私の不倫日記

幻田恋人

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6章「ひとつになりたい…」

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 この章より、二人の感情をもっと自然に表現するために、私:セイジ(仮名)、彼女:ヨーコ(仮名)と表記する。




ヨーコの言うとおりだった…

 それまでの数回の逢瀬おうせの中で、私は彼女の手を一度も握ったことが無かったのだ…

怖かった…

もちろん、ヨーコとの接触をしたくないはずがない。
れると彼女を失ってしまいそうで…
拒絶され、私の前からヨーコがいなくなってしまうんじゃないかと…
 電話で話し、時々っていられる今の彼女との関係を失いたくなかったのだ。

怖かった…
一歩み込むことが出来なかった

 人妻のヨーコは、すでに別の男との不倫を経験していたが、私は独身で初めての不倫に対して臆病おくびょうになっていた。
彼女に引かれながらも… 恐れてもいたのだ。

 一方で、私は不倫こそ未経験だが、風俗やテレクラで金を使って何人もの女性と性交渉を重ねてきた。
薄汚れた私の手で彼女をけがしたくない…
そう考えてもいた。

ヨーコを失いたくない…
彼女に嫌われたくない

結果… 私は逃げていた。

れた女性の手も握れなかった。

カラオケBOXを出て、どちらから言うともなく二人はホテルへと向かった。
ヨーコが運転する車の道中、二人はあまり話すこともせず静かにしていた。
 だが、気まずい沈黙ではなくて二人の胸は期待感ではち切れんばかりだったのだ。若い私は正直言ってヨーコの隣で勃起ぼっきしていた。


 ホテルに着くと、ヨーコは私を壁に追いつめ、壁をたたいて怖い顔で迫った。

今でいう壁ドンの女版であった。
「もう、頭に来てたんやで。セイジさん、いつまでたっても手えも握ってくれへんねんもん!」
「恋人同士みたいにしたかった! して欲しかってんっ!」

私は消え入りそうな声でつぶやいた。
「ごめん… なんでか… ヨーコの手え握られへんかった…」

ヨーコは私の顔をのぞき込み、私を追い込む様に言った。
「私の事好きやないんかと思って、怖かったんやで…」

私は首を振りながら、彼女に訴えるように言った。
「そんなことない、そんなことないって!」
「そんなんとちゃうねん…」

彼女は私の両ほほを手ではさみ、私の目をのぞき込みながら問いただした。
「ほな、なんでやのん?」

私は彼女から目をそらしてうつむききながらつぶやいた。
「怖かってん… 手え握ってヨーコが握り返してくれへんかったら… ヨーコに嫌がられたらって思て…」

ヨーコは泣き出しそうな顔で私に言った。
「あほっ! 私の気持ち分からへんの?」

私はあわててヨーコの頭を抱きしめて謝った。
「ごめん… ごめんな…」

ヨーコは私の胸に顔をうずめてねる様に言う。
「ごめんやないわ… もっと強う抱きしめてや…」

私はヨーコの甘い髪の匂いを胸いっぱいに吸い込みながら言った。
「うん…、こう?」

彼女も私に強くすがりつくように抱きついて言う。
「ちゃう、もっと強く!」

私はいつくしむ様に、しかし力強くヨーコを抱いた。
「わがままやなあ、ギューって、痛ないか?」

ヨーコはうれしそうに笑いながら、私の顔を見上げて答えた。
「ちょっと痛いけど… 幸せやもん、我慢する…」

私はヨーコを両腕で抱く幸せをみしめながら、彼女のひたいにキスをした。
「僕も幸せや… もう死んでもええ」

ヨーコは怒った顔で私をしかる様に言った。
「イヤやっ! 死んだらっ!」

 私はヨーコのふくれっつらを笑い、ふくらんだ彼女のほほを指で突っついて言った。
「死なへんよ、ずっとヨーコとこうしてたいから」

ヨーコは、まるで挑戦するような目で私を見上げて言った。
「これだけでええの?」

私はヨーコの目を見つめ返したが、返す言葉が見つからなかった。
「…?」

彼女はいたずらっぽく笑って私に聞いてきた。
「私のこと… 欲しくないん?」

私は目を大きく見開いて大声で答えた。
「欲しいよっ! ヨーコの全部が欲しいっ!」

ヨーコは私の股間に手を伸ばして、私の怒張どちょうしたモノを優しくでさすった。
「セイジさんのここ、こんなんなってるで… 可愛い…
 私も、これ欲しい…」

完全に主導権も私の股間も彼女に握られていた…

私達は抱き合ったまま、ベッドに倒れ込んだ。


 二人はせきを切ったように、貪欲どんよくに相手を求め、互いにからみ合った。

私の手がヨーコを求め…
彼女の手が私を求める…

ヨーコの唇が…舌が… 私を求め、味わい…
私の唇と舌が彼女をよろこびの炎で燃え上がらせる…

ヨーコはあえぎながら、私のモノを握りしめて切なそうに訴えた。
「お願い… もう我慢出来がまんでけへん、これ私の中に入れて…」

 私はヨーコの股間にうずめていた顔を上げて、彼女の愛液にまみれていた口で答えた。
「うん…」

ヨーコがゴムを手に取り、私に手渡して言った。
「セイジさん…これけて…」

私がためらっていると、彼女は私をかすように言った。
「どうしたん? ゴムけてくれへんの?」

私はヨーコに対して申し訳なさそうに言った。
「ごめん、けたくないねん。ヨーコと完全にひとつになりたい…」

ヨーコは言葉を噛みしめる様につぶやいていた。
「私とセイジさんが完全にひとつに…… 」

彼女は私の手からゴムをひったくり、
「なる… セイジさんとひとつになる! こんなんいらんわ!」
ポイっと投げ捨てた。

私は驚いてヨーコに聞く。
「ええの?」

彼女は恥ずかしそうに私を見つめてささやくように言った。
「ええよ、そやけど中に出したらあかんで…」

私は大きくうなずいてヨーコにちかった。
「わかった、約束する!」

 私は彼女に優しくみちびかかれるまま、そっと挿入した。二人をへだてる物は何も無く、私達は完全にひとつになった…

 私達二人は幸せの歓喜かんきにむせびながら、お互いに獣のように激しく夢中で動き続けた…

最初にヨーコが…
そして私が大声をはなちながら…
絶頂を迎えた…

私はヨーコとの約束通り、彼女の膣から引き抜いてお腹に大量に放出した。ヨーコは満足そうに私の精液を指ですくい、口元へ運んで舌で舐め取った。

 そして身体を起こしたヨーコは、射精したばかりの私の性器を愛おしそうに口に含んで残った精液を全て吸い取ってくれた。私は彼女の髪に指をし込んで、感謝の気持ちを込めて優しく彼女の頭をでた。

終わってからも二人は抱き合ったままでいた。

ヨーコは私の胸にほほを乗せてつぶやいた。
「こんなに気持ちよかったん、初めてや…」

私はまだ呼吸が荒いまま彼女の頭を抱きしめて言った。
「やっと、やっと、ヨーコとひとつになれた… ずっと夢見ててん…
ありがとう、ヨーコ」

ヨーコは私のほほに自分のほほを押し付けながら、うれしそうな声で私に言った。
「私もやで、セイジさんとひとつになれてうれしい… 幸せや…
ありがとう、セイジさん」

次に抱き合った二人の口から出た言葉は全く同じだった。
「また、ひとつになりたい… 何べんも、何べんも…」

 この言葉を最後に二人は帰り支度じたくをして、ヨーコの運転する車で帰途きとに着いた。
 狭い軽自動車の中で、となりり合って座る二人は、どちらも幸せの余韻よいんひたっていた… 信号で車が止まるたびに指を絡め合って互いの手を握りしめた。


 私は、このままヨーコが運転する隣の助手席で彼女の横顔を見つめながら、いつまでもどこまでもヨーコに走り続けていて欲しかった…
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