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語り
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ーールルガノーシュの部屋。
クロードの判断により、ルルガノーシュの次によく会っていた面識のあるニコラスで何か反応が無いか確かめる事も兼ねて事情を説明した上で遅いお昼の介助をする事になった。
ニコラスは部屋に入るなり、ベットの上で座ってぼーっとしている裕人の側により声をかける。
「ヒロト!! 何処に行ってたんだよ!! ヒロトの旦那の眉間がすごい事になってたんだぞ」
裕人は話しかけられている事も分からないようで、ニコラスを見ることなく真っ直ぐ前を向いたままだ。
聞いてはいたが、以前の表情とは全く違う喜怒哀楽が抜け落ちた顔と、底知れない瞳を目の当たりにするとニコラスはショックを受けたが、めげていられないと裕人に向かい合うようにベットに乗り上げ、手を握りまた話しかける。
「ニコだよ。……ヒロトの紅茶楽しみにしてるんだから、早く帰って来いよ……」
変わらない反応にニコラスは泣きそうになるも、食事の介助をしなければと、ベットからおり世話をする。
幸い、食べ物をスプーンにすくって口元に持っていくと、口を開け大人しく食べてくれる為、手間はかからずに済んだ。
食事の介助後ニコラスは、他愛もない事を裕人に喋り、夜ご飯の介助も行うとルルガノーシュに報告する為に部屋を出て行った。
♢♢♢
ーー誰もいない。
裕人はふと部屋に誰も居ないことに気が付いた。
ーーそうだ“神殿からの贈り物のクマのぬいぐるみ”を探さなきゃ。
ベットからおり、うろうろすると1つのドアの向こうが小部屋になっており、綺麗な包装紙に包まれた荷物がいっぱいあった。
近くにあった1つを手に取り恐らく差出人が書いてあるであろうカードを眺める。
……何が書いてあるか分からなかった。
恐らく文字なのだろうが、日本語でもなく英語でもない文字は読めない。
どれか分からない為、1つずつ空けてしまおうか迷ってると、
「ヒロっ!!」
もう人が帰ってきてしまったようなので、捜索は諦めて箱を戻した。
♢♢♢
(ルルガノーシュ視点)
ある程度執務を終わらせて、寝る為に部屋へ戻る。部屋に入る前にニコラスを廊下に呼び出し簡単に昼間の様子や食事の様子を聞いた。
残念ながらニコラスでも何も変わらなかったようだ。
有益な情報が無いのであれば、ニコラスにもう用はない。早く裕人に会いたいとも思うのに、壊れた裕人を見たくない思いもあり、足取りは重いまま部屋のドアを開ける。
部屋に入った所で、ベットに裕人が居ないことに気がついた。
「ヒロっ!!」
また拐われたのか? と一瞬血の気が引いて、急いで部屋に入ると小部屋のドアが開いており、ドアの前に裕人が座り込んでいるのが見えた。
裕人を抱き上げる。
「どうしたんだ? 何か気になる事があったのか?」
ルルガノーシュが問いかけても、最初に見た時同様何も反応しなかった。
それでも抱き上げた裕人は温かかった。
ーーそうだ、壊れていてもまだ生きている。自分に向けられる感情はなくても、まだ存在しているんだ。
自分が愛した裕人に全く認識されない事にギュッと締め付けられるような心の痛みを感じる。
それでも、裕人はまだ生きていて動かずとも自分の側にいてくれる。
切なく苦しい。それでも側にいたい。そんな感情を知ったのは初めてだ。
抱き上げた裕人の肩口に顔を埋め、気持ちを落ち着かせる。
いつの間にか執務中の苛々はなくなっていた。
裕人の心が壊れてしまっているなら、ここから修復していけばよい。
母親は心を壊してそのまま死んでしまったが、裕人は絶対死なせない。
そう決意し、小部屋をちらりと確認する。
ここには、今日までに届けられた裕人への贈り物がしまってある部屋だった。
勿論使者を通した物しか受け取っては居ないが、中身は確認していなかった。
現在裕人が自発的に反応したのはこの贈り物関連だけとなると、裕人には悪いが念の為中身を確認させる事に決め、クロードを呼んで事情を話し、全ての贈り物を小部屋から運ばせ、朝までに全て確認するよう指示をだした。
贈り物を部屋から運ばせている間も、裕人は何も反応しなかった。
反応があれば、限りなく黒に近かったのだろうが……後はクロードに任せるだけだ。
裕人をベットに連れて行き寝る準備をする。後は寝るだけとなり、明日は大事な和平条約2周年記念式典という大事な日な為、早く寝ないといけないのだが、少しだけと言い訳し、ルルガノーシュがベットに腰掛け、膝の上に裕人を乗せいつもの体勢を取った。
いつもの体勢なのだが、何だか久しぶりでそれだけで胸に込み上げるものがあった。
裕人の顔を自分に向け、話始める。
「ヒロが帰ってきてくれて嬉しい。ヒロが居ない世界は何も楽しい事なんて無かった。……やはり俺にはヒロが必要なんだ。隣に居てくれなければ、俺は生きていている意味を感じないんだ……」
「愛してるヒロ。絶対死なせはしないから。これからはずっと側にいてくれ」
裕人の必要性と愛を語りかけると、そっと額にキスをし今度こそ裕人を隣に寝かせ、照明を消すとまるで逃がさないというように裕人を抱き込み寝るのだった。
クロードの判断により、ルルガノーシュの次によく会っていた面識のあるニコラスで何か反応が無いか確かめる事も兼ねて事情を説明した上で遅いお昼の介助をする事になった。
ニコラスは部屋に入るなり、ベットの上で座ってぼーっとしている裕人の側により声をかける。
「ヒロト!! 何処に行ってたんだよ!! ヒロトの旦那の眉間がすごい事になってたんだぞ」
裕人は話しかけられている事も分からないようで、ニコラスを見ることなく真っ直ぐ前を向いたままだ。
聞いてはいたが、以前の表情とは全く違う喜怒哀楽が抜け落ちた顔と、底知れない瞳を目の当たりにするとニコラスはショックを受けたが、めげていられないと裕人に向かい合うようにベットに乗り上げ、手を握りまた話しかける。
「ニコだよ。……ヒロトの紅茶楽しみにしてるんだから、早く帰って来いよ……」
変わらない反応にニコラスは泣きそうになるも、食事の介助をしなければと、ベットからおり世話をする。
幸い、食べ物をスプーンにすくって口元に持っていくと、口を開け大人しく食べてくれる為、手間はかからずに済んだ。
食事の介助後ニコラスは、他愛もない事を裕人に喋り、夜ご飯の介助も行うとルルガノーシュに報告する為に部屋を出て行った。
♢♢♢
ーー誰もいない。
裕人はふと部屋に誰も居ないことに気が付いた。
ーーそうだ“神殿からの贈り物のクマのぬいぐるみ”を探さなきゃ。
ベットからおり、うろうろすると1つのドアの向こうが小部屋になっており、綺麗な包装紙に包まれた荷物がいっぱいあった。
近くにあった1つを手に取り恐らく差出人が書いてあるであろうカードを眺める。
……何が書いてあるか分からなかった。
恐らく文字なのだろうが、日本語でもなく英語でもない文字は読めない。
どれか分からない為、1つずつ空けてしまおうか迷ってると、
「ヒロっ!!」
もう人が帰ってきてしまったようなので、捜索は諦めて箱を戻した。
♢♢♢
(ルルガノーシュ視点)
ある程度執務を終わらせて、寝る為に部屋へ戻る。部屋に入る前にニコラスを廊下に呼び出し簡単に昼間の様子や食事の様子を聞いた。
残念ながらニコラスでも何も変わらなかったようだ。
有益な情報が無いのであれば、ニコラスにもう用はない。早く裕人に会いたいとも思うのに、壊れた裕人を見たくない思いもあり、足取りは重いまま部屋のドアを開ける。
部屋に入った所で、ベットに裕人が居ないことに気がついた。
「ヒロっ!!」
また拐われたのか? と一瞬血の気が引いて、急いで部屋に入ると小部屋のドアが開いており、ドアの前に裕人が座り込んでいるのが見えた。
裕人を抱き上げる。
「どうしたんだ? 何か気になる事があったのか?」
ルルガノーシュが問いかけても、最初に見た時同様何も反応しなかった。
それでも抱き上げた裕人は温かかった。
ーーそうだ、壊れていてもまだ生きている。自分に向けられる感情はなくても、まだ存在しているんだ。
自分が愛した裕人に全く認識されない事にギュッと締め付けられるような心の痛みを感じる。
それでも、裕人はまだ生きていて動かずとも自分の側にいてくれる。
切なく苦しい。それでも側にいたい。そんな感情を知ったのは初めてだ。
抱き上げた裕人の肩口に顔を埋め、気持ちを落ち着かせる。
いつの間にか執務中の苛々はなくなっていた。
裕人の心が壊れてしまっているなら、ここから修復していけばよい。
母親は心を壊してそのまま死んでしまったが、裕人は絶対死なせない。
そう決意し、小部屋をちらりと確認する。
ここには、今日までに届けられた裕人への贈り物がしまってある部屋だった。
勿論使者を通した物しか受け取っては居ないが、中身は確認していなかった。
現在裕人が自発的に反応したのはこの贈り物関連だけとなると、裕人には悪いが念の為中身を確認させる事に決め、クロードを呼んで事情を話し、全ての贈り物を小部屋から運ばせ、朝までに全て確認するよう指示をだした。
贈り物を部屋から運ばせている間も、裕人は何も反応しなかった。
反応があれば、限りなく黒に近かったのだろうが……後はクロードに任せるだけだ。
裕人をベットに連れて行き寝る準備をする。後は寝るだけとなり、明日は大事な和平条約2周年記念式典という大事な日な為、早く寝ないといけないのだが、少しだけと言い訳し、ルルガノーシュがベットに腰掛け、膝の上に裕人を乗せいつもの体勢を取った。
いつもの体勢なのだが、何だか久しぶりでそれだけで胸に込み上げるものがあった。
裕人の顔を自分に向け、話始める。
「ヒロが帰ってきてくれて嬉しい。ヒロが居ない世界は何も楽しい事なんて無かった。……やはり俺にはヒロが必要なんだ。隣に居てくれなければ、俺は生きていている意味を感じないんだ……」
「愛してるヒロ。絶対死なせはしないから。これからはずっと側にいてくれ」
裕人の必要性と愛を語りかけると、そっと額にキスをし今度こそ裕人を隣に寝かせ、照明を消すとまるで逃がさないというように裕人を抱き込み寝るのだった。
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