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第3章
【3-46】長老と騎士
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プシュケの返答を聞いたリアムは落胆したものの、あからさまに顔色に出したり肩を落としたりはしない。キリエに悟られるようなことをしてはならないという、意地と自制であった。
キリエがソスピタの話を夢中になって聞いている様子を遠目に確認しつつ、リアムは次の質問を繰り出す。
「では、実際のところ、キリエの身にどのくらい妖精人の影響が出るとお考えでしょうか?」
「……実際、とは?」
「今後キリエの身に起こり得る変化などについての予想を、失礼ながら、貴殿は少々おおげさに語っていらしたように思えたものですから」
「……」
「キリエを手元に置くため、また、今後なにがあろうとキリエが大きな衝撃を受けないために、話を大きくせねばならなかったという貴殿の心中はお察しいたします。しかし、俺はそれでは納得しません」
銀と藍紫の視線が交わった。どちらも冷静な眼差しではあるが、底知れぬ強い意志がぶつかり合う。
「私は、嘘を口にしたわけではない。実際、あの子の身に何が起こるのかは誰にも分からぬのだ。なにせ、妖精人と人間の間に生を受けたのはキリエが初めてなのだから」
「ええ、そうでしょうとも。それは承知しています。だからこそ、俺も『嘘』ではなく『大げさな話』と申し上げたわけです。それを踏まえたうえで、貴殿の率直な予想をお聞きしたいと申し上げています」
「……そなた、実は結構な曲者なのではないか」
リアムは人間であるため、妖精人であるプシュケに悪意を向けたり敵対することは出来ない。しかし、その境界のギリギリまで攻め込んだ姿勢を見せている。
妖精人の長老は、彼から見れば幼児同然である人間の青年の頑固さに、溜息をつきながらも折れてやることにした。
「あくまでも、私個人の想像にすぎない話だが。……そうだな、まず、一番の懸念事項から言うならば、やはり寿命だろう」
「……長命である可能性が高い、と?」
「ただの想像でしかないが。キリエは外見も性質も妖精人寄りの存在だ。我らと同じとまではいかないかもしれぬが、人間よりは長命の可能性が高いのではないかと思う」
「なるほど。……性別の変化に関しては、いかがです?」
「それについては、確かに大げさに言ったかもしれぬな。我ら妖精人は性別を持たぬまま生まれ、じきに性別が決定して身体が変化していくものだが、一度変化した後はもう性別が変異することはない。キリエは生まれた時点ではっきりと男であったのだから、いくら妖精人寄りの体質とはいえ、そこから性別が動く可能性は低いだろうな。……だが、やはり男にしては身体が小さく、顔つきも柔らかすぎる。それゆえ、心配をしているのだ」
「妖精人の方々の生態ではそうかもしれませんが、人間として見れば、さほど珍しい外見ではありません。実際、我が家の使用人にも、キリエと同程度に小柄で顔立ちも中性的な成人男性がおります。逆に、女性にしては長身で、やはり中性的な面立ちの成人女性もおります」
「なるほど。人の子の生態は随分と幅広いのだな」
淡々と会話を交わす二人とは対照的に、遠くからは祖母と孫の楽しげな笑い声が聞こえてくる。その平和な光景を眺めつつも、長老と騎士は意見交換を続けた。
「──いずれにせよ、今こうして我々が交わした言葉については、あの子に伏せておいてはくれまいか。何度も言っているが、何が起きて、どんな変化があるのか見当もつかないのだ。大げさに脅しておくくらいで丁度いい。何かあったとき、あの子の心の傷を無闇に深めずに済む」
「承知しました。キリエが楽観的に捉えぬよう十分に注意しつつ、今得た情報はこの胸にしまっておきます。……ただ、キリエと共有したい情報として、ふたつ疑問があるのですが」
「……何だ?」
「まず、ひとつ。ユージーンがこの地を征服してから正確に千年後となるのは、いつ頃でしょうか?」
「さぁ、どうであろうな。我らは、細かく年数を数えたりはせぬ。だが、おそらくはそろそろであろう」
「そうですか……。では、もうひとつ。キリエには、微弱ながら治癒能力のようなものがあるように思えることがありました。軽度の切り傷を塞いだり、打撲した部分を服の上から触れられて痛みが引いたり、そんなことが。……これは妖精人の特性ですか?」
「ああ、あの子は、治癒能力も得ていたのか。それは妖精人特有というよりも、風の精霊の加護の効果だな。風の精霊の加護がある者すべてが治癒の力を授かっているわけではなく、上位の風の精霊に好かれている者だけが持つものだ」
「……分かりました。ありがとうございます」
ちょうど話に区切りがついたところで、ソスピタとキリエが戻ってくる。少々寂しそうな表情をしながらも、キリエはふわりと笑った。
「名残惜しいですが、もう行かなくては」
「ああ、そうだな」
リアムも立ち上がり、キリエの横に並び立つ。いよいよ出発していこうとしている孫の姿を、祖父母はじっと見つめた。
「おじいさま、おばあさま、また元気に会いに来られるように頑張りますね」
「身体に気をつけてねぇ、キリエ。無理しちゃダメよ。リアムさん、くれぐれもよろしくお願いねぇ」
「かしこまりました」
「……キリエ。何かあれば、遠慮なく私を呼びなさい」
「はい。ありがとうございます、おじいさま」
後ろ髪を引かれながらもキリエは祖父母へ背を向け、リアムも一礼してから主君の後ろを歩き出す。妖精人の長老とその妻は、二人の姿が完全に見えなくなるまで、静かに見送り続けるのだった。
キリエがソスピタの話を夢中になって聞いている様子を遠目に確認しつつ、リアムは次の質問を繰り出す。
「では、実際のところ、キリエの身にどのくらい妖精人の影響が出るとお考えでしょうか?」
「……実際、とは?」
「今後キリエの身に起こり得る変化などについての予想を、失礼ながら、貴殿は少々おおげさに語っていらしたように思えたものですから」
「……」
「キリエを手元に置くため、また、今後なにがあろうとキリエが大きな衝撃を受けないために、話を大きくせねばならなかったという貴殿の心中はお察しいたします。しかし、俺はそれでは納得しません」
銀と藍紫の視線が交わった。どちらも冷静な眼差しではあるが、底知れぬ強い意志がぶつかり合う。
「私は、嘘を口にしたわけではない。実際、あの子の身に何が起こるのかは誰にも分からぬのだ。なにせ、妖精人と人間の間に生を受けたのはキリエが初めてなのだから」
「ええ、そうでしょうとも。それは承知しています。だからこそ、俺も『嘘』ではなく『大げさな話』と申し上げたわけです。それを踏まえたうえで、貴殿の率直な予想をお聞きしたいと申し上げています」
「……そなた、実は結構な曲者なのではないか」
リアムは人間であるため、妖精人であるプシュケに悪意を向けたり敵対することは出来ない。しかし、その境界のギリギリまで攻め込んだ姿勢を見せている。
妖精人の長老は、彼から見れば幼児同然である人間の青年の頑固さに、溜息をつきながらも折れてやることにした。
「あくまでも、私個人の想像にすぎない話だが。……そうだな、まず、一番の懸念事項から言うならば、やはり寿命だろう」
「……長命である可能性が高い、と?」
「ただの想像でしかないが。キリエは外見も性質も妖精人寄りの存在だ。我らと同じとまではいかないかもしれぬが、人間よりは長命の可能性が高いのではないかと思う」
「なるほど。……性別の変化に関しては、いかがです?」
「それについては、確かに大げさに言ったかもしれぬな。我ら妖精人は性別を持たぬまま生まれ、じきに性別が決定して身体が変化していくものだが、一度変化した後はもう性別が変異することはない。キリエは生まれた時点ではっきりと男であったのだから、いくら妖精人寄りの体質とはいえ、そこから性別が動く可能性は低いだろうな。……だが、やはり男にしては身体が小さく、顔つきも柔らかすぎる。それゆえ、心配をしているのだ」
「妖精人の方々の生態ではそうかもしれませんが、人間として見れば、さほど珍しい外見ではありません。実際、我が家の使用人にも、キリエと同程度に小柄で顔立ちも中性的な成人男性がおります。逆に、女性にしては長身で、やはり中性的な面立ちの成人女性もおります」
「なるほど。人の子の生態は随分と幅広いのだな」
淡々と会話を交わす二人とは対照的に、遠くからは祖母と孫の楽しげな笑い声が聞こえてくる。その平和な光景を眺めつつも、長老と騎士は意見交換を続けた。
「──いずれにせよ、今こうして我々が交わした言葉については、あの子に伏せておいてはくれまいか。何度も言っているが、何が起きて、どんな変化があるのか見当もつかないのだ。大げさに脅しておくくらいで丁度いい。何かあったとき、あの子の心の傷を無闇に深めずに済む」
「承知しました。キリエが楽観的に捉えぬよう十分に注意しつつ、今得た情報はこの胸にしまっておきます。……ただ、キリエと共有したい情報として、ふたつ疑問があるのですが」
「……何だ?」
「まず、ひとつ。ユージーンがこの地を征服してから正確に千年後となるのは、いつ頃でしょうか?」
「さぁ、どうであろうな。我らは、細かく年数を数えたりはせぬ。だが、おそらくはそろそろであろう」
「そうですか……。では、もうひとつ。キリエには、微弱ながら治癒能力のようなものがあるように思えることがありました。軽度の切り傷を塞いだり、打撲した部分を服の上から触れられて痛みが引いたり、そんなことが。……これは妖精人の特性ですか?」
「ああ、あの子は、治癒能力も得ていたのか。それは妖精人特有というよりも、風の精霊の加護の効果だな。風の精霊の加護がある者すべてが治癒の力を授かっているわけではなく、上位の風の精霊に好かれている者だけが持つものだ」
「……分かりました。ありがとうございます」
ちょうど話に区切りがついたところで、ソスピタとキリエが戻ってくる。少々寂しそうな表情をしながらも、キリエはふわりと笑った。
「名残惜しいですが、もう行かなくては」
「ああ、そうだな」
リアムも立ち上がり、キリエの横に並び立つ。いよいよ出発していこうとしている孫の姿を、祖父母はじっと見つめた。
「おじいさま、おばあさま、また元気に会いに来られるように頑張りますね」
「身体に気をつけてねぇ、キリエ。無理しちゃダメよ。リアムさん、くれぐれもよろしくお願いねぇ」
「かしこまりました」
「……キリエ。何かあれば、遠慮なく私を呼びなさい」
「はい。ありがとうございます、おじいさま」
後ろ髪を引かれながらもキリエは祖父母へ背を向け、リアムも一礼してから主君の後ろを歩き出す。妖精人の長老とその妻は、二人の姿が完全に見えなくなるまで、静かに見送り続けるのだった。
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