258 / 335
第3章
【3-104】心の隙間を埋めてくれるもの
しおりを挟む
「結論を言えば、キリエの言うように、受霊の儀において身体が動くか否かは重要項目ではない。リアムの屋敷の環境であれば、実行も可能であろう」
「でしたら……!」
キリエの顔がパッと輝いたが、それを制するようにプシュケは首を振る。
「可能ではあるが、するとは言っていない。キリエ、今は精霊の力を得るよりも先に、魔族との戦いに集中するべきなのではないか。私が人間の国のことに口を出すのも変な話だが、そなたも王族の一員としてやらねばならないことがあるだろう」
プシュケの説得を聞き、リアムも同意するように何度か頷いたが、その表情にはあからさまに諦めが滲んでいた。リアムの予感を肯定するかのように、キリエは強い意志を宿した瞳でまっすぐに祖父を見上げる。
「おじいさま、今だからこそです。僕は今、まともに身体を動かせませんので、公務へ積極的に参加できない状態なのです。その空き時間を有効に使いたいですし、早めに自分の特性を自分で制御できるようにもなりたいのです」
「確かに、いずれはその必要もあるだろうが、何も今ではなくともよいだろう。そなたが戦場に立つわけではなかろうに」
「でも、王都までカイン一行を引き入れるということは、此処が戦地となる可能性もあるのです。そのとき、僕が自身の力を行使できるようになっていれば、多少なりとも皆の……、リアムの役に立てるのではないかと」
「ふむ……、以前からそなたは自身の力をリアムの力の強化に宛がいたいと言っておったな」
どこか遠くを見つめたプシュケは再びキリエへ視線を移し、小さく嘆息してから昔を懐かしむ口調で言った。
「受霊の儀を早めにやりたがるところまで母親譲りとは恐れ入った。……そなたの母プロテアは、さっさと終わらせたいと言い張って受霊の儀に挑み、平均的に三日は掛かる儀式を半日で終わらせたのだ」
「そうだったのですね」
「そうだ。プロテアは破天荒なところがあったが、そのぶん、心の強さには揺るぎないものがあった。だからこそ、受霊の儀も半日で終わらせ、先代の長老からいかなる圧を掛けられようともそなたの命を守りきって産んだのだ。……強く芯が通っていたからこそ、致命的なヒビが入ってから崩れるのも早かったが」
そなたはどうだ、とプシュケの銀眼がキリエへ問い掛けてくる。
受霊の儀は、己の心の強さを試されるもの。意志が弱ければ弱いだけ時間が掛かり、成功率も下がってゆくものなのだろう。
生命に危険が及ぶようなものであれば、プシュケもリアムももっと本気で止めるのだろうが、そうではないからこそ、キリエの気持ちを尊重しようとしてくれているのだ。全てを左右するのは、キリエの心の強さである。
「……僕自身はきっと、母よりも心が強くないのでしょう。そうなんだろうな、という予感はします。でも、リアムと出会って、他のたくさんの人たちと出会って、僕は少しずつ強くなってきたと思うのです。大切な人たちを守るための力を得られると思えば、その気持ちは僕の心を強化してくれます」
「……精霊は、決して意地が悪い存在ではない。しかし、彼らが力を託せるだけの存在であるのかを試すために、心の隙を突いてくるのだ。私から見れば、そなたは隙だらけだ」
「そうでしょうね。でも、その隙間を埋めてくれる人たちがいます。僕の心の中に、大切な人たちがいてくれますから。……他力本願のように見えるかもしれませんし、それを否定はしませんが、きっと大丈夫です」
にっこりと笑った拍子にずり落ちそうになったキリエの身体を、リアムの片腕が抱き支えた。心どころか、身体さえも他者の手に支えられている状態のキリエだ。何を言っても説得力は無いだろうなと考えるキリエを見下ろし、プシュケは長々と溜息をつく。
「ちっとも大丈夫だと思えないのだが……、まぁ、いい。そこまで言うのなら、リアムの屋敷で受霊の儀を行えるように整えてやろう」
「本当ですか……! ありがとうございます、おじいさま」
「しかし、森の中で行うわけではなく、私も長老としてこなさねばならない仕事もあるからつきっきりにはなれぬ。頻繁に様子を見に訪れようとは思っているが、基本的には己の力だけで乗り切らねばならぬものだと、しかと心得よ」
「分かりました」
何を言われようと、キリエの決意は曲がらない。円い銀色の瞳からそれを読み取ったプシュケは、リアムへ苦笑を向けた。
「……そういうわけだ。また、そなたには苦労をかけてしまうな」
「以前にも申し上げたはずです。俺は振り回される苦労よりも、傍で見守り支えられる喜びのほうが大きい。むしろ、その程度のこと、何の苦労とも思いません。……ただ、キリエが大丈夫かどうか、心配なのはそれだけです」
「まったく、そなたはキリエに甘すぎるな」
「その言葉、そっくりお返しいたします。俺はプシュケ殿ほど甘くありませんので」
「……リアム、それは本気で言っておるのか?」
「……えっ?」
意味が分からないというように目を瞬かせるリアムと、呆然としているプシュケを交互に見たキリエは、小さく吹き出し、楽しそうな笑い声を上げるのだった。
「でしたら……!」
キリエの顔がパッと輝いたが、それを制するようにプシュケは首を振る。
「可能ではあるが、するとは言っていない。キリエ、今は精霊の力を得るよりも先に、魔族との戦いに集中するべきなのではないか。私が人間の国のことに口を出すのも変な話だが、そなたも王族の一員としてやらねばならないことがあるだろう」
プシュケの説得を聞き、リアムも同意するように何度か頷いたが、その表情にはあからさまに諦めが滲んでいた。リアムの予感を肯定するかのように、キリエは強い意志を宿した瞳でまっすぐに祖父を見上げる。
「おじいさま、今だからこそです。僕は今、まともに身体を動かせませんので、公務へ積極的に参加できない状態なのです。その空き時間を有効に使いたいですし、早めに自分の特性を自分で制御できるようにもなりたいのです」
「確かに、いずれはその必要もあるだろうが、何も今ではなくともよいだろう。そなたが戦場に立つわけではなかろうに」
「でも、王都までカイン一行を引き入れるということは、此処が戦地となる可能性もあるのです。そのとき、僕が自身の力を行使できるようになっていれば、多少なりとも皆の……、リアムの役に立てるのではないかと」
「ふむ……、以前からそなたは自身の力をリアムの力の強化に宛がいたいと言っておったな」
どこか遠くを見つめたプシュケは再びキリエへ視線を移し、小さく嘆息してから昔を懐かしむ口調で言った。
「受霊の儀を早めにやりたがるところまで母親譲りとは恐れ入った。……そなたの母プロテアは、さっさと終わらせたいと言い張って受霊の儀に挑み、平均的に三日は掛かる儀式を半日で終わらせたのだ」
「そうだったのですね」
「そうだ。プロテアは破天荒なところがあったが、そのぶん、心の強さには揺るぎないものがあった。だからこそ、受霊の儀も半日で終わらせ、先代の長老からいかなる圧を掛けられようともそなたの命を守りきって産んだのだ。……強く芯が通っていたからこそ、致命的なヒビが入ってから崩れるのも早かったが」
そなたはどうだ、とプシュケの銀眼がキリエへ問い掛けてくる。
受霊の儀は、己の心の強さを試されるもの。意志が弱ければ弱いだけ時間が掛かり、成功率も下がってゆくものなのだろう。
生命に危険が及ぶようなものであれば、プシュケもリアムももっと本気で止めるのだろうが、そうではないからこそ、キリエの気持ちを尊重しようとしてくれているのだ。全てを左右するのは、キリエの心の強さである。
「……僕自身はきっと、母よりも心が強くないのでしょう。そうなんだろうな、という予感はします。でも、リアムと出会って、他のたくさんの人たちと出会って、僕は少しずつ強くなってきたと思うのです。大切な人たちを守るための力を得られると思えば、その気持ちは僕の心を強化してくれます」
「……精霊は、決して意地が悪い存在ではない。しかし、彼らが力を託せるだけの存在であるのかを試すために、心の隙を突いてくるのだ。私から見れば、そなたは隙だらけだ」
「そうでしょうね。でも、その隙間を埋めてくれる人たちがいます。僕の心の中に、大切な人たちがいてくれますから。……他力本願のように見えるかもしれませんし、それを否定はしませんが、きっと大丈夫です」
にっこりと笑った拍子にずり落ちそうになったキリエの身体を、リアムの片腕が抱き支えた。心どころか、身体さえも他者の手に支えられている状態のキリエだ。何を言っても説得力は無いだろうなと考えるキリエを見下ろし、プシュケは長々と溜息をつく。
「ちっとも大丈夫だと思えないのだが……、まぁ、いい。そこまで言うのなら、リアムの屋敷で受霊の儀を行えるように整えてやろう」
「本当ですか……! ありがとうございます、おじいさま」
「しかし、森の中で行うわけではなく、私も長老としてこなさねばならない仕事もあるからつきっきりにはなれぬ。頻繁に様子を見に訪れようとは思っているが、基本的には己の力だけで乗り切らねばならぬものだと、しかと心得よ」
「分かりました」
何を言われようと、キリエの決意は曲がらない。円い銀色の瞳からそれを読み取ったプシュケは、リアムへ苦笑を向けた。
「……そういうわけだ。また、そなたには苦労をかけてしまうな」
「以前にも申し上げたはずです。俺は振り回される苦労よりも、傍で見守り支えられる喜びのほうが大きい。むしろ、その程度のこと、何の苦労とも思いません。……ただ、キリエが大丈夫かどうか、心配なのはそれだけです」
「まったく、そなたはキリエに甘すぎるな」
「その言葉、そっくりお返しいたします。俺はプシュケ殿ほど甘くありませんので」
「……リアム、それは本気で言っておるのか?」
「……えっ?」
意味が分からないというように目を瞬かせるリアムと、呆然としているプシュケを交互に見たキリエは、小さく吹き出し、楽しそうな笑い声を上げるのだった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
妖魔大決戦
左藤 友大
ファンタジー
中学三年生 草壁正輝は、鳥取県の自然豊かな田舎町 大山町で母親 真理子、祖父の有蔵と三人で暮らしている。両親が離婚し妹の愛菜と別れてから4年が経った夏のある日、親友の克己に誘われ一緒に大山寺の「麒麟獅子舞」を観に行き見事に麒麟獅子に頭を噛まれたが正輝は何の違和感もなく普通に過ごしていた。しかし、麒麟獅子に噛まれた後から正輝は不思議な体験をするようになった。そして今、日本だけでなく世界は危機に直面していた。憎悪と闇の神 黑緋神之命と滝夜叉姫が妖怪を悪霊化させ日本を滅ぼそうと企んでいたのだ。そして、正輝は遥か昔、日本を守った英雄「聖戦士」の子孫として黑緋神之命が率いる悪霊軍団と戦わなければならなかった。
日本を含め世界の未来を守る為に聖戦士 正輝が妖怪達と共に黑緋神之命と滝夜叉姫、そして悪霊軍団に立ち向かう─
チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
スキル【海】ってなんですか?
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
スキル【海】ってなんですか?〜使えないユニークスキルを貰った筈が、海どころか他人のアイテムボックスにまでつながってたので、商人として成り上がるつもりが、勇者と聖女の鍵を握るスキルとして追われています〜
※書籍化準備中。
※情報の海が解禁してからがある意味本番です。
我が家は代々優秀な魔法使いを排出していた侯爵家。僕はそこの長男で、期待されて挑んだ鑑定。
だけど僕が貰ったスキルは、謎のユニークスキル──〈海〉だった。
期待ハズレとして、婚約も破棄され、弟が家を継ぐことになった。
家を継げる子ども以外は平民として放逐という、貴族の取り決めにより、僕は父さまの弟である、元冒険者の叔父さんの家で、平民として暮らすことになった。
……まあ、そもそも貴族なんて向いてないと思っていたし、僕が好きだったのは、幼なじみで我が家のメイドの娘のミーニャだったから、むしろ有り難いかも。
それに〈海〉があれば、食べるのには困らないよね!僕のところは近くに海がない国だから、魚を売って暮らすのもいいな。
スキルで手に入れたものは、ちゃんと説明もしてくれるから、なんの魚だとか毒があるとか、そういうことも分かるしね!
だけどこのスキル、単純に海につながってたわけじゃなかった。
生命の海は思った通りの効果だったけど。
──時空の海、って、なんだろう?
階段を降りると、光る扉と灰色の扉。
灰色の扉を開いたら、そこは最近亡くなったばかりの、僕のお祖父さまのアイテムボックスの中だった。
アイテムボックスは持ち主が死ぬと、中に入れたものが取り出せなくなると聞いていたけれど……。ここにつながってたなんて!?
灰色の扉はすべて死んだ人のアイテムボックスにつながっている。階段を降りれば降りるほど、大昔に死んだ人のアイテムボックスにつながる扉に通じる。
そうだ!この力を使って、僕は古物商を始めよう!だけど、えっと……、伝説の武器だとか、ドラゴンの素材って……。
おまけに精霊の宿るアイテムって……。
なんでこんなものまで入ってるの!?
失われし伝説の武器を手にした者が次世代の勇者って……。ムリムリムリ!
そっとしておこう……。
仲間と協力しながら、商人として成り上がってみせる!
そう思っていたんだけど……。
どうやら僕のスキルが、勇者と聖女が現れる鍵を握っているらしくて?
そんな時、スキルが新たに進化する。
──情報の海って、なんなの!?
元婚約者も追いかけてきて、いったい僕、どうなっちゃうの?
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
╣淫・呪・秘・転╠亡国の暗黒魔法師編
流転小石
ファンタジー
淫 欲の化身が身近で俺を監視している。
呪 い。持っているんだよねぇ俺。
秘 密? 沢山あるけど知りたいか?
転 生するみたいだね、最後には。
これは亡国の復興と平穏な暮らしを望むが女運の悪いダークエルフが転生するまでの物語で、運命の悪戯に翻弄される主人公が沢山の秘密と共に波瀾万丈の人生を綴るお話しです。気軽に、サラッと多少ドキドキしながらサクサクと進み、炭酸水の様にお読み頂ければ幸いです。
運命に流されるまま”悪意の化身である、いにしえのドラゴン”と決戦の為に魔族の勇者率いる"仲間"に参戦する俺はダークエルフだ。決戦前の休息時間にフッと過去を振り返る。なぜ俺はここにいるのかと。記憶を過去にさかのぼり、誕生秘話から現在に至るまでの女遍歴の物語を、知らないうちに自分の母親から呪いの呪文を二つも体内に宿す主人公が語ります。一休みした後、全員で扉を開けると新たな秘密と共に転生する主人公たち。
他サイトにも投稿していますが、編集し直す予定です。
誤字脱字があれば連絡ください。m( _ _ )m
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が子離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する
鈴木竜一
ファンタジー
旧題:工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する~ブラック商会をクビになったので独立したら、なぜか超一流の常連さんたちが集まってきました~
【お知らせ】
このたび、本作の書籍化が正式に決定いたしました。
発売は今月(6月)下旬!
詳細は近況ボードにて!
超絶ブラックな労働環境のバーネット商会に所属する工芸職人《クラフトマン》のウィルムは、過労死寸前のところで日本の社畜リーマンだった前世の記憶がよみがえる。その直後、ウィルムは商会の代表からクビを宣告され、石や木片という簡単な素材から付与効果付きの武器やアイテムを生みだせる彼のクラフトスキルを頼りにしてくれる常連の顧客(各分野における超一流たち)のすべてをバカ息子であるラストンに引き継がせると言いだした。どうせ逆らったところで無駄だと悟ったウィルムは、退職金代わりに隠し持っていた激レアアイテムを持ちだし、常連客たちへ退職報告と引き継ぎの挨拶を済ませてから、自由気ままに生きようと隣国であるメルキス王国へと旅立つ。
ウィルムはこれまでのコネクションを駆使し、田舎にある森の中で工房を開くと、そこで畑を耕したり、家畜を飼育したり、川で釣りをしたり、時には町へ行ってクラフトスキルを使って作ったアイテムを売ったりして静かに暮らそうと計画していたのだ。
一方、ウィルムの常連客たちは突然の退職が代表の私情で行われたことと、その後の不誠実な対応、さらには後任であるラストンの無能さに激怒。大貴族、Sランク冒険者パーティーのリーダー、秘境に暮らす希少獣人族集落の長、世界的に有名な鍛冶職人――などなど、有力な顧客はすべて商会との契約を打ち切り、ウィルムをサポートするため次々と森にある彼の工房へと集結する。やがて、そこには多くの人々が移住し、最強クラスの有名人たちが集う村が完成していったのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる