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第1章
【1-18】夜霧の騎士と聖なる銀月
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◆◆◆
ゴトゴトと揺れる感覚で徐々に意識が覚醒し、キリエは静かに瞼を押し上げた。ぼやけていた視界がハッキリしてくると、白い布地が目の前に見える。──リアムの騎士服だ。どうやら、彼に寄り掛かっていたらしい。
「……キリエ? 目が覚めたか」
キリエの覚醒に気づいたリアムが、安心したような声音で話しかけてくる。ここは馬車の中で、騎士と共に乗せられて移動しているということは、御者台にはトーマスがいるのだろうか。
上半身を起こして座り直したキリエは、じっとリアムを見上げる。
「あの、リアム、トーマスさんは……っ」
「安心してくれ。意識が戻って少し休んだらすぐに動けるようになった。軽傷だったし、キリエが傷を塞いでくれたからな」
「……僕が?」
戸惑って首を傾げる青年に対し騎士は頷き、今度は彼の方から問いかけてきた。
「キリエ。お前の瞳が赤く輝いて、急に強風が吹いたり雷が落ちたりしていた。そのあたりから意識の有無が怪しかったように思えたんだが、覚えているか?」
「目が、赤く? また?」
「……また?」
キリエは、一週間ほど前にあった街中での出来事を話した。不埒な三人組からエステルを助けようとしたときのことだ。あのときも不思議な強風が発生し、銀色のはずの目が赤く光っていた。
「そのときには、目が赤くなっていたのも少しの間だけで、記憶を失くしたりもしていないのですが……」
「ということは、今日の出来事に関しては覚えていないんだな?」
「トーマスさんの首にナイフが押し当てられて、危ないって思って、──そこからは覚えていません」
「……そうか」
リアムは暫し逡巡した後、とりあえず今に至るまでを説明する。
キリエの瞳が深紅に輝き始めてから、状況が一変したこと。月夜の人形会を撃退し、そこからしばらくはリアムが馬車の御者役を務めたこと、じきにトーマスが目を覚まして交代したこと、あと二時間ほどで王都に到着すること。
「本当なら、トーマスを見捨ててでもお前の無事を優先するべきだったのかもしれない。申し訳なかった。結果的にキリエは無事だったからよかったが……、俺は……」
「いいえ、リアムの決断は正しかったと、僕はそう思います。どんな立場の人であっても命は奪わないようにしたい、そんな正義感に溢れている君だからこそ、僕は尊敬しているし、夜霧の騎士を真の英雄だと思っているのですから」
「……ありがとう、キリエ」
自身の決断を悔いていたらしい騎士は、はにかむ。それに頷きを返してから、キリエは小さく息をついた。
「僕たちも、そして馬たちも、みんな無事でよかったですね。トーマスさんは少し怪我をしてしまいましたが」
「馬には妙な催眠を掛けられていたようだが、あの集団を滅したら解けたのは幸いだった。誰が催眠術の使い手か分からないが、本人の意識が途切れたら解ける類のものだったんだろうな。トーマスも、後でキリエに礼を伝えたいと言っていた」
「お礼なんて……、リアムのおかげで助かったわけですし、僕は何もしていないというか、……覚えていないですし」
キリエは、服の裾を掴んで俯く。先日の街での一件までは、瞳が赤く光ったことなどなかったし、不可思議な現象が発生したこともなかった。ただでさえ銀髪銀眼のせいで人間離れしているような気がしていたというのに、ますます拍車が掛かったようで嫌になる。
落ち込むキリエの心情を察したのか、リアムはそっと銀色の頭を撫でた。
「キリエ。お前の出自に関しては、まだ半分以上が分からない。王家の金ボタンが示しているのだから、父君が先代国王陛下であらせられるのは間違いないが、母君に関しては分からない。瞳が赤くなったことも、出自に何か隠されているのかもしれない。……それでも、お前はお前だ」
「僕は、僕……」
「そうだ。十年前にも言っただろう? どんな存在であったとしても、キリエはキリエだ」
おそらく、リアム自身もキリエが普通の人間ではないだろうという疑念を抱いているはずだ。それでも彼はそれを露わにはせず、今までと変わらない態度であることを意識しているようだった。
「王都に着いたら、まずは俺の屋敷に案内しよう。着替えなければならないし、少し足腰を伸ばして休んだ方がいい。あちらに着くのが昼過ぎで、まぁ、夕刻には城へ行かなければならないからあまりゆっくりは出来ないかもしれないな」
「そう、ですね。……僕のような人間が行って、リアムのお家の人はビックリしたりしないでしょうか」
「大丈夫だ。うちの人間といっても皆、使用人だ。しかも、なかなか個性的な連中ばかりだからな。逆に、キリエの方が驚いてしまうかもしれない」
「いえ、そんな……」
「驚くかもしれないが、みんな気のいい連中だ。だから、よろしくな」
紅眼のことについてはもう触れず。そこから遠ざかった話題で語るリアムの声音は、心なしか普段よりも明るい。気を遣わせてしまっているという自覚のあるキリエは、自身の気持ちを切り替えるために、ひとつの問い掛けを発した。
「──リアム」
「ん、どうした?」
「僕の目は、今は何色ですか?」
真剣さの中にわずかな不安を覗かせている銀眼を見つめ返すリアムは、ふっと柔らかく微笑んだ。
「聖なる銀月の色をしている。……いつもの、キリエの瞳だ」
その答えに安心したキリエは口元を綻ばせ、ようやく笑顔を見せるのだった。
【第1章 完】
ゴトゴトと揺れる感覚で徐々に意識が覚醒し、キリエは静かに瞼を押し上げた。ぼやけていた視界がハッキリしてくると、白い布地が目の前に見える。──リアムの騎士服だ。どうやら、彼に寄り掛かっていたらしい。
「……キリエ? 目が覚めたか」
キリエの覚醒に気づいたリアムが、安心したような声音で話しかけてくる。ここは馬車の中で、騎士と共に乗せられて移動しているということは、御者台にはトーマスがいるのだろうか。
上半身を起こして座り直したキリエは、じっとリアムを見上げる。
「あの、リアム、トーマスさんは……っ」
「安心してくれ。意識が戻って少し休んだらすぐに動けるようになった。軽傷だったし、キリエが傷を塞いでくれたからな」
「……僕が?」
戸惑って首を傾げる青年に対し騎士は頷き、今度は彼の方から問いかけてきた。
「キリエ。お前の瞳が赤く輝いて、急に強風が吹いたり雷が落ちたりしていた。そのあたりから意識の有無が怪しかったように思えたんだが、覚えているか?」
「目が、赤く? また?」
「……また?」
キリエは、一週間ほど前にあった街中での出来事を話した。不埒な三人組からエステルを助けようとしたときのことだ。あのときも不思議な強風が発生し、銀色のはずの目が赤く光っていた。
「そのときには、目が赤くなっていたのも少しの間だけで、記憶を失くしたりもしていないのですが……」
「ということは、今日の出来事に関しては覚えていないんだな?」
「トーマスさんの首にナイフが押し当てられて、危ないって思って、──そこからは覚えていません」
「……そうか」
リアムは暫し逡巡した後、とりあえず今に至るまでを説明する。
キリエの瞳が深紅に輝き始めてから、状況が一変したこと。月夜の人形会を撃退し、そこからしばらくはリアムが馬車の御者役を務めたこと、じきにトーマスが目を覚まして交代したこと、あと二時間ほどで王都に到着すること。
「本当なら、トーマスを見捨ててでもお前の無事を優先するべきだったのかもしれない。申し訳なかった。結果的にキリエは無事だったからよかったが……、俺は……」
「いいえ、リアムの決断は正しかったと、僕はそう思います。どんな立場の人であっても命は奪わないようにしたい、そんな正義感に溢れている君だからこそ、僕は尊敬しているし、夜霧の騎士を真の英雄だと思っているのですから」
「……ありがとう、キリエ」
自身の決断を悔いていたらしい騎士は、はにかむ。それに頷きを返してから、キリエは小さく息をついた。
「僕たちも、そして馬たちも、みんな無事でよかったですね。トーマスさんは少し怪我をしてしまいましたが」
「馬には妙な催眠を掛けられていたようだが、あの集団を滅したら解けたのは幸いだった。誰が催眠術の使い手か分からないが、本人の意識が途切れたら解ける類のものだったんだろうな。トーマスも、後でキリエに礼を伝えたいと言っていた」
「お礼なんて……、リアムのおかげで助かったわけですし、僕は何もしていないというか、……覚えていないですし」
キリエは、服の裾を掴んで俯く。先日の街での一件までは、瞳が赤く光ったことなどなかったし、不可思議な現象が発生したこともなかった。ただでさえ銀髪銀眼のせいで人間離れしているような気がしていたというのに、ますます拍車が掛かったようで嫌になる。
落ち込むキリエの心情を察したのか、リアムはそっと銀色の頭を撫でた。
「キリエ。お前の出自に関しては、まだ半分以上が分からない。王家の金ボタンが示しているのだから、父君が先代国王陛下であらせられるのは間違いないが、母君に関しては分からない。瞳が赤くなったことも、出自に何か隠されているのかもしれない。……それでも、お前はお前だ」
「僕は、僕……」
「そうだ。十年前にも言っただろう? どんな存在であったとしても、キリエはキリエだ」
おそらく、リアム自身もキリエが普通の人間ではないだろうという疑念を抱いているはずだ。それでも彼はそれを露わにはせず、今までと変わらない態度であることを意識しているようだった。
「王都に着いたら、まずは俺の屋敷に案内しよう。着替えなければならないし、少し足腰を伸ばして休んだ方がいい。あちらに着くのが昼過ぎで、まぁ、夕刻には城へ行かなければならないからあまりゆっくりは出来ないかもしれないな」
「そう、ですね。……僕のような人間が行って、リアムのお家の人はビックリしたりしないでしょうか」
「大丈夫だ。うちの人間といっても皆、使用人だ。しかも、なかなか個性的な連中ばかりだからな。逆に、キリエの方が驚いてしまうかもしれない」
「いえ、そんな……」
「驚くかもしれないが、みんな気のいい連中だ。だから、よろしくな」
紅眼のことについてはもう触れず。そこから遠ざかった話題で語るリアムの声音は、心なしか普段よりも明るい。気を遣わせてしまっているという自覚のあるキリエは、自身の気持ちを切り替えるために、ひとつの問い掛けを発した。
「──リアム」
「ん、どうした?」
「僕の目は、今は何色ですか?」
真剣さの中にわずかな不安を覗かせている銀眼を見つめ返すリアムは、ふっと柔らかく微笑んだ。
「聖なる銀月の色をしている。……いつもの、キリエの瞳だ」
その答えに安心したキリエは口元を綻ばせ、ようやく笑顔を見せるのだった。
【第1章 完】
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