宮廷画家令嬢は契約結婚より肖像画にご執心です！～次期伯爵公の溺愛戦略～

これからは、未来を見て

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　フレイディは膝をついて、手を合わせた。

　なにか、口の中で呟いているようだった。

　祈りの歌か、それともここへ眠るひとに向けた言葉か。

　そればかりはフレイディと、ここに眠るひとだけが知るべきことだっただろう。

　数分経った。

　フレイディは立ち上がり、アマリアを振り向いた。

「アマリアも挨拶してくれるかい」

　静かに言われて、アマリアは頷いた。

「よろしいのでしたら……」

　少し気の引ける思いはあったけれど、一歩踏み出し、先ほどのフレイディと同じようにして、膝をついた。

　なにを言って良いのかはわからなかったので、賛美歌を呟いた。

　祈りの言葉だ。

　そのアマリアの隣にいてくれたフレイディは、アマリアの挨拶がひと通り終わったところで、立ち上がった。

　アマリアも続いて立ち上がる。

　そこでやっと、フレイディは話してくれた。

「エルシーに挨拶をしたかったんだ」

　落ち着いた声で、切り出された。

　アマリアもそれはもうわかっていたので、頷く。