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帰宅
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――朝、ルミナス村の屋敷の寝室
朝日は上りきり、1日が始まろうとする中。
「ヴィー」
ベッドの中から、シルバリウスに呼びかける。
「ん? どうした?」
「今日はちょっとゆっくりしよー、また忙しくなりそうだし」
「……そうだな」
俺はシルバリウスをベッドの中に呼ぶべく、ベッドをポンポンと叩いた。
シルバリウスは苦笑したように、着替えようとしていた手を止め、またベッドの中に入ってきた。
もぞもぞとシルバリウスに近寄ると、シルバリウスも俺を胸の中に包み込むように抱き込んだ。
……安心する。
今はあの勲章授与式と不穏な立食パーティーを終え、早々に王都を出立し、行きと同じく領地の今度は屋敷で一休みし、このど田舎のルミナス村の屋敷に帰ってきて5日程経った所だ。
……はい。それぞれフォンデルク領でも体調崩し、このルミナス村に帰って来てからも体調を崩していました。
移動で体調崩すこのひ弱な体がちょっと恨めしい。
この世界、転移陣なんてものがあるからか、交通手段はそれ程発達しておらず、未だにメインは馬車。
転移陣に関してもセキュリティの問題から王都と領地(王直轄領を除く)を繋ぐ転移陣の設置は禁止されており、設置可能なのはダンジョンか領地内のみだ。
因みに、恐ろしく高い転移陣(1つ白金貨100~500枚前後)だが、うちの領地の場合最近の政策で根こそぎダンジョンに回してしまった為、領地内には設置がない。
そんな訳で、結局帰りも1ヶ月……どころかフォンデルク領の屋敷での引き止めや、寄り道もしたため、それ以上かかりながら帰ってきてまた体調崩して、ベッドから降りる事が許された今日はもう12/1である。
昨日は明日からはやっと、床上げだと喜んだのも束の間、あの勇者パーティがシルバリウスの誕生日前日12/5にこの屋敷に来ると言う連絡を受けたのだ。
すなわち、またおもてなしの準備である。
……前もこのパターンだったような。
まぁ、今回は大規模なものではないし、何なら調査隊の半分は隣の館の迎賓館に常駐しているのでそんなに準備はかからない……予定だ。
勇者の称号を持つリョウコは、立食パーティで随分シルバリウスにご執心のようだったから、すぐに領地に来るかと思ったが、意外にもやる事があるという事ですぐには来なかった。
その間にも国家間の話し合いや各官僚の話は進み、各貴族当主へ正式に勇者パーティに協力するよう通達がされるのと同時に、フォンデルク領のこのルミナスの屋敷を拠点に、リョウコが陣頭指揮を取り年明けから本格的にダンジョン探索を行う事が発表された。
俺達はリョウコの下に付くことになると思われたが、不幸中の幸い、なんとエドガーがこのダンジョン探索混成チームのフォゼッタ王国側の代表になったのだ。
一応ローワン王国の代表リョウコと対等な立場という訳だ。(まぁ、リョウコを立てるように言われているらしいが、理不尽な人事には対抗出来るだろう)
こんな若いエドガーが国の代表で良いのか? と疑問に思ったが、リューイがスタンピート後の昏睡から目覚めた後、必死でリハビリをしていた夏に、毎年行われる武闘大会で、現役の騎士団や兵団の強者をあっさり倒してサクッと優勝していたらしい。
つまり、現在この国最強だそうだ。そのエドガーと並び立つ事ができるシルバリウスという事もあり、シルバリウスは余計注目株だった訳だ。
まぁ、若いという懸念もある事から、副官にはいつものクリスの他に王国騎士団の副団長が副官の位置に付いているので、大丈夫だろう。
一方あの立食パーティーの最後で顔色を悪くさせていたシルバリウスだが、精彩を欠きミスが増えた……という事はなく、相変わらず過保護な位俺の面倒を見つつ、出現が増えている魔物討伐も難なくこなしている。
ただ、ふとした瞬間に何か考えている様子はうかがえた。
何を考えているか知りたいが、特に生活に支障も出ていない今聞いていいものかとても悩む。
俺自身、誰にも転生の事を言っていないように誰にでも秘密や言いたくない事はあると思うのだ。
婚約者でありこれから結婚するとしても、全部を馬鹿正直にお互いに伝え合わなければいけないとは思っていない。
……まぁ、本音で言えばシルバリウスの事は何でも知りたいけどね!
それに、ゲームを知っている俺だからこそ、何か力になる事も出来るかもしれないし。
という訳で、若干もやもやしているものの、シルバリウスに直接聞く事はしていなかった。
が、シルバリウスの腕の中から頭を出し
「ヴィー、なんか悩んでいる?」
結局気になり過ぎたので、屋敷に戻り一段落しまた忙しくなる前にさらっと聞いてみることにした。
「……」
シルバリウスは俺を見ながら、少し驚いたような顔をしていた。
「あー。無理に話す必要は無いから! 話したければで大丈夫だから」
シルバリウスは”ふっ”と笑うと
「愛しているよ」
と言い、俺の口を塞ぐ。
……めっちゃ色気だだ漏れでございます!!
口内をまさぐるシルバリウスの舌の動きが激しくなり、体調もすっかり整った俺の息子はすっかり元気になり、そのまま朝から盛ってしまい、気がついたら夕方だった。
なんだか誤魔化されたような気もしないでも無いが、久しぶりの交合はやっぱり幸せで、その後もべったりシルバリウスにくっ付いていた。
朝日は上りきり、1日が始まろうとする中。
「ヴィー」
ベッドの中から、シルバリウスに呼びかける。
「ん? どうした?」
「今日はちょっとゆっくりしよー、また忙しくなりそうだし」
「……そうだな」
俺はシルバリウスをベッドの中に呼ぶべく、ベッドをポンポンと叩いた。
シルバリウスは苦笑したように、着替えようとしていた手を止め、またベッドの中に入ってきた。
もぞもぞとシルバリウスに近寄ると、シルバリウスも俺を胸の中に包み込むように抱き込んだ。
……安心する。
今はあの勲章授与式と不穏な立食パーティーを終え、早々に王都を出立し、行きと同じく領地の今度は屋敷で一休みし、このど田舎のルミナス村の屋敷に帰ってきて5日程経った所だ。
……はい。それぞれフォンデルク領でも体調崩し、このルミナス村に帰って来てからも体調を崩していました。
移動で体調崩すこのひ弱な体がちょっと恨めしい。
この世界、転移陣なんてものがあるからか、交通手段はそれ程発達しておらず、未だにメインは馬車。
転移陣に関してもセキュリティの問題から王都と領地(王直轄領を除く)を繋ぐ転移陣の設置は禁止されており、設置可能なのはダンジョンか領地内のみだ。
因みに、恐ろしく高い転移陣(1つ白金貨100~500枚前後)だが、うちの領地の場合最近の政策で根こそぎダンジョンに回してしまった為、領地内には設置がない。
そんな訳で、結局帰りも1ヶ月……どころかフォンデルク領の屋敷での引き止めや、寄り道もしたため、それ以上かかりながら帰ってきてまた体調崩して、ベッドから降りる事が許された今日はもう12/1である。
昨日は明日からはやっと、床上げだと喜んだのも束の間、あの勇者パーティがシルバリウスの誕生日前日12/5にこの屋敷に来ると言う連絡を受けたのだ。
すなわち、またおもてなしの準備である。
……前もこのパターンだったような。
まぁ、今回は大規模なものではないし、何なら調査隊の半分は隣の館の迎賓館に常駐しているのでそんなに準備はかからない……予定だ。
勇者の称号を持つリョウコは、立食パーティで随分シルバリウスにご執心のようだったから、すぐに領地に来るかと思ったが、意外にもやる事があるという事ですぐには来なかった。
その間にも国家間の話し合いや各官僚の話は進み、各貴族当主へ正式に勇者パーティに協力するよう通達がされるのと同時に、フォンデルク領のこのルミナスの屋敷を拠点に、リョウコが陣頭指揮を取り年明けから本格的にダンジョン探索を行う事が発表された。
俺達はリョウコの下に付くことになると思われたが、不幸中の幸い、なんとエドガーがこのダンジョン探索混成チームのフォゼッタ王国側の代表になったのだ。
一応ローワン王国の代表リョウコと対等な立場という訳だ。(まぁ、リョウコを立てるように言われているらしいが、理不尽な人事には対抗出来るだろう)
こんな若いエドガーが国の代表で良いのか? と疑問に思ったが、リューイがスタンピート後の昏睡から目覚めた後、必死でリハビリをしていた夏に、毎年行われる武闘大会で、現役の騎士団や兵団の強者をあっさり倒してサクッと優勝していたらしい。
つまり、現在この国最強だそうだ。そのエドガーと並び立つ事ができるシルバリウスという事もあり、シルバリウスは余計注目株だった訳だ。
まぁ、若いという懸念もある事から、副官にはいつものクリスの他に王国騎士団の副団長が副官の位置に付いているので、大丈夫だろう。
一方あの立食パーティーの最後で顔色を悪くさせていたシルバリウスだが、精彩を欠きミスが増えた……という事はなく、相変わらず過保護な位俺の面倒を見つつ、出現が増えている魔物討伐も難なくこなしている。
ただ、ふとした瞬間に何か考えている様子はうかがえた。
何を考えているか知りたいが、特に生活に支障も出ていない今聞いていいものかとても悩む。
俺自身、誰にも転生の事を言っていないように誰にでも秘密や言いたくない事はあると思うのだ。
婚約者でありこれから結婚するとしても、全部を馬鹿正直にお互いに伝え合わなければいけないとは思っていない。
……まぁ、本音で言えばシルバリウスの事は何でも知りたいけどね!
それに、ゲームを知っている俺だからこそ、何か力になる事も出来るかもしれないし。
という訳で、若干もやもやしているものの、シルバリウスに直接聞く事はしていなかった。
が、シルバリウスの腕の中から頭を出し
「ヴィー、なんか悩んでいる?」
結局気になり過ぎたので、屋敷に戻り一段落しまた忙しくなる前にさらっと聞いてみることにした。
「……」
シルバリウスは俺を見ながら、少し驚いたような顔をしていた。
「あー。無理に話す必要は無いから! 話したければで大丈夫だから」
シルバリウスは”ふっ”と笑うと
「愛しているよ」
と言い、俺の口を塞ぐ。
……めっちゃ色気だだ漏れでございます!!
口内をまさぐるシルバリウスの舌の動きが激しくなり、体調もすっかり整った俺の息子はすっかり元気になり、そのまま朝から盛ってしまい、気がついたら夕方だった。
なんだか誤魔化されたような気もしないでも無いが、久しぶりの交合はやっぱり幸せで、その後もべったりシルバリウスにくっ付いていた。
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