【小説】 僕と悪魔と彼女…

幻田恋人

文字の大きさ
上 下
2 / 9

第2話「呼び出された僕と… 変な居候の悪魔」

しおりを挟む
本当に驚いた。
 今、僕が自慰をしようとする原因を作った田辺本人からの電話だったのだ。
 彼は隣の部屋で女性二人と…の最中じゃないのか?
 いったい、何のつもりで僕に電話してきたんだろう?

 確かに田辺には携帯電話の番号を教えたし、ラインのIDも交換した。前に田辺に夕食をおごってもらった時だ。
 同じ大学とはいっても理系と文系の学部の違いがあるし、僕はサークルなんかに入っちゃいないから、田辺との接点と言えばただの隣同士と言うだけだったのだが…

「いったい何の用だろう…? まさか、僕の格好をのぞいていた訳でも無いだろうけど… とにかく、出てみるか…」
 もうえてしまった自分の股間のモノを隠すように押さえながら僕はスマホを取った。

 机の上のノートパソコンの画面には、僕が自慰のおかずにしようとしていたエロ動画がうつし出されたままだった。若い女性が男に脱がされている場面だった。
 その場面に、萎えていた股間が再び反応してしまう自分が我ながら情けなかった。

とりあえず、田辺からの電話に出た。
「もしもし… 田辺さん…?」

『おう! 井畑か? お前、今自分の部屋だろ。何してんだよ?』
 遠慮の無い田辺の問いかけに、僕はドキッとして自分の下半身を見下ろしてしまった。向こうから見えるはずもないのに…

『どうせ…お前、オナニーでもしてたんだろ? あん?』

 図星だったので、僕は何も言い返せないでいた。

『図星か? ハハハハ! まあいい…若いんだから仕方ないよな!』

 自分だって若いくせに… と思ったが言い返せなかった。

『おい、井畑。お前、今から俺の部屋に来いよ。』

「え…? な、何だって…? た…田辺さん、何て言ったの?」
 僕は自分の耳を疑い、どもりながら聞き返した。

『一人でセンズリこいてないで、こっちへ来いよ。俺の目の前には若くて綺麗な女の子が二人もいるぜ。お前の話したら、童貞君に会って見たいんだとさ、ハッハハハ!』

 僕は少しムッとしたが、田辺の申し出に我が耳を疑った。
 男女三人で3Pをしてる所へ、この僕を…? 本気なのか?

「田辺さん、たちの悪い冗談はやめて下さいよ…」
 僕は震える声で、握りしめたスマホに向かってしゃべった。

『冗談なんかじゃねえよ。嫌ならいいんだぜ、俺は別にお前無しで楽しむだけだからよ。』
 スマホを切ってしまいそうな口調で田辺が言うので、僕はあわてた。
「いえっ! イヤな訳じゃありませんっ! い、行きます…すぐに…」
 気が付くと僕はそう口走っていた…

『アッハハハハ! よし、すぐに来いよ!』

「は、はい! すぐ行きます!」
 僕はそう返事をすると、すぐさま脱いでいたパンツとズボンを穿き直した。慌ててパンツを後ろ前逆に穿きそうになってしまった。
 危ない危ない… こんなカッコ悪いの見せられない。
 誰に見せるかって…? そんな事、僕だって知らないよ…

 僕は身だしなみをなんとかしたかったんだけど、待たせたら田辺に怒られそうだから鏡をサッと見ただけでおかしくなさそうなのを確認すると、急いで部屋を出ようとした。

「おい、大河。面白そうだな、俺も連れて行けよ。」
 
 僕を呼び止める声がした。僕は靴をきかけてたんだけど、顔をしかめて動きを止めた。
『しまった… こいつの事、忘れてた…』
 声のした方に振り返った僕は、机の上に積んだ本の上に座ってニヤニヤと笑いながら僕を見つめているそいつに向かって、うんざりしながら答えた。

「お前、起きてたのか…? さっきまでグウグウいびきかいて寝てたのに…」
 本の上に座って腕組みをしていたそいつが、座っていた本の上に立ち上がって言った。

「お前がオナニー始めようとしてたから、寝たふりしてやってたんじゃないか。そしたらあの電話だろ、そっちの方が断然面白そうだ。
 何しろ、人間のオスの童貞喪失の瞬間を拝めそうだからな。それを俺様に見るなって言っても無理だぜ。お前が断っても絶対に付いて行くからな。」

 僕に対して好き勝手に言っている身長が30cmほどのそいつ… そいつは背中にえている黒くてコウモリの様な翼を羽ばたかせて、机の上から玄関にいる僕の方へと飛んで来た。

 こいつの名前はザミエルといって、今年の4月4日に二枚の鏡を使って行なったある儀式の結果、僕が捕まえてしまった悪魔だ。
 こいつが言うには捕まえた4月4日から一年の間は、僕に取りいて離れないそうだ。その日になるまで、元居た世界に帰れないらしい。
 ヤツは僕の部屋の居候いそうろうを決め込んでいる。
 ヤツの態度では、どうやら僕の勉強机を自分の居場所と決めてしまったようだった。
 ザミエルのヤツは、僕に対していろんな悪魔の囁きをしてくるんだけど、最近では無視するようにしてる。

 付いてくるなって言ったところで聞くようなヤツじゃない事は、これまでの短い付き合いだが僕には分かり切っていた。だから、無理にザミエルを押しとどめる事はあきらめた。

「好きにしろ… でも、お前は見てるだけだからな。他人の前に姿を見せるんじゃないぞ、お前ならそれくらい簡単に出来るだろ?」
 僕は玄関でくつきながらザミエルに言った。

「ああ、分かった分かった…
 見てるだけだよ。それならいいんだろ?」
 ザミエルはそう言って、僕の左肩に乗ったかと思うと姿を消した。
 これくらいでは、僕はもういちいち驚かない様になっていた。

「約束だぞ、絶対に黙ってろよ。いいな、ザミエル。」
 僕の言葉に左肩に乗っているはずのザミエルが、僕の左耳たぶを引っ張って了解の合図を寄こして来た。

 僕は自分の部屋を出て鍵を閉めると、隣の田辺の部屋の前に立った。
 深呼吸をしてからインターフォンを鳴らす。
 すると、返事も無くドアがガチャリと開いた。

 ゆっくりと広げられたドアの向こうに立っていたのは、派手な格好と濃い化粧をしているが驚くほどに美しい若い女性だった。
 だけど… ヤンキー系という訳では無く、もっと大人っぽい雰囲気を持った女性だった。
 彼女の着ている服は薄手の生地きじだったが、胸元の上のボタンが外されていて豊満な胸の谷間が見てくれとばかりにのぞいている。真っ白で柔らかそうな胸だった。
 僕はゴクリと生唾なまつばを飲み込んだ。

「いらっしゃい。
 ふうん… あなたが隣の井畑君ね。お入りなさいな。」
 なまめかしい女性は立ち尽くしていた僕の右手首をつかんで、開いたドアから少し強引に引っ張り込んだ。
 部屋の中に引っ張り込まれて横を通る時に、彼女は僕の耳に口を寄せて魅力的な声でささやいてきた。

「美味しそうな童貞君ね… とても楽しみだわ…」
 そうささやきながら、彼女はいている右手で僕の股間をズボンの上から軽く握ってきた。

「うわっ! な、何するんですか…?」
 じつは恥ずかしながら、彼女の美しい顔と肢体を見た僕はすでに勃起ぼっきしていたのだ。
 逃げようとしたが遅かった… すでに彼女に硬くなったその部分を強くさすられていた。

「あら… 素敵… もう、こんなになっちゃってるのね。頼もしいわ。後でお姉さんがコレを可愛がってあげるわね…」
 女性は僕の左の耳たぶをなめめそうなくらいに唇を寄せて囁いてくる。
 息も吹きかけてくるので、僕は彼女に握られた部分がさらに硬くなるのをどうしようも無かった。

 でも、僕の左肩に乗っていたはずのザミエルはどこへ行ったんだろう…
 ふと、頭をそんな考えがよぎったが、美しい手でさすられている股間の快感に小さな悪魔の事なんてすぐに忘れた。

 こうして僕は田辺の部屋に招き入れられた。
 この後…この部屋で繰り広げられる阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄絵図など、その時の僕には想像も出来なかった…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...