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戸惑い
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魔力穴が無事塞がった後、大変だった……。
結局、俺の意識を戻す為に魔力枯渇寸前まで補給したスチュアートが倒れ(いつも隙の無いスチュアートが倒れる所を見たのは初めてだ)、俺に魔力枯渇寸前まで奪われたシルバリウスがそのまま気絶し、俺は意識を保っていたため、気絶したシルバリウスを移動させようとした所、痩せ細り筋肉が落ちてしまった体のせいで支えられず物理的に倒れ、三人とも暫くベッドの住人になった。
俺が倒れてずっと昏睡状態だった日々、シルバリウスは俺と同じ魔力を持っているという事で、屋敷に残ってくれて俺を助ける為に必死で魔力総量を上げる事と魔法を使うことと魔力操作の勉強をしたんだそう。
倒れてから一ヶ月も経っていた事にビックリしたが一ヶ月無かったら、シルバリウスの魔力が足りず失敗していただろう。
そして、俺の体的にも限界に近付いていた為、シルバリウスは結局魔力操作が全く出来ないまま事に挑んだと。
シルバリウスに魔力操作を覚えさせるより、俺に魔力操作をしてもらう方が良いという判断だったらしい。
皆が皆ギリギリのラインでせめぎあって、無事賭けに勝つとは、この日と決めた万能執事スチュアートはさすがです。
ゲームの中でもシルバリウスが身体強化? 以外の魔法を使っている所を見た事が無かったから、スチュアートの判断は正しかったと思う。
いくら魔法の使えないシルバリウスでも、1年は旅をする位だから、ゲーム内に描写がないだけで浄化魔法位は使えたとしてもおかしく無いだろうし。
因みに俺の家族にはまだ何も連絡していない。
ずっと放置気味だったのだから、別に全部が解決した後で良いだろう。
そして現在。
「さぁ、次はどれが良い?」
「……お粥かな」
「熱いから気をつけてな」
「……」
1日で床上げしたシルバリウスは、何故か俺のベッドの横に座り、所謂”あーん”をしてくれている……。
もぐもぐしながら、じっとシルバリウスを見ていると
「ん? どうした?」
と、微笑みながら俺に聞いてくる。
……シルバリウスのコスプレした偽物じゃ無いよね?
いや、微笑みはマジで素敵なんだけど、ゲームでも見たことないし、ぶっちゃけ誰ですか?
と、戸惑いが隠せない。
あとなんか甘々な空気!
そりゃ初めてはプレッシャーキスなんてものじゃなく、海外ドラマもドン引きな長時間ディープキスをしましたけども、あれはある意味医療行為であって恋人同士のキスなんてものでは無かった筈。
しかも皆は一ヶ月経っているのかもしれないけど、俺からしたらやっと距離が縮まってちょっと仲良くなってきたなぁと思った人が、一晩寝て起きたらいきなりディープキスしなきゃいけない状態で、さらに翌日には恋人の如く甘い雰囲気をだしてたんだよ?
意味わかんなくない?
取り敢えず、戸惑うよね。
……まぁ、嫌ではない自分がいるのも戸惑う理由ではあるんだけど。
胃がすっかり縮んだのか、もう食べられなさそうだと伝えると、せっせと片付け始めるシルバリウス。
違和感が無いくらい手慣れていらっしゃいます……。
彼が手伝ってくれるようになって早5日。
スチュアートも伏せっていた為、メイドのニアが1日目は介助してくれていたのだが、どんな交渉をしたのか2日目からはシルバリウスがリューイの殆どの介助を行なっている。着替えとか女性のニアに手伝って貰うのは恥ずかしいから助かるんだけどさ。
因みに魔力穴を塞いだ事で、魔道具使用や魔法制限も解除されたので、シルバリウスは得意げに毎日浄化魔法を俺にかけてくれている。
……この国では平民でも使えるスタンダード魔法で、勿論リューイ自身も使えるのだが、可愛いのでその事はまだ言っていない。
因みに、シルバリウスが1日で床上げしたのに、スチュアートが復活までに3日もかかった事から”よる年波には勝てませんね”と珍しく意気消沈していたと思ったら、次の日には”まだまだ若造には負けませんよ”と黒髪赤目の隠密サスケを短剣で壁に磔にしていた。
サスケは隣国ローワン王国では幻の暗殺者だった筈なのだが……。
その日も落ちた筋肉のリハビリを兼ねて、庭を軽く散歩して、読書してとのんびりとした1日を過ごした。
***
――夕食も終わり、浄化魔法があるものの、日本人の心を思い出したからか、ここ3年の習慣が抜けないのかしっかり湯船につかり、後は寝るだけとなった頃。
ドアのノックと共に、シルバリウスが部屋に入ってきて、既にベッドにいるリューイにホットミルクを渡してくれた。
シルバリウスはベッドサイドの椅子に座り、俺は”ふーふー”と、ホットミルクを冷ましながら、しばし無言の時を過ごす。
「……私には話せない内容か?」
……いきなり本題ぶっ込んできたー!
シルバリウスが心配そうな顔をして言葉を重ねる。
「”お互いを知る為によく話し合おう”と約束したな。
力になれるかは分からないが、悩みを吐き出すだけでも楽になる場合があると聞いた。
それに私はリューイが何に悩んで、何を思っているか知りたい」
「ヴィー……」
確かに言いました……。
床上げして、詰めるようにシルバリウスに速攻で告白されたので、取り敢えずね。
だって、今まで「Yes! 〇〇ノータッチ!」精神で生きてきたんだよ?
まさか、自分がシルバリウスの恋愛対象になるなんて思わないじゃない?
ファンとしては大好きだけども、恋愛かと言うと分からなかったからさ……。
結局、俺の意識を戻す為に魔力枯渇寸前まで補給したスチュアートが倒れ(いつも隙の無いスチュアートが倒れる所を見たのは初めてだ)、俺に魔力枯渇寸前まで奪われたシルバリウスがそのまま気絶し、俺は意識を保っていたため、気絶したシルバリウスを移動させようとした所、痩せ細り筋肉が落ちてしまった体のせいで支えられず物理的に倒れ、三人とも暫くベッドの住人になった。
俺が倒れてずっと昏睡状態だった日々、シルバリウスは俺と同じ魔力を持っているという事で、屋敷に残ってくれて俺を助ける為に必死で魔力総量を上げる事と魔法を使うことと魔力操作の勉強をしたんだそう。
倒れてから一ヶ月も経っていた事にビックリしたが一ヶ月無かったら、シルバリウスの魔力が足りず失敗していただろう。
そして、俺の体的にも限界に近付いていた為、シルバリウスは結局魔力操作が全く出来ないまま事に挑んだと。
シルバリウスに魔力操作を覚えさせるより、俺に魔力操作をしてもらう方が良いという判断だったらしい。
皆が皆ギリギリのラインでせめぎあって、無事賭けに勝つとは、この日と決めた万能執事スチュアートはさすがです。
ゲームの中でもシルバリウスが身体強化? 以外の魔法を使っている所を見た事が無かったから、スチュアートの判断は正しかったと思う。
いくら魔法の使えないシルバリウスでも、1年は旅をする位だから、ゲーム内に描写がないだけで浄化魔法位は使えたとしてもおかしく無いだろうし。
因みに俺の家族にはまだ何も連絡していない。
ずっと放置気味だったのだから、別に全部が解決した後で良いだろう。
そして現在。
「さぁ、次はどれが良い?」
「……お粥かな」
「熱いから気をつけてな」
「……」
1日で床上げしたシルバリウスは、何故か俺のベッドの横に座り、所謂”あーん”をしてくれている……。
もぐもぐしながら、じっとシルバリウスを見ていると
「ん? どうした?」
と、微笑みながら俺に聞いてくる。
……シルバリウスのコスプレした偽物じゃ無いよね?
いや、微笑みはマジで素敵なんだけど、ゲームでも見たことないし、ぶっちゃけ誰ですか?
と、戸惑いが隠せない。
あとなんか甘々な空気!
そりゃ初めてはプレッシャーキスなんてものじゃなく、海外ドラマもドン引きな長時間ディープキスをしましたけども、あれはある意味医療行為であって恋人同士のキスなんてものでは無かった筈。
しかも皆は一ヶ月経っているのかもしれないけど、俺からしたらやっと距離が縮まってちょっと仲良くなってきたなぁと思った人が、一晩寝て起きたらいきなりディープキスしなきゃいけない状態で、さらに翌日には恋人の如く甘い雰囲気をだしてたんだよ?
意味わかんなくない?
取り敢えず、戸惑うよね。
……まぁ、嫌ではない自分がいるのも戸惑う理由ではあるんだけど。
胃がすっかり縮んだのか、もう食べられなさそうだと伝えると、せっせと片付け始めるシルバリウス。
違和感が無いくらい手慣れていらっしゃいます……。
彼が手伝ってくれるようになって早5日。
スチュアートも伏せっていた為、メイドのニアが1日目は介助してくれていたのだが、どんな交渉をしたのか2日目からはシルバリウスがリューイの殆どの介助を行なっている。着替えとか女性のニアに手伝って貰うのは恥ずかしいから助かるんだけどさ。
因みに魔力穴を塞いだ事で、魔道具使用や魔法制限も解除されたので、シルバリウスは得意げに毎日浄化魔法を俺にかけてくれている。
……この国では平民でも使えるスタンダード魔法で、勿論リューイ自身も使えるのだが、可愛いのでその事はまだ言っていない。
因みに、シルバリウスが1日で床上げしたのに、スチュアートが復活までに3日もかかった事から”よる年波には勝てませんね”と珍しく意気消沈していたと思ったら、次の日には”まだまだ若造には負けませんよ”と黒髪赤目の隠密サスケを短剣で壁に磔にしていた。
サスケは隣国ローワン王国では幻の暗殺者だった筈なのだが……。
その日も落ちた筋肉のリハビリを兼ねて、庭を軽く散歩して、読書してとのんびりとした1日を過ごした。
***
――夕食も終わり、浄化魔法があるものの、日本人の心を思い出したからか、ここ3年の習慣が抜けないのかしっかり湯船につかり、後は寝るだけとなった頃。
ドアのノックと共に、シルバリウスが部屋に入ってきて、既にベッドにいるリューイにホットミルクを渡してくれた。
シルバリウスはベッドサイドの椅子に座り、俺は”ふーふー”と、ホットミルクを冷ましながら、しばし無言の時を過ごす。
「……私には話せない内容か?」
……いきなり本題ぶっ込んできたー!
シルバリウスが心配そうな顔をして言葉を重ねる。
「”お互いを知る為によく話し合おう”と約束したな。
力になれるかは分からないが、悩みを吐き出すだけでも楽になる場合があると聞いた。
それに私はリューイが何に悩んで、何を思っているか知りたい」
「ヴィー……」
確かに言いました……。
床上げして、詰めるようにシルバリウスに速攻で告白されたので、取り敢えずね。
だって、今まで「Yes! 〇〇ノータッチ!」精神で生きてきたんだよ?
まさか、自分がシルバリウスの恋愛対象になるなんて思わないじゃない?
ファンとしては大好きだけども、恋愛かと言うと分からなかったからさ……。
応援ありがとうございます!
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