魂の番〜生まれた世界が違った為に不幸だったらしいのですが、転生先では幸せになれますか?〜

あやまみりぃ

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これから

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 2人とも落ち着くと、ルルガノーシュは裕人の右手は持ったまま椅子に戻り静かに話だした。


 裕人は自分の事に必死で気が付かなかったが、また医務室の特殊なベットにお世話になっていたそう。
 裕人が自殺未遂をしてから、危篤状態は乗り越えたものの、3日間目が覚めなかったそうだ。

 そして、今回ルルガノーシュは政務を全てほっぽり出して、ほぼ寝ずに裕人の側でずっと裕人との事について考えていた。
 その結果、このまま1週間たっても目覚めなかったら、生命維持のベットから離し、裕人の死を看取ってから自分も後を追おうと決めていたという事だった。

 一国の王が政務をほっぽり出して良いのかと呆れつつも、後を追う事含めそこまで裕人の事を思っていてくれた事が嬉しくて、何も言えない。

 一時だけでも情を分かち合った仲だから、裕人の死に悲しんではくれるだろうとは思っていたが、まさか後を追う事まで考えるとは思って居なかったので、自殺は失敗して良かったなと思った。

 ルルガノーシュが求めてくれるなら、ルルガノーシュが必要としてくれる間は側にいたいと思うと伝えると

「そうか、今迄のでは足りなかったな。もっと分かりやすくヒロが必要なことをいっぱい伝えないとだな」

 と、言っていたが、どうするのかちょっと不安だ。


 そして、ポツリポツリとルルガノーシュに言っていなかった裕人の過去を話す。
 母親の死の原因、前世の死因、誘拐された時の事とその後の出来事や感情、最近思っていた事等。

 はじめは喋るかどうか迷ったが、ルルガノーシュがここまで愛を示してくれていることと、裕人の話を聞いて幻滅するなら、傷が浅く早い方が良いかと思い話す事にした。

 あまり、良い思い出ではない為、自分の手元を見ながら淡々と語る。

 喋っていくと心の整理も出来るみたいで、あんなに重かったように感じていたものが、少しずつ軽くなっていくようだった。

 そして、自分で喋っていて思ったのは、結局一貫して”愛されたかった”という事なんだなと思った。
 愛されたかったが故に、拓人達から逃げる事もせず言いなりになり、愛を失うのが怖かったが故に、陵辱された記憶を忘れ、思い出してもルルガノーシュにも誰にも言えずにいたのだと。


 喋り終えても静かなので、ルルガノーシュの方を見ると、静かに泣いていた。

 まさか裕人の過去の話に泣くなんて思っておらず、ギョッとした。

「気付いてやれず、すまなかったな。これからは俺の隣にずっといてくれ」

 話していないのだから、ルルガノーシュが気がつけるわけがないのだが、その後の言葉が嬉しかったので特に突っ込まず頷いた。


♢♢♢


 2人の話がひと段落して、落ち着いた所で、ルルガノーシュの部屋へ移動しようとルルガノーシュに抱っこされ医務室を出たら、廊下にクロード、ニコラス、医者、護衛騎士達が居て驚いた。

 ルルガノーシュが医務室に籠る事を決めた時、誰であろうと何があろうと許可するまで入室は禁止と命じ、更に部屋の中からはずっと威圧が凄くてとても入れる状態では無かったのが、数時間前から威圧が解けたらしいという事で、廊下に集まっていたようだ。

 裕人は通りで、誰も居なかったなと思いつつ、確か人が誰か居たら、裕人の後追い自殺発言等、出来なかったし、発言したとしても周りに止められたりして裕人との話所ではなくなるだろうから良かったのかもしれないが。
 ……医務室の部屋の主である医者まで入室禁止にするのはどうかとは思ったが。

 廊下に待機していた人達にルルガノーシュも裕人も心配されつつ、怒られつつ、ルルガノーシュは溜まった執務を行いに行き、裕人はニコラスの可愛い説教を聞きながら護衛騎士と共に離れではなくルルガノーシュの部屋へ向かい、ゆっくり日常へ戻るのだった。



 ーーその後。

 
 よく狼族に間違われるクロードが実は黒豹族で、黒豹族が神子守の一族だったが故に神子の事には詳しく、神子大好き一族というのはクロードも漏れず、クロードの態度は好きすぎて緊張してつい言い方が冷たくなっていた事が発覚し、

 裕人がボソッと呟いた”ツンデレ”という言葉が国内に意味と共に流行ったり、

 ニコラスがたまたま留学にきていた狼族の青年に一目惚れをしただとか、

 いつの間にか狼族と黒豹族を中心に”神子様の幸せを見守り隊”というものが出来ていたりと、

 事態は動いていったが、


 ルルガノーシュと裕人の仲睦まじさは生涯変わらず、お互いを尊重しながらお互い1人だけを愛し抜いた事から、

 若者は”魂の番”に憧れ、異種族同士の番に寛容になり、どの種族でも番を決めたなら生涯番以外を抱かない純愛が流行ったそうだ。


 元々裕人は頭が良かった為、数年もしてこちらの世界の常識を一通り理解すると前世の知識も活かしつつ、ルルガノーシュを立てながら、その実尻に敷きながら国の発展に尽くしたという。


♢♢♢


「綺麗だね」
「うん?」
「星が綺麗だなと思って」

 寝る前になって、裕人が急に屋根に登ってみたいと言った為、ルルガノーシュは裕人を毛布にくるんだまま担ぎ上げ、王宮の屋根に2人は居た。

 体勢はいつもの如く、裕人がルルガノーシュに膝抱っこされている形である。

「こんなに星が綺麗だったなんて、前世でも感じる余裕無かったし、今世でも今まで気が付かなかったよ」
「そうか」
「これからこの国のこと、ガノの事知りたいと思うから、よろしくね」
「ああ。……愛してる」
「ふふ。僕も愛してる」

 2人は寄り添いながら星とこれからの未来を見ていた。


完結
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みんなの感想(1件)

にんじん
2024.12.07 にんじん

ハラハラした…!!心臓が潰れそうだったけどハッピーエンドでほんとによかったです…!
素敵な作品をありがとうございました、!!

解除

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