155 / 276
今夜はひとつ、床の中
14
しおりを挟む
まるで子供を寝かしつけるようなものだった、と思ってしまい、アマリアは気まずくなった。
まさかくちづけ、なんて思ったことに恥じ入ってしまう。
「……おやすみ、なさいませ」
でももう、子供扱いなんて! とはやはり言えないのだった。
アマリアはなんとかそう言い、もそっと動いて、落ち着きのいい場所を見つけて、目を閉じた。
フレイディの手はアマリアの肩に戻り、肩から背中にかけてを優しく包んでくれる。
あたたかくてしっかりとした感触に、どきどきしてしまいながらも、アマリアは安心を覚えた。
フレイディの気持ちや望みがまったくわかっていなかったことに、罪悪感や、自分が子供かつ呑気すぎたという後悔はある。
でもこの状況はとても心地良かった。
あたたかくて、ほんのり香水のような甘い香りもして、心地いい。
一日の疲れと心労が再び襲ってきた。
もう月だってほとんど真上を超してしまっただろう時間になっているのも、後押しする。
アマリアは、ふぅ、と長い息をついて力を抜いた。
すぐに意識は眠りへと吸い込まれる。
「おやすみ、アマリア」
大きな手がアマリアのやわらかな髪を撫でて、上のほうから小さな声でそう言ってもらえたのも、ほとんど認識できないままだった。
まさかくちづけ、なんて思ったことに恥じ入ってしまう。
「……おやすみ、なさいませ」
でももう、子供扱いなんて! とはやはり言えないのだった。
アマリアはなんとかそう言い、もそっと動いて、落ち着きのいい場所を見つけて、目を閉じた。
フレイディの手はアマリアの肩に戻り、肩から背中にかけてを優しく包んでくれる。
あたたかくてしっかりとした感触に、どきどきしてしまいながらも、アマリアは安心を覚えた。
フレイディの気持ちや望みがまったくわかっていなかったことに、罪悪感や、自分が子供かつ呑気すぎたという後悔はある。
でもこの状況はとても心地良かった。
あたたかくて、ほんのり香水のような甘い香りもして、心地いい。
一日の疲れと心労が再び襲ってきた。
もう月だってほとんど真上を超してしまっただろう時間になっているのも、後押しする。
アマリアは、ふぅ、と長い息をついて力を抜いた。
すぐに意識は眠りへと吸い込まれる。
「おやすみ、アマリア」
大きな手がアマリアのやわらかな髪を撫でて、上のほうから小さな声でそう言ってもらえたのも、ほとんど認識できないままだった。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます
刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
猫に転生したらご主人様に溺愛されるようになりました
あべ鈴峰
恋愛
気がつけば 異世界転生。
どんな風に生まれ変わったのかと期待したのに なぜか猫に転生。 人間でなかったのは残念だが、それでも構わないと気持ちを切り替えて猫ライフを満喫しようとした。しかし、転生先は森の中、食べ物も満足に食べてず、寂しさと飢えでなげやりに なって居るところに 物音が。
貢ぎモノ姫の宮廷生活 ~旅の途中、娼館に売られました~
菱沼あゆ
ファンタジー
旅の途中、盗賊にさらわれたアローナ。
娼館に売られるが、謎の男、アハトに買われ、王への貢ぎ物として王宮へ。
だが、美しきメディフィスの王、ジンはアローナを刺客ではないかと疑っていた――。
王様、王様っ。
私、ほんとは娼婦でも、刺客でもありませんーっ!
ひょんなことから若き王への貢ぎ物となったアローナの宮廷生活。
(小説家になろうにも掲載しています)
救国の勇者は末の亡霊姫をご所望です
蒼乃ロゼ
恋愛
「では、貴女がほしい」
救国の勇者であるセラは、国を救った褒美を王より尋ねられる。
国には三人の姫がおり、次代の女王である長女を指名するのだと誰もが思っていた。
だが、セラが実際に求めたのはその目立たなさから『亡霊姫』と呼ばれるアリアでーー?
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる