僕と妹の電脳世界の大冒険

幻田恋人

文字の大きさ
上 下
1 / 2
第1章:起の章

第1話「妹が消えた…?」

しおりを挟む
僕はセイジ、高校2年生だ。

僕には妹が一人いる。
彼女はヨーコ、中学2年生だ。
僕とヨーコとは自他ともに認める、すごく仲の良い兄妹である。

ヨーコは兄の自分が言うのも変だが、すごく可愛い。
実際、友達と街を歩いていて芸能プロダクションにスカウトされたらしい。
この時は家まで押し掛けたスカウトマンを父が一喝して追い返し、事なきを得た。

学校の往き帰りでも、ヨーコが道を通るとすれ違う人が皆振り返るほどだ。
兄としては自慢の妹なのだが心配で仕方がない。

そんなヨーコだが、最近少しおかしい。
一緒に暮らす兄として感じるのだが、何か変なのである。
さては恋でもしたかと、別の意味で心配をしてしまう僕なのだ。

 だが、やはり兄妹だからか直感的にヨーコの様子が変なのは恋愛ではないような気がするのだ。
何故かと聞かれても兄としての直感と答えるしかないのだが…

僕は妹の様子を見守ることにした。兄なのだから当然の事だ。

学校から帰宅すると、ヨーコはいつもの様に手洗いとうがいをして着替をする。
その後は母が食事に呼ぶまで自分の部屋で勉強をしているらしい。
らしいと言うのは、いくら兄とは言え妹の部屋を覗くわけにもいかないからだ。
何しろ相手は実の妹と言っても中学2年生で14歳の少女なのだから。

そこで僕は考えた。
 なかなかいい考えが浮かばなかったが、ヨーコの様子を直に見るしか安心できないとの思いから一案を考えた。

それはこうだ。
食事のあとは家族で団らんなのだが、夜の9時頃にヨーコは風呂に入る。
この時に僕がヨーコの部屋に隠れて様子をうかがうのだ。

ヨーコが風呂に入った。
僕は先に風呂は済ませてある。
僕はヨーコの部屋に入った。別に鍵はかかっていない。
最近この部屋に入ることはなかったが、明るい色彩で装飾も女の子らしい部屋だ。
兄としてもヨーコの趣味が変なものでなくてほっとする。

僕はクローゼットに隠れてヨーコを見張ることにした。
『これって犯罪じゃないのか…?』
頭を少しよぎったが無視することにした。

僕はクローゼット中で丸くなったまま、いつしか眠っていたようだ。
ヨーコがドアを開けて入ってくる音で目が覚めた。

僕は気付かれないように息をこらして隙間から部屋の中を覗いた。
ヨーコに別におかしな様子は無く、自分の机に向かい椅子に腰を下ろした。
勉強をするのかと思うと、机の引き出しの中からタブレット端末を取り出した。

 ヨーコは親の方針で未だスマホを与えられておらず、家のWiーFiでタブレット端末を使う事のみ許可されている。
『ゲームでもするのかな?』
僕がそう思って見ていると、どうやらゲームではないらしい。

『何かのアプリを起動しているようだけど…』

見ているとタブレットの画面がボーッと緑色の光を発し始めた。
 しかし、普通の画面上の光ではなくホログラフィのように画面から光の柱が1メートル以上も立ち上って来た。

『なんだろう、あの光…』
僕は眩しさに目をすがめて覗き続けた。

やがて緑色の光はオーロラの様に広がり、椅子に座るヨーコを包み込んだ。
オーロラに包まれたヨーコの姿が見えなくなった。

「ヨーコっ!」
僕は叫んでクローゼットの扉を蹴り開けた。

ヨーコは緑色の光に全身を包まれている。
やがて光はヨーコのタブレットに吸い込まれるように消えた。

『ヨーコを緑色のオーロラが連れてったのか…。
タブレットの中に…?』

僕は急いでタブレットを取り上げ、画面を見つめた。
画面では、さっきの緑色の光が一面に輝いて表示されていた…
だが、しばらくして光は消えた。

周りを見回してもヨーコはいない。

『今のは現実なのか…?』
僕は茫然としてヨーコの机の前で立ち尽くしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生しても山あり谷あり!

tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」 兎にも角にも今世は “おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!” を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです

山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。 今は、その考えも消えつつある。 けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。 今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。 ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

処理中です...