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図書室での出会い
④
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美久の気配を感じたからかもしれない、彼がこちらを見た。別に誰か知り合いだと思ったのではなくて、単に「ひとがきた」と感じたからだろうけど。
美久はそのことに、さらにどきっとしてしまった。
男子からこんなまっすぐに見られることはそうそうない。
しかも彼は……ずいぶん整った顔立ちをしていたのだから。
目は一重ですっとしていて、涼し気に見える。
茶色の髪だって、ムースかなにかでセットしているのだろう。
ひとことで言うなら、イケメン、であった。
「なんか探してる?」
向こうも美久の制服を見て、同じ学年だと知ったのだろう。ラフな口調で話しかけてきた。
でも美久はすぐに答えられない。あまり男子と接したことがないのだ、慣れていない。
うん、とか、そうなの、とか言わないと。
思ったのに、口はなかなか動いてくれなかった。
彼がちょっと不思議そうな顔をする。でも、美久が緊張しているのはわかったらしい。
抱えた本をぎゅっと抱きしめていたからかもしれない。
安心させるように、ふわっと笑ってくれた。
「ごめんな、占領して。もう見つかったから交代するよ」
それだけ言って、一冊の本を手に、行ってしまった。
美久はほっとした。心の中で小さくため息をついてしまう。緊張がほどけたのだ。
でもすぐに罪悪感が胸に生まれる。
ちゃんと返事をするべきだったのに。まるで追い出すようにしてしまった。
こんなことじゃいけないのに。
思って、でも今から追いかけて「ごめんなさい」と言うほどのことでもないだろう。おまけにそんな勇気も出ない。
よって、美久は心の中だけで「ごめんなさい」を言い、彼の見ていたあたりの本棚へ近づいた。
美久のお目当ての小説。四巻は運よく棚にあった。五巻はないようだったけれど。
今日は四巻だけね。
心の中でまた言い、その四巻を手に取った。続きが気になっていたのだ、ぱらぱらとめくったけれど、すぐにやめた。
こんなところで立ち読みではなく、家かどこか、落ちつける場所でじっくり読みたい。
よって、もうほかのコーナーを見ようと思う。
その小説。抜けているのは五巻と、あと一巻だった。
美久のあとに誰かが借りていったらしい。
おもしろいもんね、これ。これ借りたひともきっと気に入るだろうなぁ。
そのくらいに思った。
そしてそのままその場を離れて、ゲットした四巻を借りる手続きをして、下校したのだった。
美久はそのことに、さらにどきっとしてしまった。
男子からこんなまっすぐに見られることはそうそうない。
しかも彼は……ずいぶん整った顔立ちをしていたのだから。
目は一重ですっとしていて、涼し気に見える。
茶色の髪だって、ムースかなにかでセットしているのだろう。
ひとことで言うなら、イケメン、であった。
「なんか探してる?」
向こうも美久の制服を見て、同じ学年だと知ったのだろう。ラフな口調で話しかけてきた。
でも美久はすぐに答えられない。あまり男子と接したことがないのだ、慣れていない。
うん、とか、そうなの、とか言わないと。
思ったのに、口はなかなか動いてくれなかった。
彼がちょっと不思議そうな顔をする。でも、美久が緊張しているのはわかったらしい。
抱えた本をぎゅっと抱きしめていたからかもしれない。
安心させるように、ふわっと笑ってくれた。
「ごめんな、占領して。もう見つかったから交代するよ」
それだけ言って、一冊の本を手に、行ってしまった。
美久はほっとした。心の中で小さくため息をついてしまう。緊張がほどけたのだ。
でもすぐに罪悪感が胸に生まれる。
ちゃんと返事をするべきだったのに。まるで追い出すようにしてしまった。
こんなことじゃいけないのに。
思って、でも今から追いかけて「ごめんなさい」と言うほどのことでもないだろう。おまけにそんな勇気も出ない。
よって、美久は心の中だけで「ごめんなさい」を言い、彼の見ていたあたりの本棚へ近づいた。
美久のお目当ての小説。四巻は運よく棚にあった。五巻はないようだったけれど。
今日は四巻だけね。
心の中でまた言い、その四巻を手に取った。続きが気になっていたのだ、ぱらぱらとめくったけれど、すぐにやめた。
こんなところで立ち読みではなく、家かどこか、落ちつける場所でじっくり読みたい。
よって、もうほかのコーナーを見ようと思う。
その小説。抜けているのは五巻と、あと一巻だった。
美久のあとに誰かが借りていったらしい。
おもしろいもんね、これ。これ借りたひともきっと気に入るだろうなぁ。
そのくらいに思った。
そしてそのままその場を離れて、ゲットした四巻を借りる手続きをして、下校したのだった。
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