私の不倫日記

幻田恋人

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1章「運命の出会い」

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 今から皆さんに読んで頂く物語は、私が若かった独身時代に実際に体験した、ある人妻との数か月間におけるノンフィクションの不倫愛の記録です。

       ********************        


 私と、私が愛した最愛の人妻との出会いは電話が始まりだった。

 お断りしておくが、当時はぞくにいうバブルがはじけて間がない頃であり、携帯電話もスマホも無くインターネットも一般的に普及していなかったという時代背景をご考慮頂いて、読み進めていただきたい。

 皆さんは「テレクラ」という言葉をご存じだろうか?
 正式には「テレフォンクラブ」であり、今でいう「待合い喫茶」等と同じような男女の出会いのきっかけをつかむ場所を提供する風俗産業の一種であった。
 そこでは、テレクラ店に居合わせる男達が狭い個室で各々おのおの待機し、不特定多数の女性からかかってくる電話を、個室に設置された固定電話機で早い者勝ちで取るのである。
 早く取ったものが女性と通話が出来るのだ。
 女性とは電話で「互いの年齢や風体」「会えるか否か、互いの望む条件」「待ち合わせ時間と場所」等を会話で確認しあい出会う約束を交わす。
 今どきの出会い系マッチングアプリのような場所を提供する店である。

 私は当時、ときどき仕事の休暇を利用してテレクラに出向いた。
 そして、私は何度かそこで知り合った数人の女性と出会い、彼女達と金銭との交換で男女の交渉を持った。

あの日…

 二人の運命の出会いの日も、私は仕事を休んで車でテレクラに出向いていた。
 そこでかかってきた何件目かの電話を私がキャッチした。
 相手の女性は夫と1人の娘がいる人妻だとのことで、夫の暴力等で悩んでいるとの事だった。
 性交渉を求めて来ている私は「なんだ悩み相談か…」と思いつつも、この後の展開もあるかもと下種げすな下心からではあったが、親身に話を聞くことにした。

 私は自慢をするわけではないが元来がんらい聞き上手で、今まで知り合った女性達からは「お世辞じゃなく、声も話し方も優しくて、聞いてて心地よい」と、いつも評判が良かったのだ。
 私自身は「そんなものなのかな?」ぐらいに思っていたが、この特技はまさにテレクラでは強い武器となった。

 今回の繋がった電話相手の彼女も、私との会話を気に入ってくれたようで、電話後に彼女が指定した公園で会う約束をした。

 約束の公園で待っていた私に声をかけてきた女性を見て、私は驚いた。
 私が今までにったどの女性よりも美しかったのだ。
 いや、ひいき目ではなく客観的に見ても十分に美しいのだが、少し彼女の表情に初対面のはにかみなどは違ったかげりがあるのが、私は少し気になった…


 私は彼女の美しさにドキドキしながらも、お互いが先のテレクラの電話で会話した同士であることを確認し合い、ベンチに腰を掛けて話をした。
 やはり彼女が夫やしゅうとめの事で悩んでいる事や、彼女には以前付き合っていた不倫相手がいたが別れた事などを聞いた。
 彼女は話を聞いてもらえる相談相手が欲しくて、テレクラに電話をしてきたそうだ。
 私は二人の時間の許す限り、親身になって彼女の悩みを真剣に聞くようになっていた。
 その時は、今からでも彼女と寝ることが出来れば、という邪心を本当に忘れていた。いつの間にか私は、彼女に対してそういう感情を抱く事が不謹慎に思えていたのだ。
 こんな美しい人を泣かせる夫やしゅうとめに怒りがき、彼女に同情を感じるようになっていた。

 しばらくの間、二人は座って話をした。
 だが、彼女は幼い子供を実家に預けて来ているので、長居は出来ないという事だった。

 彼女は私の事を気に入ってくれたのか、お互いの直接の連絡先を教え合い、また彼女から連絡する事を約束して二人は別れた。

 自分がその日望んでいた性交渉を行えなかったことも忘れ、私は彼女と出会えたことを素直に喜んで家路に着いた。

 私は思った。
 また、美しい彼女に逢いたい…
 果たして本当に彼女から連絡があるのだろうか…

 私は不安と期待で胸が高鳴り、なかなか寝付けなかったが…
 やがて、「二人の運命の出会い」の日の眠りについた。
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