23 / 49
疑惑
しおりを挟む
衣装の制作開始から4日かけてやっと、”番の誓い”で着る衣装が決まった後は、仮縫い後の試着も順調に進み、”番の誓い”の3日前に衣装が出来上がり、そのまま完成品の試着をし問題ない事を確認し、今日は朝から明日のリハーサル兼説明を受けて、ひと段落した所である。
そう。もう”番の誓い”の前日である。
この1ヶ月”番の誓い”と和平条約2周年式典の準備で忙しく過ごしていたらいつの間にか1ヶ月たっていた。
そんな中最低限ギリギリ勉強も終えた現在、久しぶりにニコラスとのゆっくりしたお茶の時間を楽しんでいた。
因みに明日は日も出てない朝から準備がある為、今は束の間の休息時間だ。
“衣装はニコがいてくれて本当助かったよ。ありがとう”
お茶を飲みつつ、この怒涛の1ヶ月を振り返り、ニコラスにお礼を言う。
「ふふん。僕はセンスが良いからね。見せ方も勿論知ってるし」
ニコラスは得意げに裕人に言う。
紙に書いたように、ニコラスには本当に助けられたのだ。
日本にいた時は与えられる物しか着ていなかった為、生地の良し悪し等そこまで意識していなかったし、当然流行り廃り等も分からない。ましてやこちらに転生してからは特に常識や価値観等も何が同じで何が違うか分からない為、裕人1人だったらいつまで経っても何も決まらなかっただろう。
「それにしても、クロード宰相のあたり最近強くない?」
“そうかな? まぁ、言い方はキツいし、ピリピリはしてるけど。狼族の襲撃未遂事件があったからじゃない?”
1週間前にも狼族の反政府派の襲撃計画があったのだ。だが、そちらは情報が先にあった為、前回と違って表立って何か起こる前に潰す事ができ、何も被害は被らなかった。
ニコラスは顔を寄せると小声で言った。
「だからじゃないの?」
何が”だから”なのだろうか? と裕人が首を捻っていると、ニコラスは呆れた顔をしつつも続けた。
「前に言ったじゃん。クロード宰相は狼族と繋がってる疑惑があるって。襲撃が事前にバレて不機嫌になってるんじゃないの? 襲撃が上手く行ったら、一気に狼族が攻め込んでくるんじゃないか? 前の戦争の前にも、何度も仕掛けてきてたし」
“え? でも今の王は争いが嫌いだから和平条約結んだんじゃないの?”
「そんな噂信じられるかよ。狼族はここ8年で5回も攻めてこようとしたんだぞ? 確かに前回の戦争で王も変わって和平条約も結んだけど、それが今の王が争いが嫌いだと言う理由にはならないだろう?」
確かにルルガノーシュはユタ王を直に知ってるから争いが嫌いな事も知ってるけど、ユタ王を知らない人からしたら、過去の事実の方を重要視するのも分からなくない。
現に、狼族による小競り合いは起こっていて、そう思ってしまうのも仕方ないのかもしれない。
「まぁ、とにかく、ヒロトも気を付けろよ。明日の”番の誓い”は人の出入りも多いからな。……それにしても明日は初夜かぁ~。もうやっちゃってるけどなぁ。明後日はヒロトも陛下も休みで、テンション爆上がりでヤバいんじゃないのー?」
前半、真面目に心配の言葉をかけて貰ったと思ったら、後半は下ネタで、裕人は思わず赤くなった。
そして、その懸念はあったので余計にだ。
“もう”と口をパクパクさせると、ニコラスは分かったようで笑い出した。
「まぁ、明日の前に、今日もだな。明日は朝早いんだから程々にしてもらいなよ」
15歳のニコラスに終始揶揄われる18歳の裕人だった。
そう。もう”番の誓い”の前日である。
この1ヶ月”番の誓い”と和平条約2周年式典の準備で忙しく過ごしていたらいつの間にか1ヶ月たっていた。
そんな中最低限ギリギリ勉強も終えた現在、久しぶりにニコラスとのゆっくりしたお茶の時間を楽しんでいた。
因みに明日は日も出てない朝から準備がある為、今は束の間の休息時間だ。
“衣装はニコがいてくれて本当助かったよ。ありがとう”
お茶を飲みつつ、この怒涛の1ヶ月を振り返り、ニコラスにお礼を言う。
「ふふん。僕はセンスが良いからね。見せ方も勿論知ってるし」
ニコラスは得意げに裕人に言う。
紙に書いたように、ニコラスには本当に助けられたのだ。
日本にいた時は与えられる物しか着ていなかった為、生地の良し悪し等そこまで意識していなかったし、当然流行り廃り等も分からない。ましてやこちらに転生してからは特に常識や価値観等も何が同じで何が違うか分からない為、裕人1人だったらいつまで経っても何も決まらなかっただろう。
「それにしても、クロード宰相のあたり最近強くない?」
“そうかな? まぁ、言い方はキツいし、ピリピリはしてるけど。狼族の襲撃未遂事件があったからじゃない?”
1週間前にも狼族の反政府派の襲撃計画があったのだ。だが、そちらは情報が先にあった為、前回と違って表立って何か起こる前に潰す事ができ、何も被害は被らなかった。
ニコラスは顔を寄せると小声で言った。
「だからじゃないの?」
何が”だから”なのだろうか? と裕人が首を捻っていると、ニコラスは呆れた顔をしつつも続けた。
「前に言ったじゃん。クロード宰相は狼族と繋がってる疑惑があるって。襲撃が事前にバレて不機嫌になってるんじゃないの? 襲撃が上手く行ったら、一気に狼族が攻め込んでくるんじゃないか? 前の戦争の前にも、何度も仕掛けてきてたし」
“え? でも今の王は争いが嫌いだから和平条約結んだんじゃないの?”
「そんな噂信じられるかよ。狼族はここ8年で5回も攻めてこようとしたんだぞ? 確かに前回の戦争で王も変わって和平条約も結んだけど、それが今の王が争いが嫌いだと言う理由にはならないだろう?」
確かにルルガノーシュはユタ王を直に知ってるから争いが嫌いな事も知ってるけど、ユタ王を知らない人からしたら、過去の事実の方を重要視するのも分からなくない。
現に、狼族による小競り合いは起こっていて、そう思ってしまうのも仕方ないのかもしれない。
「まぁ、とにかく、ヒロトも気を付けろよ。明日の”番の誓い”は人の出入りも多いからな。……それにしても明日は初夜かぁ~。もうやっちゃってるけどなぁ。明後日はヒロトも陛下も休みで、テンション爆上がりでヤバいんじゃないのー?」
前半、真面目に心配の言葉をかけて貰ったと思ったら、後半は下ネタで、裕人は思わず赤くなった。
そして、その懸念はあったので余計にだ。
“もう”と口をパクパクさせると、ニコラスは分かったようで笑い出した。
「まぁ、明日の前に、今日もだな。明日は朝早いんだから程々にしてもらいなよ」
15歳のニコラスに終始揶揄われる18歳の裕人だった。
14
お気に入りに追加
273
あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる