レディ・クローンズ

蟹虎 夜光

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Say goodbye to the past

第16話 支配 大会裏の恐怖

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「……はい、分かりました。」
 明神はサドから指示を受けていた。そこにいるのは猫宮とその他の強化人間である。
「強化人間は今、四体……相手の魔法少女で最も重要視しなきゃいけないのも四体……。」
 ニヤリと笑う明神を周りは無感情で見つめる。
「くっだらねぇ。」
 次に口を開いたのは猫宮だ。
「あら、そうかしら?逆襲とか貴方したそうじゃない。」
「……逆襲がしたいならお前らみたいな組織に入るより個人として俺は喧嘩するぜ。」
「ふーん……もう一回恐怖が見たいの?」
 悪魔のようなニヒル口でニヤリと笑う彼女は絵に書かれたサキュバスのようである。
「てめぇに対する憎しみで殺してやろうかボケ。」
 そんな二人を見て落ち着かせようとする男がいる。
「まぁまぁ落ち着いて。ここで言い争っても無駄だよ。」
 強化人間第三号……忍屋メイト。『憤怒』の力を持っている彼は怒らせてはいけない人物だと言われてる。
「は、はい……」
「気、気をつけるよ……」
 彼らを止めれるのはこの男のみではないだろうか。不思議とお互いがそう思うようになってしまった。
「……ほらほら人野さんも。なんか言ってよー。」
 強化人間第一号……人野クチハ。人野コーポレーションの社長の娘は実験台第一号になってしまったらしい。その結果この強化人間をまとめている『アップス』のリーダーとして何故か存在させられてしまったと本人は語る。
「……おトイレ行きたい。」
 悪役の台詞とは到底思えない台詞に全員が頭を抱えた。

 我が校の今大会には最後にダンスが存在する。俗に言うカップルだけが大喜びする賛否が生まれるやつである。ましてやモテない俺らのような奴にとって地獄極まりないイベントである……。
 俺はこの大会そのものが嫌いだが最も嫌いなのは……やはりこれである。この文化こそ良くない。
「やっぱ最後があれだよな。」
「そうなんだよタルク、おかげで俺は今日軽く不幸って気分だ。」
「まぁお前はさぞ苦労してんだろうな。」
「羨ましいよ、お前。」
 ダンスは女子生徒の誘いがない限り、不成立となる。男子生徒が誘うのは不可能で、女子生徒が男子生徒を誘うことで意味があるのだ。もちろん女子生徒が誰も誘わないという選択肢もありその生徒は見学である。
 もちろん誘われること自体喜ぶところではあるのだが……。
「とーのー!」
 俺を誘った相手は変人である。
「全く殿はお身体がなっておりませぬぞ!」
 武蔵野小町。入学当初は『江戸子』なんてあだ名をつけられていて、俗に言う昔話や教科書に出てくるまるで絵に書いたような昔を彷彿とさせるような口調や性格をしているのである。 そして何故か俺の事を殿と呼んでくる。なんで?。
「お、おう……」
「せっかく会えたというのになんという態度ですか……」
 会った覚えはない。それどころか高校で初対面だ。いつだったかなんで前に会ったような態度なんだ?とか聞いた事はあるが「秘密じゃ」の一点張りだった。
「そりゃ誘われても苦労するぜお前も。」
 タルクも思わずこの反応である。そんな二人を見て小町は思わずしょんぼりとした顔で去っていった。

「あー!」
 クローン4人の前で大声を出すカヌーレ。
「どうしたのよ?」
 サーディは思わずこの反応である。
「フクスケ、弁当忘れちまってるよ!」
 カヌーレの視線の先には弁当が置かれてある。
「私届けに行くよ!」
 ファスタはそう言うと弁当を持って走ろうとする。
「そう、なら頼むわね。」
 カヌーレはファスタを店の入口まで見送りその場を去ろうとする。
「おい!ファスタに行かせたのかよ!」
 大声で現れたセカンダ、その彼女と共ににフォーサーもやってきた。
「ファスタお姉ちゃん、地理弱いよ?」
「まじかよ……」
 カヌーレは思わず頼む相手を間違えたかのような顔で頭を抱える。
「まぁカヌーレさんは気にしないでくれよ。私がやるから。」
 セカンダはクラウチングスタートの構えで追いかけようとする。
「いやいやここは私が……」
 サーディはそれを止めるように落ち着いた様子で歩く。
「お姉ちゃん達、手伝っててよ。私がやるから。」
 その二人を止めるかのように腕を振り回すフォーサー。
「悪いんだけど…もう、オリジンちゃんが動いたわ。」
「「「えぇ!?」」」
 三人は思わず口を開けて驚いた。新参者に負けるなんてことがあっては古参の名が廃る……彼女達はそう思っていたためにかなりきたらしい。

「えーっといっちゃんの学校は……こっち?」
「違う!」
 その頃、ファスタとオリジン。ファスタを一人で歩かせるのは危険であると改めて思ったオリジンはクナイや爆弾でファスタの間違いを止める。
「ぎゃあああ!!!!!」
 今回は刀が降ってきた。
「ち、違うのね……?」
 ファスタは元の道を戻って正しい道を進もうとする。そんな彼女の前に現れたのは分かれ道である。
「左か右なら……右かな!」
「なんでだよ!」
 その声と共に大きなラジコンヘリがミサイル飛ばしてやってきた。もちろん実弾です。
「左でした!もっと優しく教えてよー!!!!!」
 先程の左の方向に戻りながら走る彼女は脱獄した囚人のように弁当を抱えて走り回る。
「なんで!なんで弁当を届けているだけよね!?なんでクナイとか刀、それどころか爆弾やヘリに襲われなきゃいけないの!?道をこっそりと教えてくれるセカンダやサーディ、それどころかフォーサーでもここまではしなかったよ!?」
 逃げながらもツッコミを入れる姿はギャグアニメのツッコミキャラのようである。
「つ、着いたここだ!」
 現場に着くとそこに小町がいた。
「殿は……私じゃダメなのか……」
 ファスタは道案内のために声をかけようかと思ったが空気感を考えて諦めた。しかしその時だった。
「あれぇ?誰かと思えばクローンちゃんじゃない?」
 牛雲ゼブラ……メンバー全員で危険だと言っていたあの男だと一瞬で分かった。
「でもこないだの子のような落ち着きもないし髪色も違う……福瀬一之輔が連れてるクローンは毎日違うのか。女をとっかえひっかえってか……やなタイプねぇ。」
「いっちゃんはそんなんじゃない。」
 ファスタは武器を構える。
「ふぅん……人間と機械の友情ごっこを真に受けてるのかな。それにそんな武器なんか構えて正気?」
 そんなゼブラの前にオリジンが現れる。
「いいえ、ごっこなどではありません。それに貴方の相手は私ですよ。」
「嫌だなぁ、僕は手ブラなのに。」
 そう言うとポケットの中に閉まっていたトランプを出しニヤリと笑う。
「武器を持ってないとは言ってないけどね。」
 ダイヤの10のカードを出すと上から10本のクナイが飛んできた。
「武器は君に似てるかな。」
「面白い技ですね。」
 全てを避けたオリジンはスペードの2を出す。そこから矢が現れ二本ともオリジン目掛けて飛ぶ。しかしオリジンは避けるどころかファスタ達に先に行けと目で合図する余裕をかます。
「行こう、小町ちゃん……」
「も、もしかして殿のクローンってお主らのことか!?」
「……うーん、殿っていっちゃんのこと?」
 そう言いながらファスタと小町は走り出す。
「さて、これで全力が出せますね。」
「あぁ、そうだね。……さて、運試しだ。」
 そう言うとコインを投げる。
「表が出たら僕に隕石が、裏が出れば君に隕石が降る。」
 投げた先に答えは出た。
「残念、裏のようだ。」
 オリジン目掛けて隕石が吹っ飛ぶ。
「させないわ!」
 サーディの矢が隕石を破壊した。
「「お前の相手は私達だ!」」
 セカンダとフォーサーが続く。

 つづく……。
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