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苦しい思い

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「ただいま」

 無事にフレイディが帰ってきたのだ。

 やはりこんなことは何度もあって、それにお出掛けから帰ってくるなど当たり前のこと。

 なのに、アマリアは大きな安堵を覚えてしまった。

「おかえりなさいませ」

 帰宅の連絡に、奥の部屋にいたのだが、つい玄関のほうまで出てきてしまったくらいだ。

 フレイディは外出用の正装をしていた。

 かっちりした黒のジャケットとスラックスの上下に、白い手袋と黒い靴。

 アマリアはその彼……今は絵の中でも頭の中でもない、本当の彼を目にして、なんだか泣きたくなってしまった。

 嬉しい、寂しかった、悲しい、……きっとそれ以外にも。

 色々混ざり合って、胸が苦しくなったのだ。

「留守の間、何事もなかったかい」

 しかしフレイディがそんなことを知るはずもない。

 何気ない調子で言った。

 けれどこちらも、アマリアにとっては少々都合の悪い質問だ。

 まさか昨日の一夜を、レオンと共にアトリエで過ごして寝入ってしまったなんて……。

 いや、フレイディには言わなくてはいけないのかもしれない。

 それでも、すぐにではなくて良いだろう。

 アマリアはあとで説明することにして、今はとりあえず、「ええ」と肯定しておいた。
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