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和平条約(ルルガノーシュ視点)
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壊れた裕人を抱きしめながら寝た次の日。
認識されないのは、胸が苦しいが、裕人がこの腕の中にいるという事がいかに幸せであるかと言う事を実感した。
だからこそ、この幸せを妨害するものは友人だろうが、人に恨まれようが徹底的に排除する事を決めた。
ぐっすり寝ている裕人を起こさないように、ベットを出ると部屋を移動して着替える。
今日は和平条約2周年記念式典の為正装をしなければならない。
そして、昨日の結果を聞くためにも、着替え終えると執務室に向かった。
「昨日のはどうだった?」
目の下に隈を作ったクロードに確認する。周辺国の各部族や国内の貴族からのプレゼントは相当数あった為、寝る暇が無かったのだろう。
「媚薬等怪しいものは少々入っておりましたが、確実に黒に近い物がありまして、クマのぬいぐるみの中に注射と薬が入っておりました。贈り主は“神殿“と記載されておりますが、何処の神殿かまでは特定出来ませんでした」
「……その薬は何の薬だ? 毒薬か?」
「先程医務室に届け、現在確認中ですが調べるには時間がかかるそうです。……陛下威圧は抑えてください」
「暗殺用か? ……いや、プレゼントの中という事はもしかして裕人が自分で打つ為に探していたのか?」
裕人には注射痕が多くあった。常習性のものだろうか。それならば、いきなり薬を絶ってしまうと、更に壊れてしまう可能性もあるのではないか。
ーーギリリ。
焦燥と苛立ちで拳を必要以上に握り締める。
「陛下、落ち着いてください。もし常習性があればもうちょっとなりふり構わず探すでしょう。それにヒロト様は神子です。ただの毒だとしても癒しの力があるので、軽減されているでしょう。それから念の為に解毒薬もいただきましたから、何の薬か判明するまでは食後に飲んでいただこうと思います」
クロードは一気にまくしたて、ルルガノーシュの怒りを鎮めさせた。
「……分かった。では和平条約記念式典だな」
「ユタ王もあと1時間後には着くでしょう」
ルルガノーシュとクロードは最後の調整の為に、仕事を行い来賓並びにユタ王を迎える準備を行った。
ーー来賓があら方揃い、正午を過ぎるもユタ王は現れなかった。
ルルガノーシュは、事情を知る為に転移陣を使用した手紙を送ったり、使いの者を送ったりし、夕方までは待った。
だが、いつまでたっても狼族の者は誰1人現れず、使者や手紙でさえ何も来なかった。
ーー陽が完全に沈んだ。
会場は先程から静かだ。
予定していた和平条約2周年式典の時間は過ぎ、来賓客は帰って行き、残るは自国の貴族だけ。
ルルガノーシュは玉座から立ち上がると
「狼族と戦争を始める。準備が間に合う者から明日出発させろ。以上だ」
言うだけ言って、ルルガノーシュは執務室へ向かった。
あまり公にされていないが、ローザリア国1に足の早さと隠密行動に長けた種族のクロードは事情を探る為に宰相自ら、お昼過ぎには狼族の領地へ向かっていた為、この場には居なかった。
ーーまさか、本当に来ないとはな。ユタは国内をおさえられなかったか。
お前に恨みは無いが、こうなってしまってはもう止める事は出来ない。
恨みを残さぬよう皆殺しにするだけだ。
戦争の為の準備を最低限行い、ルルガノーシュが居ない間の指示を出し自室に戻る。
暫く裕人に会えなくなるから、少し位ゆっくりしても良いだろう。
昨日と同じく寝る準備をした後、裕人を膝抱っこし抱きしめる。
「まだ熱が出てるな。……そんなヒロを置いて行くのは心苦しいが、明日から暫くこちらには戻って来れないだろう。でもすぐに終わらせて戻って来るから良い子にしてるんだぞ。ヒロの怖い物は全部消して来るからな」
この手の中の者を守る為なら、残虐王と呼ばれたって構わない。
もし心が戻った場合、裕人に嫌われるかもしれないが、危険に晒すよりはずっと良い。
いくらでも殺してやる。
昨日と同じく裕人を抱きしめて眠り、朝は寝ている裕人に唇にキスをして部屋を出て行った。
クロードはまだ戻って居なかった。国境付近であれば、深夜には戻ってこれただろうが、国境付近では情報が集まらなかったのだろう。
王都まで行っていれば早くても帰ってくるのは今日の午後になってしまうだろう。
帰ってくる途中でこちらの情報も得てくるだろうが、すれ違った場合に備えて執務室にクロード宛の手紙を残しておく。
そして、お昼前、ルルガノーシュは準備が間に合った兵を引き連れて、狼族の領地へ向かい出発した。
ーー手紙が読まれる事がない事を知らずに。
認識されないのは、胸が苦しいが、裕人がこの腕の中にいるという事がいかに幸せであるかと言う事を実感した。
だからこそ、この幸せを妨害するものは友人だろうが、人に恨まれようが徹底的に排除する事を決めた。
ぐっすり寝ている裕人を起こさないように、ベットを出ると部屋を移動して着替える。
今日は和平条約2周年記念式典の為正装をしなければならない。
そして、昨日の結果を聞くためにも、着替え終えると執務室に向かった。
「昨日のはどうだった?」
目の下に隈を作ったクロードに確認する。周辺国の各部族や国内の貴族からのプレゼントは相当数あった為、寝る暇が無かったのだろう。
「媚薬等怪しいものは少々入っておりましたが、確実に黒に近い物がありまして、クマのぬいぐるみの中に注射と薬が入っておりました。贈り主は“神殿“と記載されておりますが、何処の神殿かまでは特定出来ませんでした」
「……その薬は何の薬だ? 毒薬か?」
「先程医務室に届け、現在確認中ですが調べるには時間がかかるそうです。……陛下威圧は抑えてください」
「暗殺用か? ……いや、プレゼントの中という事はもしかして裕人が自分で打つ為に探していたのか?」
裕人には注射痕が多くあった。常習性のものだろうか。それならば、いきなり薬を絶ってしまうと、更に壊れてしまう可能性もあるのではないか。
ーーギリリ。
焦燥と苛立ちで拳を必要以上に握り締める。
「陛下、落ち着いてください。もし常習性があればもうちょっとなりふり構わず探すでしょう。それにヒロト様は神子です。ただの毒だとしても癒しの力があるので、軽減されているでしょう。それから念の為に解毒薬もいただきましたから、何の薬か判明するまでは食後に飲んでいただこうと思います」
クロードは一気にまくしたて、ルルガノーシュの怒りを鎮めさせた。
「……分かった。では和平条約記念式典だな」
「ユタ王もあと1時間後には着くでしょう」
ルルガノーシュとクロードは最後の調整の為に、仕事を行い来賓並びにユタ王を迎える準備を行った。
ーー来賓があら方揃い、正午を過ぎるもユタ王は現れなかった。
ルルガノーシュは、事情を知る為に転移陣を使用した手紙を送ったり、使いの者を送ったりし、夕方までは待った。
だが、いつまでたっても狼族の者は誰1人現れず、使者や手紙でさえ何も来なかった。
ーー陽が完全に沈んだ。
会場は先程から静かだ。
予定していた和平条約2周年式典の時間は過ぎ、来賓客は帰って行き、残るは自国の貴族だけ。
ルルガノーシュは玉座から立ち上がると
「狼族と戦争を始める。準備が間に合う者から明日出発させろ。以上だ」
言うだけ言って、ルルガノーシュは執務室へ向かった。
あまり公にされていないが、ローザリア国1に足の早さと隠密行動に長けた種族のクロードは事情を探る為に宰相自ら、お昼過ぎには狼族の領地へ向かっていた為、この場には居なかった。
ーーまさか、本当に来ないとはな。ユタは国内をおさえられなかったか。
お前に恨みは無いが、こうなってしまってはもう止める事は出来ない。
恨みを残さぬよう皆殺しにするだけだ。
戦争の為の準備を最低限行い、ルルガノーシュが居ない間の指示を出し自室に戻る。
暫く裕人に会えなくなるから、少し位ゆっくりしても良いだろう。
昨日と同じく寝る準備をした後、裕人を膝抱っこし抱きしめる。
「まだ熱が出てるな。……そんなヒロを置いて行くのは心苦しいが、明日から暫くこちらには戻って来れないだろう。でもすぐに終わらせて戻って来るから良い子にしてるんだぞ。ヒロの怖い物は全部消して来るからな」
この手の中の者を守る為なら、残虐王と呼ばれたって構わない。
もし心が戻った場合、裕人に嫌われるかもしれないが、危険に晒すよりはずっと良い。
いくらでも殺してやる。
昨日と同じく裕人を抱きしめて眠り、朝は寝ている裕人に唇にキスをして部屋を出て行った。
クロードはまだ戻って居なかった。国境付近であれば、深夜には戻ってこれただろうが、国境付近では情報が集まらなかったのだろう。
王都まで行っていれば早くても帰ってくるのは今日の午後になってしまうだろう。
帰ってくる途中でこちらの情報も得てくるだろうが、すれ違った場合に備えて執務室にクロード宛の手紙を残しておく。
そして、お昼前、ルルガノーシュは準備が間に合った兵を引き連れて、狼族の領地へ向かい出発した。
ーー手紙が読まれる事がない事を知らずに。
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