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第1話「その男、何を求めて…?」
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大柄で細身だが筋骨たくましい体格をした男が一人、木の影から何かをジッと見つめていた。
その男の視線の先には、一台の白いSUV車がエンジンをかけたまま停車している。
ここは主要な都市部から少し離れた郊外にある山の中だ。
しかし、山と呼ばれてはいるが実際には少し小高い丘といった程度の標高である。
春や秋の休日には、多くの家族連れなどのグループやカップルが山菜取りや季節に応じた山の色合いを楽しむ散策に街から車で訪れる。
だが、冬の木枯らしが吹く季節にもなると、この山を訪れるもの好きはほとんどいなかった。
12月の半ばとなり、街ではクリスマス商戦真っただ中となった今日も、空がどんよりと曇り冷たい木枯らしが吹き荒れているので、この山に人の姿は皆無と思えたのだが…
一台の白いSUV車が、道路から少し外れた林の中に止まっていた。
ずっとエンジンはかかったままで停車しているその車は、その場でギシギシと車体が揺れ続けていた。
車の窓ガラスは中からの熱気で真っ白に曇っているので、中に居る人の姿は外からは見えない。
だが、揺れる車の中から聞こえてくるのは若い女性の断続的に続く喘ぎ声と、獣のように激しく荒い男女の息遣いだった… これでは停車した車内で行われている行為が、容易にうかがい知れよう。
「章ちゃんっ! あ、あたし…も、もうダメ! イクうぅーっ!」
一声、感極まった絶叫のように甲高い女性の叫び声がガラス越しに響き渡った後も、ギシギシと早まってきていた車の揺れはしばらくの間続いていたが、やがて収まり静かになった。
いつからか、揺れるSUV車の近くに立った一抱えほどの太さがある木の、車から反対側の位置に男が一人隠れるようにしてSUV車を覗いていたのだった。
「はっ、はっ、はっ…」
覗いている男の息は荒く、白い息が途切れなく吐き出され続ける。
彼の右手は股間に伸び、ズボンのチャックから飛び出した硬く屹立した自分の巨大な性器を握りしめ、目にも止まらない速さで激しく上下にしごいていた… 男は白いSUV車内の様子を窺いながら自慰をしていたのだった。
「う、ううっ…」
見つめていた白いSUV車の揺れが止まった後、射精と共に男の激しかった右手の動きも止まった。
男は夥しく空中に放出した自分の精液を性器の先から指でぬぐい取り、木の幹に擦り付けた。
そして、自分の逸物をズボンの中に収めた後も、男は大きな身体を木の幹に隠したまま顔を半分出した状態の片目だけで車の方をジッと見つめ続けている。
すると、SUV車の運転席のドアが開き、性行為を終えたばかりの若い男がズボンのベルトを締めながら降りて来た。
「ああ、気持ち良かった~ ここんとこ溜まってた精液全部、ジュンの中に出したな…
うう…もうダメだ、我慢してたションベンちびりそう…」
ズボンのチャックを下ろして再び自分の逸物を取り出した男は、そう言うとすぐに近くの木に向けて激しい勢いで放尿し始めた。
自分と女の体液に濡れて輝きながら、まだ完全には萎えきっていない彼の若い逸物から激しくほとばしる黄色い尿が空中に放物線を描きながら、寒い野外に白い湯気を上げている。
「うう~、女のアソコん中ににいっぱい射精した後のションベンは、最高に気持ちいいぜ~」
若い男は勢いよく放尿する快感に酔いしれながらつぶやいた。
すると、運転席側のパワーウィンドーがスライドして開き、中から顔をピンク色に上気させた若い女が顔を出して放尿している男に対して大声で叫んだ。
「もおっ! 章ちゃんってば! 何で中に出すのよおっ! お腹に出してって言ったのにぃ!」
カーセックスの余韻でまだ息の荒い若い女は、章ちゃんと呼んだ男に本気で腹を立てているようだ。
「ゴメン! 俺、『中に出して!』って聞こえたんだ… あんまり、お前のオマンコが気持ち良くて…つい… ゴメンな、ジュン。」
まだ勢いの止まらぬ放尿を続けながら、前を向いたままの男が笑って答える。言葉と裏腹に全然すまなそうではなかった。
「もお~! バカ! 赤ちゃん出来ちゃったらどうしてくれんのよ! あんたが責任取りなさいよ、ホントにい!
うっ、あたしもオシッコしたくなってきた…」
ジュンと呼ばれた若い女は、化粧は濃いが可愛くあどけない顔立ちをした、まだ二十歳前と思われる。いや、下手をすると高校生くらいだろうか?
ジュンはキョロキョロと車の周辺を見まわして誰もいないのを確認すると、靴以外には下半身に何も身に着けないままの姿で助手席のドアを開けて急いで外に飛び出して来た。
「もうダメ! 出ちゃう~!」
木陰か叢に行くまで我慢出来なかったのか、車から数歩出たところでしゃがみ込んだジュンは、一瞬だけもう一度周りをキョロキョロと見回してから、地面に向けて思いっ切り激しく放尿した。ジュンの迸る尿の激しい勢いで、ジョボジョボと地面の土に穴が穿たれていく。
まだ生えそろわない薄い陰毛を濡らしながら彼女の股間から激しく飛び散る尿が、気温の低い屋外の空気に白い湯気を立ち上らせていた。恍惚とした表情で放尿し続ける若いジュンの顔は、カーセックスで得た快感の余韻で満ち足りた表情をして美しく輝いていた。
「ぐえっ!」
「ドサッ!」
その時、ジュンがしゃがみ込んで放尿する背後の車の反対側で、押しつぶしたような奇妙な男の声と何か重いものが倒れるような大きな音がした。
しかしジュンは、放尿する快感にうっとりと酔いしれているのと、勢いよく地面にほとばしる自分の放尿が立てる音とで、後方で生じていた異変に気が付く事は無かった。
「はあぁ~ん、解放感がいいわあ~! 寒いけど外で堂々とするオシッコって気持ちいいぃ…
でも危なかったわ、もう少しで車の中でズコバコやりながらシートにオシッコ漏らすとこだったじゃないのよお。章ちゃんったら、ずっと腰振ってて抜いてくれないんだもん! まあ、あたしも気持ち良かったんだけど…
あっ! 章ちゃんの精子…オマンコの中からトロって垂れて来た… ったく、こんなにいっぱい中に出しやがって!
もおっ、章平! 赤ちゃん出来たら、アンタに絶対に責任取らせてやるからね!」
ジュンはここまでの道中、女子高生のくせに缶ビールを飲み過ぎて膀胱にパンパンに溜まっていたオシッコを最後の一滴まで放尿し終わった。
そして放尿後にブルブルっと身体を震わせた彼女は、車内から持って出て来たティッシュで自分の尿と章平が膣内に放出して垂れて来た精液をふき取るや、今度はあらためて野外の寒さに身体をブルブル震わせると、小ぶりでカワイイ丸出しの尻を振りながら急いで助手席へと駆け戻った。
「ううぅ~、寒かったあ… お尻とアソコが凍るかと思った…
もおっ! 何でこんな寒いとこでやりたがったのよ、章ちゃん! ホテルでやればいいじゃんよお!」
と言いながらドアを閉めて隣の運転席を見やったジュンは、そこに章平が座っていないのに気が付き、後部座席をキョロキョロと見回した。だが、やはり車の中に章の姿は無かった。
「あれ? 章ちゃん、まだ外でオシッコしてるの? それともウンチもしてるのかしら…?
もう、バッチぃなあ…」
ジュンはそうつぶやきながら、もう一度ティッシュで自分の股間をしっかりと拭き取って指で汚れを確かめてから、床に脱ぎ捨ててあった自分のショーツを拾って穿き、冬用のストッキングとスカートも身に着けると、暖かい車内でやっと人心地ついた気分になった。
「もおっ!章ちゃんってば!風邪引いちゃうよう! 年末なんだから、アタシに絶対うつさないでよね!」
そう大声で言ったジュンは、カーステレオでお気に入りの曲をかけながら章平が戻ってくるのを待った。
その時だった…
後ろの座席でガサガサと物音がした。
「何だ、章ちゃん。後ろにいたの? あたしを脅かすつも…」
そう言って笑いながら振り向いたジュンの笑顔は、一瞬で凍り付いた。
「うっ! だ、誰よ…あんた?」
後部座席から顔を覗かせたのは、ジュンの見た事もない大柄で日本人離れした浅黒く彫りの深い顔立ちをした男だった。ジュンの初めて見る男だ。
ついさっきまで車の中で長い時間、身体を交わらせていたボーイフレンドの章平の友達でもないはずだ。今日は章平と二人だけのドライブなのだから…
こいつ、いつの間に乗ったんだろう… まさか、さっきのあたし達のカーセックスの間中ずっと…
いえ、そんなはずないわ…
ジュンはパニックになりかけたが、自分のいる助手席ではなく運転席側のドアを開けた。
そこには章平がいるはずだ…
「しょ、章ちゃん! 変な奴が車に! 章ちゃん…? 章平っ!」
そこには、さっきまで激しい音を立てながら気持ちよさそうに放尿していたはずの章平が、自分の尿の沁み込んだ地面にうつ伏せに倒れていた。
そして… 彼の着ていた白いパーカーのフードが真っ赤に染まっていた。しかも何という事か… ついさっきまで激しく愛し合っていた章平の、首から先にあるべき筈の頭部が消えていた…
「キャアーッ!」
ジュンは、目の前で何が起こったのか分からないまま絶叫した。
愛してるなんて恥ずかしくてお互いに言えないけど、誰より好きだった章平…
ちっとも男前じゃなかったけど憎めなくて、ひょうきんな顔立ちをしながら、いつも私にしつこくディープキスを求めて来た章平…
さっきまで自分と激しいカーセックスをして、ダメだって言ったのに膣の中で大量に射精した章平の…
首から先が無かった…
「ギャーッ! 章平っ! キャアアアアーーーッ!」
ジュンはサイレンの様に叫び続けた… しかし、突然後ろから肩を掴まれて後ろを振り返った。
「ねえ、章平ってこれ…?」
そう言って、後部座席にいた男が右手にぶら下げていたものは… 断面から血がしたたり落ちている、切り取られたばかりの章平の生首だった… すでに輝きを失って濁った目は、死ぬ間際の恐怖で飛び出しそうに見開いた状態のまま、ジュンの方をジッと見つめていた…
「ひっ! ひいいぃーっ!」
ジュンの頭の中で何かが弾けた!
さっき、外で大量の放尿をしたばかりなのに、彼女は運転席のシートに座って服を着たまま失禁していた。ジュンの股間から漏れ出した黄色い尿が、彼女の白く形の良い太ももを伝ってツーっと床まで流れ落ちていく。
「あのね、キミ。こいつさ… 章平だっけ?
俺が車に乗せてくれって言ったら、ションベンしながら断ったんだ。俺どうしても行かなきゃいけない所があるんだって一生懸命に頼んでも、こいつ『絶対にダメだ!』って、ちっとも俺の話を聞いてくれなくて。
だから、俺…『もういいよ』って言って、山刀でションベンしてるこいつの首を叩いたんだ… そしたら、首…取れちゃったんだ。」
そう言って左手で握っていたモノを、ジュンの目の前に突き出して来た。
それは、恐ろしいほど大振りの鉈だった。いや、男は『マチェーテ』と言っていたが、形状からすると山刀だろうか?
それは刃の長さだけでも50cmはあろうかという、まるで小型の刀のような代物だ。こんな大きな肉厚の刃物で叩き切られたら、一撃で人間の首などバッサリと斬り飛ばされるであろう…
この男は「これで叩いた」などと言っているが、章平のスッパリと切り離された首が全てを物語っていた。
実際に『マチェーテ』の幅広い肉厚の刃には章平の血はもちろんのこと、脂や肉片がこびり付いていた。
「ひいぃぃーっ!」
ジュンは空気が一気に抜ける様な一際高い悲鳴を上げると、口から泡を噴き白目を剥いて座ったまま失神した。身体がハンドルに倒れ込んだので、車のクラクションがけたたましい音を鳴り響かせた。
「ビーーーーーーーッ!」
「やかましいっ!」
男は右手に持っていた章平の首を横に放り投げたかと思うと、左手に握っていた『マチェーテ』の刃を気を失っているジュンの顔面目がけて横殴りに叩きつけた!
「ズバッ! グシャッ!」
大鉈の刃を叩きつけられたジュンの頭部の目の下から上半分が切られて吹っ飛び、フロントガラスにぶち当たった。 切られた断面がガラスに当たったため、くっついたジュンの頭はへばりつき、すぐには落ちて来なかった。
やがて、それは血と脂と脳漿の混ざった気味の悪い筋を引きながらズルズルと滑りつつ助手席に落ち、断面を上にして転がった。
「ビーーーーッ!」
「うるさいっ!」
ハンドルに倒れ込んでいた頭の上半分を失ったジュンの身体を、男は力任せにハンドルから引きはがして助手席に突き飛ばした。
「俺、やかましいの嫌いなんだよ…
こいつもまた壊れた… こいつら簡単に壊れちゃうんだ…
どうしよう… 俺はこの車に乗せてもらいたかっただけなのに…
俺の行きたいとこまで車で連れて行って欲しかっただけなのに…
あんな変な声出して、車の中で二人でエッチな事ばっかしやってやがって!」
男は後部ドアからいったん外へ出た。そして助手席のドアを開けるとジュンの遺体を外へと引きずりおろした。
「ちくしょう、俺だってやりたい…」
そういった男はジュンの遺体から服を全部はぎ取った。そして自分のズボンとパンツを脱ぎ捨てると、まだ温かいジュンの遺体の両脚を押し開き、すでに激しく屹立していた巨大な男根で遺体を死姦し始めた。
半裸の男は吹きすさぶ木枯らしをものともせず、寒い吹きさらしの林の中で激しく腰を振り、次第に冷たく硬くなっていくジュンの遺体を一時間以上も犯し続けた。
やがて、夕闇から夜陰へと変わりつつある林の中で、男は雄たけびを上げながらすでに冷たくなったジュンの膣内に夥しい量の精液を放出した。
「ふうう…さっぱりした。でも、動いてたら腹へったな… 車の中に何か食い物ねえかな…?」
そうつぶやきながら、萎えつつある男根にこびり付いた体液をジュンの着ている服で拭き取ってパンツとズボンを身に着けた男は、助手席側の後部ドアから車内に入ると目当ての食い物を探し始めた。
助手席の足元に、ジュンの物だろうか…? 男は女物のリュックサックを見つけた。リュックサックは元々白っぽく明るい色だったのだろうが、切断されたジュンの頭部の切断面から流れ出た血で赤黒い色へと色が変わってしまっていた。
「おっ、あったあった… お菓子にジュース… おつまみにお酒…タバコ! 俺、お酒もタバコも嫌いだ!」
そう言いながら男は、開いていたドアから数本の缶酎ハイに缶ビールとタバコを次々と外へ投げ捨てた。
さっきまでジュンの血まみれの死体を平気で犯していたくせに、酒類とタバコに触るのは心底から嫌な様子で、汚らわしそうに指先でつまんで車外へと投げ捨てていた。
そして、男は手に入れたお菓子やジュースなどを貪るようにして飲み食いした。
この男は辺りが暗く見えにくくなっていたとは言え、自分がしでかした凄惨な殺人の光景などは、まるで意に介さない様な態度であった。
身に着けていた男の衣服は殺した章平とジュンの血や体液、脂にまみれてドロドロになっていたが本人は全く意にも介していないようだった。
男はタバコや酒の様な大人の嗜好品は毛嫌いしたくせに、通常の人は決して耐えられない凄惨な行為や惨状を気にする感覚が完全にマヒしている様であった。
男は事の善悪などはお構いなしに、自分の本能で動く事しか出来ないらしい。まるで獣である…
男は手当たり次第に車内で見つけた飲食物を飲み食いし、大きなゲップをすると助手席に座ったまま考え込んだ。
「ゲプッ! ごちそう様… 久しぶりに食べたお菓子やジュース、美味しかったな… けど、どうしようか…? また、俺を乗せてくれる車と親切な人を探さなきゃ… 俺、急いで行かなきゃならない所があるんだ… ゲプッ!」
ブツブツと独り言をつぶやいた男は、助手席のドアを開けて車から降りた。
「あっ、この赤いリュック…気に入ったから、もらって行こう。もう、この女には必要ないんじゃないかな… ねえ、キミ… このリュック、俺にちょうだいね。」
そう言った男は、ジュンの血と体液にまみれて赤黒く変色したドロドロのリュックを取り上げ、運転席に置いておいた自分の血まみれの『マチェーテ』を中に突っ込んで右肩に担いだ。
男は、ヒッチハイクを出来る新しい車と自分を乗せてくれる人を探して寒風の吹きすさぶ夜空の元、犠牲者となった二人の若者の遺体と白いSUVを残して、真っ暗な林の中を一人歩き出した。
どこかへ行きたいというのなら、持ち主のいなくなった車を自分で運転するという考えは、この男の頭には浮かばないのだろうか? 自分では車の運転が出来ないというだけなのか…?
男は林の中の暗闇を恐れる事なく、しかも全く危なげも無くしっかりとした足取りで歩いていく。その様子はまるで、この男の目には暗闇の中が昼間と変わらずに見えているようであった。
この男は一体、何を求めてどこへ行こうというのだろうか…?
二人の男女を殺戮した不思議な男は、次第に闇の中へと消えて行った。
【続く…?】
その男の視線の先には、一台の白いSUV車がエンジンをかけたまま停車している。
ここは主要な都市部から少し離れた郊外にある山の中だ。
しかし、山と呼ばれてはいるが実際には少し小高い丘といった程度の標高である。
春や秋の休日には、多くの家族連れなどのグループやカップルが山菜取りや季節に応じた山の色合いを楽しむ散策に街から車で訪れる。
だが、冬の木枯らしが吹く季節にもなると、この山を訪れるもの好きはほとんどいなかった。
12月の半ばとなり、街ではクリスマス商戦真っただ中となった今日も、空がどんよりと曇り冷たい木枯らしが吹き荒れているので、この山に人の姿は皆無と思えたのだが…
一台の白いSUV車が、道路から少し外れた林の中に止まっていた。
ずっとエンジンはかかったままで停車しているその車は、その場でギシギシと車体が揺れ続けていた。
車の窓ガラスは中からの熱気で真っ白に曇っているので、中に居る人の姿は外からは見えない。
だが、揺れる車の中から聞こえてくるのは若い女性の断続的に続く喘ぎ声と、獣のように激しく荒い男女の息遣いだった… これでは停車した車内で行われている行為が、容易にうかがい知れよう。
「章ちゃんっ! あ、あたし…も、もうダメ! イクうぅーっ!」
一声、感極まった絶叫のように甲高い女性の叫び声がガラス越しに響き渡った後も、ギシギシと早まってきていた車の揺れはしばらくの間続いていたが、やがて収まり静かになった。
いつからか、揺れるSUV車の近くに立った一抱えほどの太さがある木の、車から反対側の位置に男が一人隠れるようにしてSUV車を覗いていたのだった。
「はっ、はっ、はっ…」
覗いている男の息は荒く、白い息が途切れなく吐き出され続ける。
彼の右手は股間に伸び、ズボンのチャックから飛び出した硬く屹立した自分の巨大な性器を握りしめ、目にも止まらない速さで激しく上下にしごいていた… 男は白いSUV車内の様子を窺いながら自慰をしていたのだった。
「う、ううっ…」
見つめていた白いSUV車の揺れが止まった後、射精と共に男の激しかった右手の動きも止まった。
男は夥しく空中に放出した自分の精液を性器の先から指でぬぐい取り、木の幹に擦り付けた。
そして、自分の逸物をズボンの中に収めた後も、男は大きな身体を木の幹に隠したまま顔を半分出した状態の片目だけで車の方をジッと見つめ続けている。
すると、SUV車の運転席のドアが開き、性行為を終えたばかりの若い男がズボンのベルトを締めながら降りて来た。
「ああ、気持ち良かった~ ここんとこ溜まってた精液全部、ジュンの中に出したな…
うう…もうダメだ、我慢してたションベンちびりそう…」
ズボンのチャックを下ろして再び自分の逸物を取り出した男は、そう言うとすぐに近くの木に向けて激しい勢いで放尿し始めた。
自分と女の体液に濡れて輝きながら、まだ完全には萎えきっていない彼の若い逸物から激しくほとばしる黄色い尿が空中に放物線を描きながら、寒い野外に白い湯気を上げている。
「うう~、女のアソコん中ににいっぱい射精した後のションベンは、最高に気持ちいいぜ~」
若い男は勢いよく放尿する快感に酔いしれながらつぶやいた。
すると、運転席側のパワーウィンドーがスライドして開き、中から顔をピンク色に上気させた若い女が顔を出して放尿している男に対して大声で叫んだ。
「もおっ! 章ちゃんってば! 何で中に出すのよおっ! お腹に出してって言ったのにぃ!」
カーセックスの余韻でまだ息の荒い若い女は、章ちゃんと呼んだ男に本気で腹を立てているようだ。
「ゴメン! 俺、『中に出して!』って聞こえたんだ… あんまり、お前のオマンコが気持ち良くて…つい… ゴメンな、ジュン。」
まだ勢いの止まらぬ放尿を続けながら、前を向いたままの男が笑って答える。言葉と裏腹に全然すまなそうではなかった。
「もお~! バカ! 赤ちゃん出来ちゃったらどうしてくれんのよ! あんたが責任取りなさいよ、ホントにい!
うっ、あたしもオシッコしたくなってきた…」
ジュンと呼ばれた若い女は、化粧は濃いが可愛くあどけない顔立ちをした、まだ二十歳前と思われる。いや、下手をすると高校生くらいだろうか?
ジュンはキョロキョロと車の周辺を見まわして誰もいないのを確認すると、靴以外には下半身に何も身に着けないままの姿で助手席のドアを開けて急いで外に飛び出して来た。
「もうダメ! 出ちゃう~!」
木陰か叢に行くまで我慢出来なかったのか、車から数歩出たところでしゃがみ込んだジュンは、一瞬だけもう一度周りをキョロキョロと見回してから、地面に向けて思いっ切り激しく放尿した。ジュンの迸る尿の激しい勢いで、ジョボジョボと地面の土に穴が穿たれていく。
まだ生えそろわない薄い陰毛を濡らしながら彼女の股間から激しく飛び散る尿が、気温の低い屋外の空気に白い湯気を立ち上らせていた。恍惚とした表情で放尿し続ける若いジュンの顔は、カーセックスで得た快感の余韻で満ち足りた表情をして美しく輝いていた。
「ぐえっ!」
「ドサッ!」
その時、ジュンがしゃがみ込んで放尿する背後の車の反対側で、押しつぶしたような奇妙な男の声と何か重いものが倒れるような大きな音がした。
しかしジュンは、放尿する快感にうっとりと酔いしれているのと、勢いよく地面にほとばしる自分の放尿が立てる音とで、後方で生じていた異変に気が付く事は無かった。
「はあぁ~ん、解放感がいいわあ~! 寒いけど外で堂々とするオシッコって気持ちいいぃ…
でも危なかったわ、もう少しで車の中でズコバコやりながらシートにオシッコ漏らすとこだったじゃないのよお。章ちゃんったら、ずっと腰振ってて抜いてくれないんだもん! まあ、あたしも気持ち良かったんだけど…
あっ! 章ちゃんの精子…オマンコの中からトロって垂れて来た… ったく、こんなにいっぱい中に出しやがって!
もおっ、章平! 赤ちゃん出来たら、アンタに絶対に責任取らせてやるからね!」
ジュンはここまでの道中、女子高生のくせに缶ビールを飲み過ぎて膀胱にパンパンに溜まっていたオシッコを最後の一滴まで放尿し終わった。
そして放尿後にブルブルっと身体を震わせた彼女は、車内から持って出て来たティッシュで自分の尿と章平が膣内に放出して垂れて来た精液をふき取るや、今度はあらためて野外の寒さに身体をブルブル震わせると、小ぶりでカワイイ丸出しの尻を振りながら急いで助手席へと駆け戻った。
「ううぅ~、寒かったあ… お尻とアソコが凍るかと思った…
もおっ! 何でこんな寒いとこでやりたがったのよ、章ちゃん! ホテルでやればいいじゃんよお!」
と言いながらドアを閉めて隣の運転席を見やったジュンは、そこに章平が座っていないのに気が付き、後部座席をキョロキョロと見回した。だが、やはり車の中に章の姿は無かった。
「あれ? 章ちゃん、まだ外でオシッコしてるの? それともウンチもしてるのかしら…?
もう、バッチぃなあ…」
ジュンはそうつぶやきながら、もう一度ティッシュで自分の股間をしっかりと拭き取って指で汚れを確かめてから、床に脱ぎ捨ててあった自分のショーツを拾って穿き、冬用のストッキングとスカートも身に着けると、暖かい車内でやっと人心地ついた気分になった。
「もおっ!章ちゃんってば!風邪引いちゃうよう! 年末なんだから、アタシに絶対うつさないでよね!」
そう大声で言ったジュンは、カーステレオでお気に入りの曲をかけながら章平が戻ってくるのを待った。
その時だった…
後ろの座席でガサガサと物音がした。
「何だ、章ちゃん。後ろにいたの? あたしを脅かすつも…」
そう言って笑いながら振り向いたジュンの笑顔は、一瞬で凍り付いた。
「うっ! だ、誰よ…あんた?」
後部座席から顔を覗かせたのは、ジュンの見た事もない大柄で日本人離れした浅黒く彫りの深い顔立ちをした男だった。ジュンの初めて見る男だ。
ついさっきまで車の中で長い時間、身体を交わらせていたボーイフレンドの章平の友達でもないはずだ。今日は章平と二人だけのドライブなのだから…
こいつ、いつの間に乗ったんだろう… まさか、さっきのあたし達のカーセックスの間中ずっと…
いえ、そんなはずないわ…
ジュンはパニックになりかけたが、自分のいる助手席ではなく運転席側のドアを開けた。
そこには章平がいるはずだ…
「しょ、章ちゃん! 変な奴が車に! 章ちゃん…? 章平っ!」
そこには、さっきまで激しい音を立てながら気持ちよさそうに放尿していたはずの章平が、自分の尿の沁み込んだ地面にうつ伏せに倒れていた。
そして… 彼の着ていた白いパーカーのフードが真っ赤に染まっていた。しかも何という事か… ついさっきまで激しく愛し合っていた章平の、首から先にあるべき筈の頭部が消えていた…
「キャアーッ!」
ジュンは、目の前で何が起こったのか分からないまま絶叫した。
愛してるなんて恥ずかしくてお互いに言えないけど、誰より好きだった章平…
ちっとも男前じゃなかったけど憎めなくて、ひょうきんな顔立ちをしながら、いつも私にしつこくディープキスを求めて来た章平…
さっきまで自分と激しいカーセックスをして、ダメだって言ったのに膣の中で大量に射精した章平の…
首から先が無かった…
「ギャーッ! 章平っ! キャアアアアーーーッ!」
ジュンはサイレンの様に叫び続けた… しかし、突然後ろから肩を掴まれて後ろを振り返った。
「ねえ、章平ってこれ…?」
そう言って、後部座席にいた男が右手にぶら下げていたものは… 断面から血がしたたり落ちている、切り取られたばかりの章平の生首だった… すでに輝きを失って濁った目は、死ぬ間際の恐怖で飛び出しそうに見開いた状態のまま、ジュンの方をジッと見つめていた…
「ひっ! ひいいぃーっ!」
ジュンの頭の中で何かが弾けた!
さっき、外で大量の放尿をしたばかりなのに、彼女は運転席のシートに座って服を着たまま失禁していた。ジュンの股間から漏れ出した黄色い尿が、彼女の白く形の良い太ももを伝ってツーっと床まで流れ落ちていく。
「あのね、キミ。こいつさ… 章平だっけ?
俺が車に乗せてくれって言ったら、ションベンしながら断ったんだ。俺どうしても行かなきゃいけない所があるんだって一生懸命に頼んでも、こいつ『絶対にダメだ!』って、ちっとも俺の話を聞いてくれなくて。
だから、俺…『もういいよ』って言って、山刀でションベンしてるこいつの首を叩いたんだ… そしたら、首…取れちゃったんだ。」
そう言って左手で握っていたモノを、ジュンの目の前に突き出して来た。
それは、恐ろしいほど大振りの鉈だった。いや、男は『マチェーテ』と言っていたが、形状からすると山刀だろうか?
それは刃の長さだけでも50cmはあろうかという、まるで小型の刀のような代物だ。こんな大きな肉厚の刃物で叩き切られたら、一撃で人間の首などバッサリと斬り飛ばされるであろう…
この男は「これで叩いた」などと言っているが、章平のスッパリと切り離された首が全てを物語っていた。
実際に『マチェーテ』の幅広い肉厚の刃には章平の血はもちろんのこと、脂や肉片がこびり付いていた。
「ひいぃぃーっ!」
ジュンは空気が一気に抜ける様な一際高い悲鳴を上げると、口から泡を噴き白目を剥いて座ったまま失神した。身体がハンドルに倒れ込んだので、車のクラクションがけたたましい音を鳴り響かせた。
「ビーーーーーーーッ!」
「やかましいっ!」
男は右手に持っていた章平の首を横に放り投げたかと思うと、左手に握っていた『マチェーテ』の刃を気を失っているジュンの顔面目がけて横殴りに叩きつけた!
「ズバッ! グシャッ!」
大鉈の刃を叩きつけられたジュンの頭部の目の下から上半分が切られて吹っ飛び、フロントガラスにぶち当たった。 切られた断面がガラスに当たったため、くっついたジュンの頭はへばりつき、すぐには落ちて来なかった。
やがて、それは血と脂と脳漿の混ざった気味の悪い筋を引きながらズルズルと滑りつつ助手席に落ち、断面を上にして転がった。
「ビーーーーッ!」
「うるさいっ!」
ハンドルに倒れ込んでいた頭の上半分を失ったジュンの身体を、男は力任せにハンドルから引きはがして助手席に突き飛ばした。
「俺、やかましいの嫌いなんだよ…
こいつもまた壊れた… こいつら簡単に壊れちゃうんだ…
どうしよう… 俺はこの車に乗せてもらいたかっただけなのに…
俺の行きたいとこまで車で連れて行って欲しかっただけなのに…
あんな変な声出して、車の中で二人でエッチな事ばっかしやってやがって!」
男は後部ドアからいったん外へ出た。そして助手席のドアを開けるとジュンの遺体を外へと引きずりおろした。
「ちくしょう、俺だってやりたい…」
そういった男はジュンの遺体から服を全部はぎ取った。そして自分のズボンとパンツを脱ぎ捨てると、まだ温かいジュンの遺体の両脚を押し開き、すでに激しく屹立していた巨大な男根で遺体を死姦し始めた。
半裸の男は吹きすさぶ木枯らしをものともせず、寒い吹きさらしの林の中で激しく腰を振り、次第に冷たく硬くなっていくジュンの遺体を一時間以上も犯し続けた。
やがて、夕闇から夜陰へと変わりつつある林の中で、男は雄たけびを上げながらすでに冷たくなったジュンの膣内に夥しい量の精液を放出した。
「ふうう…さっぱりした。でも、動いてたら腹へったな… 車の中に何か食い物ねえかな…?」
そうつぶやきながら、萎えつつある男根にこびり付いた体液をジュンの着ている服で拭き取ってパンツとズボンを身に着けた男は、助手席側の後部ドアから車内に入ると目当ての食い物を探し始めた。
助手席の足元に、ジュンの物だろうか…? 男は女物のリュックサックを見つけた。リュックサックは元々白っぽく明るい色だったのだろうが、切断されたジュンの頭部の切断面から流れ出た血で赤黒い色へと色が変わってしまっていた。
「おっ、あったあった… お菓子にジュース… おつまみにお酒…タバコ! 俺、お酒もタバコも嫌いだ!」
そう言いながら男は、開いていたドアから数本の缶酎ハイに缶ビールとタバコを次々と外へ投げ捨てた。
さっきまでジュンの血まみれの死体を平気で犯していたくせに、酒類とタバコに触るのは心底から嫌な様子で、汚らわしそうに指先でつまんで車外へと投げ捨てていた。
そして、男は手に入れたお菓子やジュースなどを貪るようにして飲み食いした。
この男は辺りが暗く見えにくくなっていたとは言え、自分がしでかした凄惨な殺人の光景などは、まるで意に介さない様な態度であった。
身に着けていた男の衣服は殺した章平とジュンの血や体液、脂にまみれてドロドロになっていたが本人は全く意にも介していないようだった。
男はタバコや酒の様な大人の嗜好品は毛嫌いしたくせに、通常の人は決して耐えられない凄惨な行為や惨状を気にする感覚が完全にマヒしている様であった。
男は事の善悪などはお構いなしに、自分の本能で動く事しか出来ないらしい。まるで獣である…
男は手当たり次第に車内で見つけた飲食物を飲み食いし、大きなゲップをすると助手席に座ったまま考え込んだ。
「ゲプッ! ごちそう様… 久しぶりに食べたお菓子やジュース、美味しかったな… けど、どうしようか…? また、俺を乗せてくれる車と親切な人を探さなきゃ… 俺、急いで行かなきゃならない所があるんだ… ゲプッ!」
ブツブツと独り言をつぶやいた男は、助手席のドアを開けて車から降りた。
「あっ、この赤いリュック…気に入ったから、もらって行こう。もう、この女には必要ないんじゃないかな… ねえ、キミ… このリュック、俺にちょうだいね。」
そう言った男は、ジュンの血と体液にまみれて赤黒く変色したドロドロのリュックを取り上げ、運転席に置いておいた自分の血まみれの『マチェーテ』を中に突っ込んで右肩に担いだ。
男は、ヒッチハイクを出来る新しい車と自分を乗せてくれる人を探して寒風の吹きすさぶ夜空の元、犠牲者となった二人の若者の遺体と白いSUVを残して、真っ暗な林の中を一人歩き出した。
どこかへ行きたいというのなら、持ち主のいなくなった車を自分で運転するという考えは、この男の頭には浮かばないのだろうか? 自分では車の運転が出来ないというだけなのか…?
男は林の中の暗闇を恐れる事なく、しかも全く危なげも無くしっかりとした足取りで歩いていく。その様子はまるで、この男の目には暗闇の中が昼間と変わらずに見えているようであった。
この男は一体、何を求めてどこへ行こうというのだろうか…?
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【続く…?】
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