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第2章
【2-8】今後の生活基盤
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大広間に残された主要人物がキリエ、リアム、コンラッドの三人になった後、今後について軽く話し合いをした。
まず、キリエの生活拠点をどこにするか。王城は国王の住居であるため、次期国王候補たちは定住することは出来ず、それぞれ別に屋敷を持っているのだという。国王の他は正妻とその子どもしか定住は認められていないことから、先代国王の妻たちも城内にはいないそうだ。王家内にもなかなか厳しい規律があるものだな、とキリエは驚いた。
コンラッドが新しい屋敷を用意することも可能といえば可能なのだが、新しい屋敷を作るには数ヶ月必要であり、中古の屋敷を手直しするにしてもそれなりに時間がかかることから、その間は城内の客室に泊まることになるらしい。
しかし、キリエはリアムの屋敷に世話になると決めた。狭くていいのなら是非とリアムも勧めてくれたし、キリエ自身が城にはあまり長居したくなかったのだ。コンラッドに異存は無いようで、キリエの拠点はあっさりと決定した。
その他の細かい伝達事項はまた改めて使者をリアムの屋敷へ出すとのことで、今日はキリエが次期国王候補であることを記した証明書類を受け取ったら帰るという流れになった。キリエの疲弊を考慮して、コンラッドが気を遣ってくれたのだろう。
こうして、約二時間ほど掛かった王家側との初面談は終了したのだった。
◆◆◆
「キリエ様、リアム様、おかえりなさいませー!」
先に知らせを受けていたのか、キリエとリアムが城門に着く頃には、其処でエドワードが馬車と共に待機していてくれた。随分と濃い印象の人々と会ってきたからか、彼の笑顔がとても素朴で親しみやすいものに感じ、キリエは肩の力を抜く。
「ただいま、エド」
「お疲れさまでした! さっ、馬車に乗ってくださいっす。まだ昼間とはいえ、風がだいぶ冷たくなってきましたからねー! お風邪を召されたら大変っす」
「ありがとうございます」
エドワードの手を借りながら馬車に乗り込むキリエを見守りつつ、リアムがフットマンへ簡単に事情を説明した。
「この度、俺は正式にキリエ様の側近となった。そして、キリエ様は我がサリバン家でお過ごしになることが決まった。今後、お前の手を借りることも多々あるだろうが、よろしく頼む」
「うわぁ! リアム様、側近騎士になられたんすねぇ! おめでとうございます! オレ、すっごく嬉しいし、めっちゃくちゃ頑張るっす!」
感極まったように瞳を潤ませたエドワードは、長身を折り曲げるようにして馬車の中のキリエを覗き見てきた。
「キリエ様と同じお屋敷にいられるだなんて、オレ幸せっす! よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします、エド」
「はい! ……リアム様、行き先はお屋敷でいいっすか?」
「ああ。キリエ様もお疲れだから、早く休ませてさしあげたい。とりあえず、家に直行してくれ」
「かしこまりましたぁ!」
エドワードが元気に御者台へ駆けて行き、リアムはキリエの隣へと乗り込んできた。扉を閉めた騎士は、従者の顔つきから友人のそれへと変わる。
「お疲れ様、キリエ。慣れない場所で大変だっただろうに、よく頑張ったな」
「いえ……、僕はただ座ってお喋りしていただけですし、大事な話は全部リアムとコンラッドがしてくれたので。ありがとうございました」
「そんなことはない。あの個性的な方々と会話を成立させていただけでも、大したものだよ」
キリエに対して甘すぎる評価を付けたリアムは、不意に真顔で見つめてきた。
「──あと、ありがとうキリエ。俺が罵られていたときに庇ってくれて。お前のその気持ちは本当に嬉しい。嬉しいが、今後はもうあんなことはしなくていい。俺には詰られるだけの理由があるのだから」
「お断りします。僕はこれからも、ああやってリアムが傷つけられていたら、相手が誰であろうと抗議します」
「キリエ、気持ちはありがたいんだが、それではお前の立場が、」
「僕の立場があるからです。この立場だからこそ、出来ることがあるし、言えることがある。そうでしょう? ……僕は、エステルと約束しました。皆に優しい王国を目指すために王都で精一杯がんばる、と。友人を見捨てるだなんて、その約束に反します。僕は嘘はつきませんし、守れない約束はしないんです」
キリエが軽く胸を張ると、リアムは降参したというように両手を上げて苦笑する。
「ここ数日でだいぶ逞しくなったな、キリエ。その調子で、食事も元気よくとれるようになってくれ。屋敷に着いて少し休んだら、遅めの昼食にしようか」
「うっ……、が、頑張っていただきます」
さりげなく食事の話題になり少々青ざめたキリエだが、そこでふと思い至ったことに表情を沈ませた。
「あの……、今更かもしれませんが、無一文の僕が急にお世話になってしまって、本当に大丈夫でしょうか? すみません、リアムにご迷惑をおかけしてますよね」
「ん? そんなことを気にしていたのか。うちの屋敷は小さいが空き部屋もあるし、キリエが一人増えたところで生活基盤が揺らぐわけでもないから大丈夫だ。俺一人の経済力では上流貴族のような贅沢三昧の暮らしはさせられないが、まぁ、衣食住の保証は出来る」
「雨風がしのげるだけでありがたいです」
キリエが大真面目に頷くと、リアムは小さく吹き出し、軽く声を上げて笑う。彼もそんな風に笑うのだな、とキリエは目を丸くした。
「俺一人の経済力では、と言っただろう? キリエは王子なのだから、王家予算から生活資金が出る。それがあれば、お前の生活は十分に潤沢なものになるはずだ。俺の屋敷での普段の生活内容で納得できるなら、キリエは生活資金は掛からない。自分の好きなように使うといい」
「……僕は、贅沢なんてしたくありません。生きるのに最低限の物があれば、それでいいんです。僕に何がしかの給付金が下りるというのなら、僕の生活にかかる費用は君にもきちんとお支払いします。もしその残りがあるのなら、寄付したりしたいです」
「キリエならそう言うと思っていたが──、屋敷につくまでの間に、真面目な話を少しだけしておこう。王家予算から出る資金は、ひとまずは活動費に充てるべきだな」
「活動費?」
鸚鵡返しする主に対し、騎士は静かに頷いた。
まず、キリエの生活拠点をどこにするか。王城は国王の住居であるため、次期国王候補たちは定住することは出来ず、それぞれ別に屋敷を持っているのだという。国王の他は正妻とその子どもしか定住は認められていないことから、先代国王の妻たちも城内にはいないそうだ。王家内にもなかなか厳しい規律があるものだな、とキリエは驚いた。
コンラッドが新しい屋敷を用意することも可能といえば可能なのだが、新しい屋敷を作るには数ヶ月必要であり、中古の屋敷を手直しするにしてもそれなりに時間がかかることから、その間は城内の客室に泊まることになるらしい。
しかし、キリエはリアムの屋敷に世話になると決めた。狭くていいのなら是非とリアムも勧めてくれたし、キリエ自身が城にはあまり長居したくなかったのだ。コンラッドに異存は無いようで、キリエの拠点はあっさりと決定した。
その他の細かい伝達事項はまた改めて使者をリアムの屋敷へ出すとのことで、今日はキリエが次期国王候補であることを記した証明書類を受け取ったら帰るという流れになった。キリエの疲弊を考慮して、コンラッドが気を遣ってくれたのだろう。
こうして、約二時間ほど掛かった王家側との初面談は終了したのだった。
◆◆◆
「キリエ様、リアム様、おかえりなさいませー!」
先に知らせを受けていたのか、キリエとリアムが城門に着く頃には、其処でエドワードが馬車と共に待機していてくれた。随分と濃い印象の人々と会ってきたからか、彼の笑顔がとても素朴で親しみやすいものに感じ、キリエは肩の力を抜く。
「ただいま、エド」
「お疲れさまでした! さっ、馬車に乗ってくださいっす。まだ昼間とはいえ、風がだいぶ冷たくなってきましたからねー! お風邪を召されたら大変っす」
「ありがとうございます」
エドワードの手を借りながら馬車に乗り込むキリエを見守りつつ、リアムがフットマンへ簡単に事情を説明した。
「この度、俺は正式にキリエ様の側近となった。そして、キリエ様は我がサリバン家でお過ごしになることが決まった。今後、お前の手を借りることも多々あるだろうが、よろしく頼む」
「うわぁ! リアム様、側近騎士になられたんすねぇ! おめでとうございます! オレ、すっごく嬉しいし、めっちゃくちゃ頑張るっす!」
感極まったように瞳を潤ませたエドワードは、長身を折り曲げるようにして馬車の中のキリエを覗き見てきた。
「キリエ様と同じお屋敷にいられるだなんて、オレ幸せっす! よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくお願いします、エド」
「はい! ……リアム様、行き先はお屋敷でいいっすか?」
「ああ。キリエ様もお疲れだから、早く休ませてさしあげたい。とりあえず、家に直行してくれ」
「かしこまりましたぁ!」
エドワードが元気に御者台へ駆けて行き、リアムはキリエの隣へと乗り込んできた。扉を閉めた騎士は、従者の顔つきから友人のそれへと変わる。
「お疲れ様、キリエ。慣れない場所で大変だっただろうに、よく頑張ったな」
「いえ……、僕はただ座ってお喋りしていただけですし、大事な話は全部リアムとコンラッドがしてくれたので。ありがとうございました」
「そんなことはない。あの個性的な方々と会話を成立させていただけでも、大したものだよ」
キリエに対して甘すぎる評価を付けたリアムは、不意に真顔で見つめてきた。
「──あと、ありがとうキリエ。俺が罵られていたときに庇ってくれて。お前のその気持ちは本当に嬉しい。嬉しいが、今後はもうあんなことはしなくていい。俺には詰られるだけの理由があるのだから」
「お断りします。僕はこれからも、ああやってリアムが傷つけられていたら、相手が誰であろうと抗議します」
「キリエ、気持ちはありがたいんだが、それではお前の立場が、」
「僕の立場があるからです。この立場だからこそ、出来ることがあるし、言えることがある。そうでしょう? ……僕は、エステルと約束しました。皆に優しい王国を目指すために王都で精一杯がんばる、と。友人を見捨てるだなんて、その約束に反します。僕は嘘はつきませんし、守れない約束はしないんです」
キリエが軽く胸を張ると、リアムは降参したというように両手を上げて苦笑する。
「ここ数日でだいぶ逞しくなったな、キリエ。その調子で、食事も元気よくとれるようになってくれ。屋敷に着いて少し休んだら、遅めの昼食にしようか」
「うっ……、が、頑張っていただきます」
さりげなく食事の話題になり少々青ざめたキリエだが、そこでふと思い至ったことに表情を沈ませた。
「あの……、今更かもしれませんが、無一文の僕が急にお世話になってしまって、本当に大丈夫でしょうか? すみません、リアムにご迷惑をおかけしてますよね」
「ん? そんなことを気にしていたのか。うちの屋敷は小さいが空き部屋もあるし、キリエが一人増えたところで生活基盤が揺らぐわけでもないから大丈夫だ。俺一人の経済力では上流貴族のような贅沢三昧の暮らしはさせられないが、まぁ、衣食住の保証は出来る」
「雨風がしのげるだけでありがたいです」
キリエが大真面目に頷くと、リアムは小さく吹き出し、軽く声を上げて笑う。彼もそんな風に笑うのだな、とキリエは目を丸くした。
「俺一人の経済力では、と言っただろう? キリエは王子なのだから、王家予算から生活資金が出る。それがあれば、お前の生活は十分に潤沢なものになるはずだ。俺の屋敷での普段の生活内容で納得できるなら、キリエは生活資金は掛からない。自分の好きなように使うといい」
「……僕は、贅沢なんてしたくありません。生きるのに最低限の物があれば、それでいいんです。僕に何がしかの給付金が下りるというのなら、僕の生活にかかる費用は君にもきちんとお支払いします。もしその残りがあるのなら、寄付したりしたいです」
「キリエならそう言うと思っていたが──、屋敷につくまでの間に、真面目な話を少しだけしておこう。王家予算から出る資金は、ひとまずは活動費に充てるべきだな」
「活動費?」
鸚鵡返しする主に対し、騎士は静かに頷いた。
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