…?
幸せな時間…
このまま止まってくれればいいのに…
私はヨーコを見つめて思った。
二人は喫茶店を出て、帰途に着いた。
今日はヨーコと愛し合えなかった。
でも、デートの間ずっと握っていた彼女の手…
私の手を離そうとしなかったヨーコ…
私自身もまたヨーコの手を離したくなかった、出来ることなら…
ずっと、いつまでも…
私にとってヨーコの存在は一緒にいてとても心地よく、私よりも少し体温の低い彼女の手は握っている私を温かい気持ちにしてくれる。
私と激しく愛し合う時のヨーコとは違う気がした…
でも、この彼女も好きだった。
ますますヨーコに惹かれていく自分の気持ちを止められない…
ああ、この倫を外れた幸せ…
失いたくない…
車で帰る道中、前を見て運転するヨーコの横顔を助手席から見つめていると私はため息が出た。愛しさのあまり、切なくなった…
ああ… この人が自分だけの女だったなら…
パブロフの犬現象か…
電話でヨーコは私とデートがしたいと言ってきた。
近所のデパートを二人でショッピングに行きたいと。
私はヨーコに言った…
「大丈夫なんか? 君の家から近すぎるやろ。」
私の家とヨーコの家は5km位の距離にあり、そのデパートはそれぞれの家からやはり5km位の位置にあった。
当然、彼女の近所の人々も利用する場所である。
彼女は私に言った。
「ええねん、セイジさんとデートしたいんやもん。
そんなん見つかれへんて、大丈夫大丈夫。」
ヨーコは自分の希望を譲らない…どうしても私と普通のデートをしたいらしい。
彼女はすねたような声で電話の向こうで言った
「セイジさんは私とデートしたくないん?」
私は慌ててヨーコに言う。
「そんなことないて! 僕かてヨーコとデートしたいで!」
彼女は笑って言った。
「そやろ、絶対行こな。」
もう止められない…
心配だが、じつのところ私にとっても楽しみでもあった。
ヨーコとデート… うれしい。
彼女の気持ちもよくわかるのだ。前章の当直での件もあった。
二人が逢う時はいつも、こそこそと隠れての逢瀬である…
私だってヨーコと堂々とデートをしたいのだ。
それが許されないのも、分かってはいるのだが…
デート当日。
私達二人は最寄りの駅前のデパートに二人で出かけた。
いつもと同じくヨーコの車で…
デパートでは、仲良く手をつないだヨーコに連れまわされた。
私はどちらかというと、人込みは苦手である…
人に酔ってしまうのだ。
しかし、やはり彼女は女性である。買わなくても店をハシゴするだけでも楽しそうだ。
私はヨーコについて歩いているだけだが、つながれた彼女の手を離したくはなかった。内心では、ずっと握っていたいと思っていたのだ。
私もまたヨーコに連れまわされるデートを楽しんでいたのだ。
二人にとって幸せな時間だった…
そうして幾つかのヨーコの買い物に付き合ったが、楽しい時間もあっという間に過ぎてしまう。
少し歩き疲れた二人は喫茶店で休憩をすることにした。
ヨーコはチョコレートパフェ、私はアイスコーヒーを頼んだ。
「フーっ、だいぶ歩いたねえ、ちょっと疲れたわ。」
とヨーコが言う。
「ほんまやな、でも楽しかった。」
そう答える私。
「そやね、ほんまに楽しかった…
セイジさん、今日は付き合ってくれてホンマにありがとう。」
満面の笑顔で答えるヨーコを見ていると、私も心から幸せになる。
運ばれてきたパフェを笑顔で食べるヨーコを見て私が言った。
「なんか子供みたい…」
私にそう言われた彼女は怒ったように言う。
「ちょっとあげようかと思っとったのになあ。そういう事言うと、あげへん。」
私は少し慌てて言った。
「ごめん、ごめん、それどんな味なん? ちょっとだけちょうだい。」
ヨーコは一度自分の舌で綺麗に舐めとったスプーンに、新たにチョコレートをすくい取った。
「しゃあないなあ、はいアーんして…」
「アーん…」
私の口にスプーンを運んでパフェを食べさせてくれた。
ヨーコはニコッと笑いながら言った。
「フフッ、間接キスやで。美味しい?」
私は味わってから答えた。
「うん、めっちゃ美味しい。ヨーコの味がする。」
ヨーコは、私を軽く睨みながら言う。
「何言うてんの、やらしい。」
だが、すぐに思い直したように真面目な顔で
「今日はせっかく逢えたのに、エッチ出来へんかったね… ごめんね。」
と私に謝った。
私は首を振ってヨーコに返事をした。
「いや、僕も本当に楽しかったんやで… でもまあ、ホント言うたらヨーコを欲しかったけどな。」
ヨーコは私の手に自分の手を重ねて言う。
「今度はいっぱいしよな、今日のお礼に大サービスする。」
私は彼女の手を握り返して答えた。
「約束やで、それまで我慢して溜めとこっと…」
「あほっ、やらしーねん。
でも全部私が抜いたるから、いっぱい溜めといてええよ。」
ヨーコは可愛い目で私を挑戦するように睨みつつ、笑って言った。
まるで恋人同士のカップル…
はたから見るとそう映っただろうか…?
幸せな時間…
このまま止まってくれればいいのに…
私はヨーコを見つめて思った。
二人は喫茶店を出て、帰途に着いた。
今日はヨーコと愛し合えなかった。
でも、デートの間ずっと握っていた彼女の手…
私の手を離そうとしなかったヨーコ…
私自身もまたヨーコの手を離したくなかった、出来ることなら…
ずっと、いつまでも…
私にとってヨーコの存在は一緒にいてとても心地よく、私よりも少し体温の低い彼女の手は握っている私を温かい気持ちにしてくれる。
私と激しく愛し合う時のヨーコとは違う気がした…
でも、この彼女も好きだった。
ますますヨーコに惹かれていく自分の気持ちを止められない…
ああ、この倫を外れた幸せ…
失いたくない…
車で帰る道中、前を見て運転するヨーコの横顔を助手席から見つめていると私はため息が出た。愛しさのあまり、切なくなった…
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