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婚約パーティ開始
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ぼーっと見ている中、勇者は何度か転移を繰り返して、客? を連れて来ていた。
最後に近衛騎士達と共にローワン王国の王やその家族が転移で連れて来られた。
近衛騎士達は国王を守る為に周りを囲むが、勇者に通じるんだろうか?
範囲転移も難なくやってのける勇者は本当チートすぎるだろう。
実際に会うのは初めてだけど、見た事ある顔ぶれだと思っていたら、多分ゲーム最後の国王への報告時にいた人達のようだ。
第三王女もしっかりいる。
そして、最後に俺の前に再びリョウコが現れ、石舞台に転移した。
……本当、俺寝巻きなんだけど、この格好で国王の前にでてもいいの?
武装解除って意味なら大正解だけどさ。
体調不良の時の転移は体にこたえる。
転移直後、体が段々傾き倒れるなと思った所を支えてくれたのは、半年ぶりのシルバリウスだった。
……やっと逢えた。
泣きそうになりながらシルバリウスの頬に触れようとしたが、
「”シル離れて私の側に来なさい”」
という言葉に、シルバリウスは苦々しい顔をしながら、震える体を動かし、俺を立たせるとリョウコの元に戻って行った。
「シルバリウスどうして……」
俺の悲痛な声にシルバリウスの目は益々昏くなるし、同じパーティメンバーのカメルとルドルフも痛ましそうな顔を向けてくる。
リョウコは気分を良くしたようで、開会宣言をした。
「それでは、シルバリウスと私の婚約パーティを開催します。その前に、シルバリウスには婚約破棄をしてもらいます」
その言葉に、ローワン王国国王から焦ったような言葉がかかる。
「リョウコ! もしかしてそこに居るのは、フォゼッタ王国のシルバリウスの婚約者のリューイ・フォンデルク殿なのか?」
「そうだけど?」
「リョウコ! ずっと姿を現さないと思ったら、場所と日時を指定した文だけよこしおって……。貴殿が何をしようとしているのか分かっているのか!!
貴殿のおかげでダンジョンの利権はほぼないし、貴殿が婚約破棄させようとしている相手が誰だか分かっているのか!?
貴殿達が動かない代わりにあのダンジョンを停滞期へ導いた者だぞ。フォゼッタ王国では国の英雄になる男だ。
それについ先日フォゼッタ王国からもシルバリウスへの婚約継続中に付き、速やかにフォゼッタ王国へ送り届けるように言われたばかりだというのに……。
シルバリウス殿ばかりか、リューイ殿までこの国に連れて来てしまうなんて、このままでは戦争になってしまう!」
リョウコは国王の言葉の意味が分からなかったのかキョトンとしながら言った。
「え? 別にリューイ? を返さないとは言ってないわよ? この婚約破棄が終わったら、元いた所へ戻せば良いってことでしょ?」
国王も周りの貴族らしい人達も唖然。
思わず皆言葉が出ないのを、納得したと勘違いしたリョウコは続ける。
「じゃ、具合も悪そうだし、さっさと返してあげるから、進めましょう。では、シル”元婚約者に婚約破棄をする旨を誓って、私だけの奴隷になる事を誓って”」
「リ、リョウコ何をさせると言うのだ」
国王は引きつった顔でリョウコに問う。
「もう、今いい所なんだから黙っていてよ」
そう言って、リョウコは一瞬で国王の近くに転移すると腕輪をはめ、”黙って見ている事”と命令した。
……本当転移能力はチートだよね。
今の所、転移能力持ちはリョウコしか知らない。
そうこうしているうちにシルバリウスがこちらに近付き、俺を見ながら冷たく告げる。
「リューイ、君との婚約を、は、破棄する」
「シルバリウス、なんで待って!」
俺は駆け寄り、シルバリウスに縋り付き無理矢理こちらに向かせようと顔を掴んで引き寄せる。
シルバリウスは驚いた顔をしたものの、すぐに俺の手を振り払ってリョウコの元に行く。
皆が固唾を飲んで見守る中、シルバリウスはゆっくり進みリョウコの前で跪くと言葉を紡ぐ。
「リョウコ、私をリョウコだけの奴隷にしておくれ」
「まぁ。嬉しいわ。では奴隷の証の首輪が居るわね」
リョウコは自分で命令したのも忘れているのか、心底嬉しそうに、首輪を取り出すとシルバリウスの首に付けた。
「これでシルは私のものね」
リョウコは自慢するように俺を見る。
シルバリウスの首に付いた、それはゲームで見たのとほぼ一緒な赤銅色の無骨な首輪だった。
ゲーム時の昏い目をしたシルバリウスがリンクし、俺は胸が痛くなる。
「そ、そんな、なんで、シルバリウス……」
俺はふらふらとシルバリウスに近付くが、シルバリウスは跪いたままリョウコを見つめ、俺には目もかけない。
シルバリウスはそのままリョウコの手を取る。
俺はそれを引き離すようにシルバリウスに触れようとしたが、シルバリウスに片手で振り払われてリョウコの後ろに転んでしまう。
「まぁ、やっと私を選んでくれたのね!」
シルバリウスはとても喜んでいるリョウコの両手を掴み自分の方へ引き寄せる。
リョウコは喜んで未だ跪いたままのシルバリウスの頭を抱きしめようと首に手を回した時
――カチリッ
リョウコは首元で音が鳴るのを感じた瞬間、すぐ後ろで
「”死ぬまで浄化魔法以外の魔法使用を禁ずる”」
という冷たい声が聞こえた。
リョウコはまずいと思ったのか転移を発動しようとするが、発動出来ない事に愕然としていた。
最後に近衛騎士達と共にローワン王国の王やその家族が転移で連れて来られた。
近衛騎士達は国王を守る為に周りを囲むが、勇者に通じるんだろうか?
範囲転移も難なくやってのける勇者は本当チートすぎるだろう。
実際に会うのは初めてだけど、見た事ある顔ぶれだと思っていたら、多分ゲーム最後の国王への報告時にいた人達のようだ。
第三王女もしっかりいる。
そして、最後に俺の前に再びリョウコが現れ、石舞台に転移した。
……本当、俺寝巻きなんだけど、この格好で国王の前にでてもいいの?
武装解除って意味なら大正解だけどさ。
体調不良の時の転移は体にこたえる。
転移直後、体が段々傾き倒れるなと思った所を支えてくれたのは、半年ぶりのシルバリウスだった。
……やっと逢えた。
泣きそうになりながらシルバリウスの頬に触れようとしたが、
「”シル離れて私の側に来なさい”」
という言葉に、シルバリウスは苦々しい顔をしながら、震える体を動かし、俺を立たせるとリョウコの元に戻って行った。
「シルバリウスどうして……」
俺の悲痛な声にシルバリウスの目は益々昏くなるし、同じパーティメンバーのカメルとルドルフも痛ましそうな顔を向けてくる。
リョウコは気分を良くしたようで、開会宣言をした。
「それでは、シルバリウスと私の婚約パーティを開催します。その前に、シルバリウスには婚約破棄をしてもらいます」
その言葉に、ローワン王国国王から焦ったような言葉がかかる。
「リョウコ! もしかしてそこに居るのは、フォゼッタ王国のシルバリウスの婚約者のリューイ・フォンデルク殿なのか?」
「そうだけど?」
「リョウコ! ずっと姿を現さないと思ったら、場所と日時を指定した文だけよこしおって……。貴殿が何をしようとしているのか分かっているのか!!
貴殿のおかげでダンジョンの利権はほぼないし、貴殿が婚約破棄させようとしている相手が誰だか分かっているのか!?
貴殿達が動かない代わりにあのダンジョンを停滞期へ導いた者だぞ。フォゼッタ王国では国の英雄になる男だ。
それについ先日フォゼッタ王国からもシルバリウスへの婚約継続中に付き、速やかにフォゼッタ王国へ送り届けるように言われたばかりだというのに……。
シルバリウス殿ばかりか、リューイ殿までこの国に連れて来てしまうなんて、このままでは戦争になってしまう!」
リョウコは国王の言葉の意味が分からなかったのかキョトンとしながら言った。
「え? 別にリューイ? を返さないとは言ってないわよ? この婚約破棄が終わったら、元いた所へ戻せば良いってことでしょ?」
国王も周りの貴族らしい人達も唖然。
思わず皆言葉が出ないのを、納得したと勘違いしたリョウコは続ける。
「じゃ、具合も悪そうだし、さっさと返してあげるから、進めましょう。では、シル”元婚約者に婚約破棄をする旨を誓って、私だけの奴隷になる事を誓って”」
「リ、リョウコ何をさせると言うのだ」
国王は引きつった顔でリョウコに問う。
「もう、今いい所なんだから黙っていてよ」
そう言って、リョウコは一瞬で国王の近くに転移すると腕輪をはめ、”黙って見ている事”と命令した。
……本当転移能力はチートだよね。
今の所、転移能力持ちはリョウコしか知らない。
そうこうしているうちにシルバリウスがこちらに近付き、俺を見ながら冷たく告げる。
「リューイ、君との婚約を、は、破棄する」
「シルバリウス、なんで待って!」
俺は駆け寄り、シルバリウスに縋り付き無理矢理こちらに向かせようと顔を掴んで引き寄せる。
シルバリウスは驚いた顔をしたものの、すぐに俺の手を振り払ってリョウコの元に行く。
皆が固唾を飲んで見守る中、シルバリウスはゆっくり進みリョウコの前で跪くと言葉を紡ぐ。
「リョウコ、私をリョウコだけの奴隷にしておくれ」
「まぁ。嬉しいわ。では奴隷の証の首輪が居るわね」
リョウコは自分で命令したのも忘れているのか、心底嬉しそうに、首輪を取り出すとシルバリウスの首に付けた。
「これでシルは私のものね」
リョウコは自慢するように俺を見る。
シルバリウスの首に付いた、それはゲームで見たのとほぼ一緒な赤銅色の無骨な首輪だった。
ゲーム時の昏い目をしたシルバリウスがリンクし、俺は胸が痛くなる。
「そ、そんな、なんで、シルバリウス……」
俺はふらふらとシルバリウスに近付くが、シルバリウスは跪いたままリョウコを見つめ、俺には目もかけない。
シルバリウスはそのままリョウコの手を取る。
俺はそれを引き離すようにシルバリウスに触れようとしたが、シルバリウスに片手で振り払われてリョウコの後ろに転んでしまう。
「まぁ、やっと私を選んでくれたのね!」
シルバリウスはとても喜んでいるリョウコの両手を掴み自分の方へ引き寄せる。
リョウコは喜んで未だ跪いたままのシルバリウスの頭を抱きしめようと首に手を回した時
――カチリッ
リョウコは首元で音が鳴るのを感じた瞬間、すぐ後ろで
「”死ぬまで浄化魔法以外の魔法使用を禁ずる”」
という冷たい声が聞こえた。
リョウコはまずいと思ったのか転移を発動しようとするが、発動出来ない事に愕然としていた。
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