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本編
救助(ライオネル視点)
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背中に鞭を受けた日、濡れた体もあって、熱を出した。太陽の光が入らない為、1日の移り変わりが分からないが、体感であっていれば次の日は何もされず食事を出された。
熱と痛みで食べたくは無かったが、少しでも体力を回復する必要がある為無理矢理食べた。
その次の日はまた吊り下げられ、今度は胸等前面を鞭打たれ、最後はやはり塩水をかけられた。
その次の日はまた休みが与えられた。
そして5日目、男達の方に背中がむけられるようにまた吊り下げられる。
一度も回復魔法をかけられる事なく休みを挟みつつ続く拷問は、目的が分からず恐怖に駆られた。
「(シオン、シオン、シオン)」
心の中で、紫音を呼び続ける。紫音はもっと耐えていた。この位で何を言っているんだと。そう言い聞かせても、体は何をされるのか学習しているようで、男たちの声を聞くと勝手にブルブル震えた。
ーーそして、目隠しをされ拷問が開始される。
ーービシッ
「ぐっ、、(シオン)」
ライオネルにとっていつ終わるか分からない永遠とも言える時間。
ーービシッ
「あぁ、、(シオン)」
心が折れそうになる度、紫音の事を思い挫け無いようにする。
ーービシッ
「ぅ、う、(シオン)」
叫び出してしまいたい思いに駆られつつも、必死に耐え、声は出さない。
と、不意に続いていた衝撃が止み、男たちが騒めいた
「なんだぁーお前は?」
次の瞬間には
ーートスッ、トスッ、トスッ
と、軽い音がして、
ーードサッッ。
何かが崩れ落ちるような音が聞こえた。
ライオネルは火照った頭で考える。助けがきたのだろうかと。ただ先程から何も声を発さない相手。もしかして新手なのかもしれないと思うとやはり怖くて体が震えた。
誰かが静かに近付いてくる。
ーー怖い。
吊り下げられた状態から下ろしてくれる。
ーー怖い。
痛む体で無意識に後ろに下がる。
ーー怖い。
味方では無かったら次は何をされるのかと思うと怖くて仕方がない。
そのやってきた誰かはひんやりとした手で頭を撫でるとライオネルをそっと抱きしめてくれた。
「シ、オン?」
見せたい幻想がそうさせるのか紫音なのではないかと感じ、思わず声をかけてしまったが、相手からは声をかけられることもなく、いつまでたってもライオネルの目隠しも手枷も外されない。
そして、すっとライオネルを抱き上げて簡単に移動する様は、やはりあの華奢な紫音では無いのかと残念に思った。
考えてみればタイミングよく目覚めるなんて奇跡はそうそう起こるものでもないし、例え目覚めたとしても直前まで寝る事しかしていない人間が普通に歩けるわけがない。
紫音では無いのなら味方なのか、ただ違う場所に運んでる敵なのか分からず抵抗せずじっとする。
暫く抱えられるまま進んでいると、
「「ライオネル様!」」
いつも頼りにしている腹心の声が聞こえた。助けられたのかと実感すると急速に意識を闇へ飛ばした。
ーー早くシオンに会いたいなぁ。という思いを残して。
♢♢♢
「ん、ここは、、、」
目覚めると自室のベットだった。
ーーガタガタッ。
ベット脇からアインとルイスが近寄ってきた。
「ライオネル様お加減はいかがですか?」
「何かお持ちしましょうか?」
「いや、大丈夫だ。2人とも心配をかけた。助けてくれた者は?」
「私達の手の者です」
ルイスの回答にあり得ないとは分かっていたものの、やはり紫音では無かったのかと残念に思った。
「……シオンは?」
「大丈夫です。いつもと変わらずですので、今は私の部屋で横になられています」
「もう俺は大丈夫だから連れてきてくれないか?」
「いいえ! 傷は治癒の回復魔法で治しましたが、体と心の疲労は取れませんので暫く安静にしていてください。王や王太子様もご心配されています。シオン君の事は暫く私達にお任せください」
ルイスはこんこんとライオネルに説く。確かに自分の落ち度ではあるので今はルイスの言う通りにする事にした。
「少し休む」
そう言うと、ライオネルは眠り始めた。
ルイスはドアの方に顔を向けると、
「これで良かったですか? シオン君」
と、声をかけた。
紫音は無表情で肯くと部屋から出て行った。
熱と痛みで食べたくは無かったが、少しでも体力を回復する必要がある為無理矢理食べた。
その次の日はまた吊り下げられ、今度は胸等前面を鞭打たれ、最後はやはり塩水をかけられた。
その次の日はまた休みが与えられた。
そして5日目、男達の方に背中がむけられるようにまた吊り下げられる。
一度も回復魔法をかけられる事なく休みを挟みつつ続く拷問は、目的が分からず恐怖に駆られた。
「(シオン、シオン、シオン)」
心の中で、紫音を呼び続ける。紫音はもっと耐えていた。この位で何を言っているんだと。そう言い聞かせても、体は何をされるのか学習しているようで、男たちの声を聞くと勝手にブルブル震えた。
ーーそして、目隠しをされ拷問が開始される。
ーービシッ
「ぐっ、、(シオン)」
ライオネルにとっていつ終わるか分からない永遠とも言える時間。
ーービシッ
「あぁ、、(シオン)」
心が折れそうになる度、紫音の事を思い挫け無いようにする。
ーービシッ
「ぅ、う、(シオン)」
叫び出してしまいたい思いに駆られつつも、必死に耐え、声は出さない。
と、不意に続いていた衝撃が止み、男たちが騒めいた
「なんだぁーお前は?」
次の瞬間には
ーートスッ、トスッ、トスッ
と、軽い音がして、
ーードサッッ。
何かが崩れ落ちるような音が聞こえた。
ライオネルは火照った頭で考える。助けがきたのだろうかと。ただ先程から何も声を発さない相手。もしかして新手なのかもしれないと思うとやはり怖くて体が震えた。
誰かが静かに近付いてくる。
ーー怖い。
吊り下げられた状態から下ろしてくれる。
ーー怖い。
痛む体で無意識に後ろに下がる。
ーー怖い。
味方では無かったら次は何をされるのかと思うと怖くて仕方がない。
そのやってきた誰かはひんやりとした手で頭を撫でるとライオネルをそっと抱きしめてくれた。
「シ、オン?」
見せたい幻想がそうさせるのか紫音なのではないかと感じ、思わず声をかけてしまったが、相手からは声をかけられることもなく、いつまでたってもライオネルの目隠しも手枷も外されない。
そして、すっとライオネルを抱き上げて簡単に移動する様は、やはりあの華奢な紫音では無いのかと残念に思った。
考えてみればタイミングよく目覚めるなんて奇跡はそうそう起こるものでもないし、例え目覚めたとしても直前まで寝る事しかしていない人間が普通に歩けるわけがない。
紫音では無いのなら味方なのか、ただ違う場所に運んでる敵なのか分からず抵抗せずじっとする。
暫く抱えられるまま進んでいると、
「「ライオネル様!」」
いつも頼りにしている腹心の声が聞こえた。助けられたのかと実感すると急速に意識を闇へ飛ばした。
ーー早くシオンに会いたいなぁ。という思いを残して。
♢♢♢
「ん、ここは、、、」
目覚めると自室のベットだった。
ーーガタガタッ。
ベット脇からアインとルイスが近寄ってきた。
「ライオネル様お加減はいかがですか?」
「何かお持ちしましょうか?」
「いや、大丈夫だ。2人とも心配をかけた。助けてくれた者は?」
「私達の手の者です」
ルイスの回答にあり得ないとは分かっていたものの、やはり紫音では無かったのかと残念に思った。
「……シオンは?」
「大丈夫です。いつもと変わらずですので、今は私の部屋で横になられています」
「もう俺は大丈夫だから連れてきてくれないか?」
「いいえ! 傷は治癒の回復魔法で治しましたが、体と心の疲労は取れませんので暫く安静にしていてください。王や王太子様もご心配されています。シオン君の事は暫く私達にお任せください」
ルイスはこんこんとライオネルに説く。確かに自分の落ち度ではあるので今はルイスの言う通りにする事にした。
「少し休む」
そう言うと、ライオネルは眠り始めた。
ルイスはドアの方に顔を向けると、
「これで良かったですか? シオン君」
と、声をかけた。
紫音は無表情で肯くと部屋から出て行った。
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