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番外編
アインの教育?
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ーー紫音の語学レベルに驚いた3日後。
ライオネルからはもっと紫音を知りたい、紫音からは運動したい、アインからは一度紫音と手合わせしてみたい、ルイスからは紫音の実力を又聞きではなく自分で見て把握したいという4人の思惑が合致し、屋外の鍛練場の1つを4人で借りきっていた。
対外的には、ライオネルの魔力実験という名目で借り、危険な為関係者以外敷地に立ち入る事を禁止にしていたが、実際は紫音の能力が不明……というか規格外な気がした為、外部への情報漏洩対策である。
最初、過保護なライオネルは紫音が手合わせを行う事を良しとせず、もうちょっと体調が整ってからと言っていたが、紫音がライオネルの膝に乗りながら“無理をしないからダメ?”と上目遣いでライオネルにお願いした結果、現在に至る。
……頭の良い紫音はもうライオネルへのお願いの仕方を覚えたようである。
普段温厚なアインだが、やはり騎士になる位であり、あまり自己主張しない為忘れられがちだが、ここ近年の武道大会では連続優勝していて、実力が国1番の護衛騎士である。自分が強くなる事への向上心や探究心、強い者への憧れ等もあり、紫音との手合せを楽しみにしていた。
まずは、魔法なし、アインは刃を潰した剣と紫音は火かき棒を手にお互い10メートル程離れて向かい合う。
そして、ライオネルが号令をかけ、激しい打ち合いが始まる
事は無く
ーートス……、ドサッ
「「は?」」
一瞬で終わった。
ライオネルとルイスは思わず間抜けな声を上げていた。
2人が見たものは号令と共に紫音が消え、すぐ後にはアインの真横に立っており、首への手刀でアインを地に伏せさせていたという結果である。
紫音は剣は重くて手に馴染まないからと火かき棒を選択していたが、恐らく最初から実力差が有りすぎる事が分かっていたのだろう。
紫音の手刀も手加減されていたアインは目を瞬かせながら起き上がった。
2試合目。
全く話にならないので、少し条件を変えることになった。
紫音はその場から動かず、アインからの攻撃を受けた後から、反撃可能と言うことにした。
これは紫音の先手必勝の暗殺技術と俊敏性を封じ込めた形だ。
そして、ライオネルが号令をかけ今度こそ激しい打ち合いが始まる
事は無く
ーータタタタッ、キンッ……、ドサッ
「「……」」
またも打ち合いは一瞬で終わった。
ライオネルとルイスは“もしかしたら”と思っていた為、今度は声を上げることは無かった。
2人が見たものとは、アインが走り近付き剣を紫音に真っ向から振り下ろす。
紫音はその場から動かず、火かき棒を頭上に斜めにかざし、アインの剣を流すように受けると火かき棒を持った手とは逆の手でアインの手首を掴み背中から落ちるようにアインを放り投げた。
「……空飛んだ」
アインは衝撃のあまり、意味不明な事を言っている。
3試合目。
アインは魔法ありの全力で、紫音は相変わらず火かき棒で、2試合目の制限は取っ払いつつ、2人の向き合う場所を50メートル離れた地点にし、アインの魔法での遠距離攻撃も可能にした。
そして、ライオネルが号令をかけ今度こそ激しい打ち合いが始まる
事が出来た。
と言っても、1分かからず終わってしまったが。。。
ライオネルとルイスはもう紫音に対してジト目だった。
彼らのアドバンテージでもある魔法を併用した手合せでこれである。
アインは流石にショックを受けたようだったが、1番ショックを受けていたのは何を隠そう紫音である。
ーー国1番の護衛騎士がこんな残念レベルなんて!
大切なライオネルを守る騎士がこのレベルなんて!!
そして、この日から鬼上司紫音が降臨した。
「踏み込みが甘い」
「右足に重心かけすぎ」
「腰が入ってない」
「脇空きすぎ」
「どこ見てるんです」
「狙う場所分かってますか」
「ちゃんと頭使ってますか」
的確なアドバイスはアインにとって凄くためになり良いのだが、5分程打ち合うと紫音から発せられる冷たい視線と言葉で“何度言えばわかるんですこのグズが”という副音声が聞こえてくるようになる。
それから毎日きっかり30分紫音はアインに稽古をつけるようになり、アインは胃薬を使う量がちょっぴり増え、ライオネルは自身も手合わせしたかったが、あの紫音の冷たい視線に耐えられる気がしなくて断念し、ルイスはアインに渡す湿布や傷薬を毎日用意しなくてはならなくなった。
ライオネルは紫音を怒らせない世の中を作らねばならないとかたく決心したのだった。
ライオネルからはもっと紫音を知りたい、紫音からは運動したい、アインからは一度紫音と手合わせしてみたい、ルイスからは紫音の実力を又聞きではなく自分で見て把握したいという4人の思惑が合致し、屋外の鍛練場の1つを4人で借りきっていた。
対外的には、ライオネルの魔力実験という名目で借り、危険な為関係者以外敷地に立ち入る事を禁止にしていたが、実際は紫音の能力が不明……というか規格外な気がした為、外部への情報漏洩対策である。
最初、過保護なライオネルは紫音が手合わせを行う事を良しとせず、もうちょっと体調が整ってからと言っていたが、紫音がライオネルの膝に乗りながら“無理をしないからダメ?”と上目遣いでライオネルにお願いした結果、現在に至る。
……頭の良い紫音はもうライオネルへのお願いの仕方を覚えたようである。
普段温厚なアインだが、やはり騎士になる位であり、あまり自己主張しない為忘れられがちだが、ここ近年の武道大会では連続優勝していて、実力が国1番の護衛騎士である。自分が強くなる事への向上心や探究心、強い者への憧れ等もあり、紫音との手合せを楽しみにしていた。
まずは、魔法なし、アインは刃を潰した剣と紫音は火かき棒を手にお互い10メートル程離れて向かい合う。
そして、ライオネルが号令をかけ、激しい打ち合いが始まる
事は無く
ーートス……、ドサッ
「「は?」」
一瞬で終わった。
ライオネルとルイスは思わず間抜けな声を上げていた。
2人が見たものは号令と共に紫音が消え、すぐ後にはアインの真横に立っており、首への手刀でアインを地に伏せさせていたという結果である。
紫音は剣は重くて手に馴染まないからと火かき棒を選択していたが、恐らく最初から実力差が有りすぎる事が分かっていたのだろう。
紫音の手刀も手加減されていたアインは目を瞬かせながら起き上がった。
2試合目。
全く話にならないので、少し条件を変えることになった。
紫音はその場から動かず、アインからの攻撃を受けた後から、反撃可能と言うことにした。
これは紫音の先手必勝の暗殺技術と俊敏性を封じ込めた形だ。
そして、ライオネルが号令をかけ今度こそ激しい打ち合いが始まる
事は無く
ーータタタタッ、キンッ……、ドサッ
「「……」」
またも打ち合いは一瞬で終わった。
ライオネルとルイスは“もしかしたら”と思っていた為、今度は声を上げることは無かった。
2人が見たものとは、アインが走り近付き剣を紫音に真っ向から振り下ろす。
紫音はその場から動かず、火かき棒を頭上に斜めにかざし、アインの剣を流すように受けると火かき棒を持った手とは逆の手でアインの手首を掴み背中から落ちるようにアインを放り投げた。
「……空飛んだ」
アインは衝撃のあまり、意味不明な事を言っている。
3試合目。
アインは魔法ありの全力で、紫音は相変わらず火かき棒で、2試合目の制限は取っ払いつつ、2人の向き合う場所を50メートル離れた地点にし、アインの魔法での遠距離攻撃も可能にした。
そして、ライオネルが号令をかけ今度こそ激しい打ち合いが始まる
事が出来た。
と言っても、1分かからず終わってしまったが。。。
ライオネルとルイスはもう紫音に対してジト目だった。
彼らのアドバンテージでもある魔法を併用した手合せでこれである。
アインは流石にショックを受けたようだったが、1番ショックを受けていたのは何を隠そう紫音である。
ーー国1番の護衛騎士がこんな残念レベルなんて!
大切なライオネルを守る騎士がこのレベルなんて!!
そして、この日から鬼上司紫音が降臨した。
「踏み込みが甘い」
「右足に重心かけすぎ」
「腰が入ってない」
「脇空きすぎ」
「どこ見てるんです」
「狙う場所分かってますか」
「ちゃんと頭使ってますか」
的確なアドバイスはアインにとって凄くためになり良いのだが、5分程打ち合うと紫音から発せられる冷たい視線と言葉で“何度言えばわかるんですこのグズが”という副音声が聞こえてくるようになる。
それから毎日きっかり30分紫音はアインに稽古をつけるようになり、アインは胃薬を使う量がちょっぴり増え、ライオネルは自身も手合わせしたかったが、あの紫音の冷たい視線に耐えられる気がしなくて断念し、ルイスはアインに渡す湿布や傷薬を毎日用意しなくてはならなくなった。
ライオネルは紫音を怒らせない世の中を作らねばならないとかたく決心したのだった。
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