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幽閉returns ➁カニがいる…
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少し落ち着いてきた。
あの無人島からパパと脱出して
半年が経った
カウンセリングも慣れてきた
先生は優しいし話すと落ち着くの
でも…
アイツはもういないって
分かってはいるんだけど…
時々怖くて目が覚める夜がある
そんな時、実家にいて良かったと
つくづく思う…
私は両親と暮らし始めた
パパはあの島から帰った後
すぐに刑事をやめた
ママは入院してたけど私の顔を見て
少しずつ良くなってくれた
私は毎日ママの見舞いに行ったわ
ママといっぱいしゃべった
嬉しかった
楽しかった
なんで家から出たんだろう
そう思ったら泣けてくるの
パパもママも優しくしてくれる
そうそう
パパは刑事を辞めてから
退職金で喫茶店を始めたの
変でしょ?
でも、ママが退院して
私も入れた三人で
細々とお店をやってるの
儲からないけど私は好き
家族で働けてすごく幸せ
ずっと続けていたい
ふふふ、変なの…
まだ始めて間もないのに
でも常連のお客さんも何人か
来てくれるようになった
それが嬉しい
私も頑張らなきゃ
若いカップルの二人が来ると
ちょっと羨ましい
今どき紙の小説を読んでる人もいる
お客さんを観察してると面白い
みんな自分の時間を楽しんでる
パパのコーヒーを飲みながら…
元刑事のくせに
コーヒー通だったなんて
知らなかった
ママよりも張り切ってる
パパの入れるコーヒーが
美味しいんだって言って
遠くから通ってくれる人もいる
すごく嬉しい
前と違って贅沢は出来ないけど
今の生活はすごく好き
心が洗われていく気がする
この生活に慣れていく私…
でも最近少し気になる事がある
よく来る男のお客さんなんだけど
いつも黒いトレンチコートを着て
店に入っても帽子を脱がないの
黒いサングラスとマスクを付けて
顔も分からない
左手を骨折してるのか
ギプスなのかな
包帯グルグル巻き
いつもお決まりの注文は
パパのブレンドコーヒー
一人で来るけどカウンターじゃなくて
二人掛けのテーブルに座る
コーヒーを飲むときだけ
少しマスクをずらして飲んでるの
すごく変な感じ…
でも、お客さんだから…
店で問題起こすわけじゃないし
常連さんだからありがたい
だんだんと慣れて来たけど
でもやっぱり…少し気味が悪い
私をジッと見てるようなの…
お客さんの中には、ありがたいことに
私目当ての男の人もいるみたい
パパはお前は看板娘だと言って
からかうんだけど
でも悪い気はしない
ちょっぴり嬉しかったりもする
だけど…
あの奇妙なお客さんは別…
見られてると思うと気味が悪い
後ろを向いてても視線を感じるの
うなじの部分がピリピリする
今日もその人が来た…
いつものパパのブレンドを飲んで
しばらくいたけど
閉店間際に帰っていった
私は店を閉めたらすぐに掃除をする
それも私の仕事のひとつ
今日も掃除をしていたら
変なものを見つけたの
小さな赤いカニ…
何でこんなところに…?
この近くには海も川も無い
別に怖くは無いけど
少し奇妙に感じた…
殺すのは可哀そうだから
店の扉を開けて外へ逃がしてやった
店に入ろうとした時…
うなじがピリピリする
また、あの視線を感じた…
私は振り返って外を見回した
そうすると
「バタンッ!」って音がして
店の向かいの路上に止まっていた車が
急発進して走り去った
私はビックリして見送った
それからは外に背を向けても
視線を感じないようになった
原因はあの車…?
それとも気のせい…
分からない
私は店に戻った
ドアを閉めようとして
ふと、足元を見てゾッとした
カニだわ… カニが、またいる…
しかも今度は一匹じゃない…
十匹以上いる…
一匹が私の脚を上って来た
私は悲鳴を上げた…
「きゃあああっ!」
あの無人島からパパと脱出して
半年が経った
カウンセリングも慣れてきた
先生は優しいし話すと落ち着くの
でも…
アイツはもういないって
分かってはいるんだけど…
時々怖くて目が覚める夜がある
そんな時、実家にいて良かったと
つくづく思う…
私は両親と暮らし始めた
パパはあの島から帰った後
すぐに刑事をやめた
ママは入院してたけど私の顔を見て
少しずつ良くなってくれた
私は毎日ママの見舞いに行ったわ
ママといっぱいしゃべった
嬉しかった
楽しかった
なんで家から出たんだろう
そう思ったら泣けてくるの
パパもママも優しくしてくれる
そうそう
パパは刑事を辞めてから
退職金で喫茶店を始めたの
変でしょ?
でも、ママが退院して
私も入れた三人で
細々とお店をやってるの
儲からないけど私は好き
家族で働けてすごく幸せ
ずっと続けていたい
ふふふ、変なの…
まだ始めて間もないのに
でも常連のお客さんも何人か
来てくれるようになった
それが嬉しい
私も頑張らなきゃ
若いカップルの二人が来ると
ちょっと羨ましい
今どき紙の小説を読んでる人もいる
お客さんを観察してると面白い
みんな自分の時間を楽しんでる
パパのコーヒーを飲みながら…
元刑事のくせに
コーヒー通だったなんて
知らなかった
ママよりも張り切ってる
パパの入れるコーヒーが
美味しいんだって言って
遠くから通ってくれる人もいる
すごく嬉しい
前と違って贅沢は出来ないけど
今の生活はすごく好き
心が洗われていく気がする
この生活に慣れていく私…
でも最近少し気になる事がある
よく来る男のお客さんなんだけど
いつも黒いトレンチコートを着て
店に入っても帽子を脱がないの
黒いサングラスとマスクを付けて
顔も分からない
左手を骨折してるのか
ギプスなのかな
包帯グルグル巻き
いつもお決まりの注文は
パパのブレンドコーヒー
一人で来るけどカウンターじゃなくて
二人掛けのテーブルに座る
コーヒーを飲むときだけ
少しマスクをずらして飲んでるの
すごく変な感じ…
でも、お客さんだから…
店で問題起こすわけじゃないし
常連さんだからありがたい
だんだんと慣れて来たけど
でもやっぱり…少し気味が悪い
私をジッと見てるようなの…
お客さんの中には、ありがたいことに
私目当ての男の人もいるみたい
パパはお前は看板娘だと言って
からかうんだけど
でも悪い気はしない
ちょっぴり嬉しかったりもする
だけど…
あの奇妙なお客さんは別…
見られてると思うと気味が悪い
後ろを向いてても視線を感じるの
うなじの部分がピリピリする
今日もその人が来た…
いつものパパのブレンドを飲んで
しばらくいたけど
閉店間際に帰っていった
私は店を閉めたらすぐに掃除をする
それも私の仕事のひとつ
今日も掃除をしていたら
変なものを見つけたの
小さな赤いカニ…
何でこんなところに…?
この近くには海も川も無い
別に怖くは無いけど
少し奇妙に感じた…
殺すのは可哀そうだから
店の扉を開けて外へ逃がしてやった
店に入ろうとした時…
うなじがピリピリする
また、あの視線を感じた…
私は振り返って外を見回した
そうすると
「バタンッ!」って音がして
店の向かいの路上に止まっていた車が
急発進して走り去った
私はビックリして見送った
それからは外に背を向けても
視線を感じないようになった
原因はあの車…?
それとも気のせい…
分からない
私は店に戻った
ドアを閉めようとして
ふと、足元を見てゾッとした
カニだわ… カニが、またいる…
しかも今度は一匹じゃない…
十匹以上いる…
一匹が私の脚を上って来た
私は悲鳴を上げた…
「きゃあああっ!」
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