違う… 私じゃない…

幻田恋人

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第3話「バカっ、人違いだ…」

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絶体絶命であった…

そこへ聞こえてきたのはパトカーのサイレンの音

皆の注意がそちらへ向かう

犬までが泣き止んだ

今しかない

私はチャンスとばかりに

生け垣を飛び越えて逃げ出した

後ろから追ってくる怒号と犬の吠える鳴き声

また私は走っている

サイレンはまだ聞こえている

ちくしょう…なんでこんなことに…

掛けられた手錠を見て

涙が湧いてきた

コンビニの前を通ると

男が飛び出してきた

「強盗だあ!」

コンビニ店員らしき声

「何? 強盗だって?」

周辺にいた人が皆立ち止まる

私も立ち止まった

飛び出してきた男はとっくに逃げ去った

自然と手錠姿の私に人々の視線が…

「こいつだっ! 手錠してるぞ!」

にじり寄る人々…

バカっ、人違いだ…

「捕まえろっ!」

捕まってたまるか

私は再び走り出した

サイレンが聞こえる

「お巡りさんっ! こっちー!」

徒歩の警官も追跡に加わった

なんなんだいったい!

私は叫んだ

「違うっ! 私じゃないっ!」
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