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快はどこに?
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図書室に来て、だいぶ経った。
三十分ほどは待っただろう。
けれど快は来なかった。
おかしいなぁ、なにかあったのかな。
美久はだんだん不思議に思いはじめた。
快が約束を忘れているはずもない。だってもう毎週の習慣になっていたのだから。
だからなにか急な用事が入ったとかかもしれない。
でも美久のスマホにはなにも連絡がなかった。遅くなるとか、あるいは来られないとかなら連絡をくれるだろうに。
付き合うことになった翌日に、スマホの連絡先は交換していた。それから毎日、毎晩のようにやりとりしていた。だから連絡先がわからないから送ってこられないということはない。
送ってこられないとしたら、用事で立て込んでいるとかかもしれなかった。
それから十分ほどが経った。
快は来ない。
美久ははっきりおかしい、と思った。
なにかがあったのだ。
ためらった。
待っていたほうがいいのかもしれない。だって、美久がここで待っているのは知っているだろうから。
でももうずいぶん待ったのだ。ここにずっといても無意味かもしれない。
よって美久はスマホで『どうしたの?』とメッセージを入れてから図書室を出た。
一人で帰ってしまうことはないだろうから、多分学校内にいるだろう。快がいそうな場所を探してみようと思ったのだ。
まず二年生の階へ行った。A組とD組を見てみた。そこにはいなかった。
D組には何人か男子がいたので「あの、久保田くんはいますか」と聞いてみた。
けれどいい返事はなかった。
「知らないなぁ。俺、掃除に行ってたし」
「俺もだなー」
いたひとたちからはいい情報が得られなかった。
けれど最後に「今日、部活でもあるんじゃね」と聞いて、美久は「そこかもしれない」と思った。
今日、部活がないのは知っていた。それで快が「水曜日に図書室で」と言ってくれたのだし。
でも快がいそうな場所ではある。急に部活の用事でも入ったのかもしれない。それで部室か体育館に行ったのでは。
よって「ありがとうございます」とそのひとたちにお礼を言って、美久は階段を降りた。
体育館のほうへ行ってみるつもりだった。バスケ部の部室の場所はもう知っていた。何回か待ち合せたり、迎えに行ったりしたことがあるのだ。
もうバスケ部のひとにも美久が快の彼女になったことは知られていたから、「久保田ー、彼女が来たぞー」なんてたまにからかわれてしまうのだけど。
今日もそんなふうに平和に終わるといい、と思った美久。
しかしそんなわけにはいかなかったのだ。
三十分ほどは待っただろう。
けれど快は来なかった。
おかしいなぁ、なにかあったのかな。
美久はだんだん不思議に思いはじめた。
快が約束を忘れているはずもない。だってもう毎週の習慣になっていたのだから。
だからなにか急な用事が入ったとかかもしれない。
でも美久のスマホにはなにも連絡がなかった。遅くなるとか、あるいは来られないとかなら連絡をくれるだろうに。
付き合うことになった翌日に、スマホの連絡先は交換していた。それから毎日、毎晩のようにやりとりしていた。だから連絡先がわからないから送ってこられないということはない。
送ってこられないとしたら、用事で立て込んでいるとかかもしれなかった。
それから十分ほどが経った。
快は来ない。
美久ははっきりおかしい、と思った。
なにかがあったのだ。
ためらった。
待っていたほうがいいのかもしれない。だって、美久がここで待っているのは知っているだろうから。
でももうずいぶん待ったのだ。ここにずっといても無意味かもしれない。
よって美久はスマホで『どうしたの?』とメッセージを入れてから図書室を出た。
一人で帰ってしまうことはないだろうから、多分学校内にいるだろう。快がいそうな場所を探してみようと思ったのだ。
まず二年生の階へ行った。A組とD組を見てみた。そこにはいなかった。
D組には何人か男子がいたので「あの、久保田くんはいますか」と聞いてみた。
けれどいい返事はなかった。
「知らないなぁ。俺、掃除に行ってたし」
「俺もだなー」
いたひとたちからはいい情報が得られなかった。
けれど最後に「今日、部活でもあるんじゃね」と聞いて、美久は「そこかもしれない」と思った。
今日、部活がないのは知っていた。それで快が「水曜日に図書室で」と言ってくれたのだし。
でも快がいそうな場所ではある。急に部活の用事でも入ったのかもしれない。それで部室か体育館に行ったのでは。
よって「ありがとうございます」とそのひとたちにお礼を言って、美久は階段を降りた。
体育館のほうへ行ってみるつもりだった。バスケ部の部室の場所はもう知っていた。何回か待ち合せたり、迎えに行ったりしたことがあるのだ。
もうバスケ部のひとにも美久が快の彼女になったことは知られていたから、「久保田ー、彼女が来たぞー」なんてたまにからかわれてしまうのだけど。
今日もそんなふうに平和に終わるといい、と思った美久。
しかしそんなわけにはいかなかったのだ。
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