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朗読会

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 教会での朗読会は初秋のよく晴れた日に行われた。日曜日の、朝の礼拝も終わったあとのこと。
 しかしライラが教会に行ったのは早朝から、すでに。孤児院の職員のひと。教会の管理のひと。その他のひとたちに挨拶をするために。
 とはいえ、「気を張らなくていいんですよ」「好きなように読んでください」と言ってもらえた。
 良かった、そんなに大舞台というわけじゃないんだ。
 ライラはだいぶほっとした。やっぱり緊張はしていたので。
 挨拶にはリゲルが一緒に来てくれた。
「こいつ、幼馴染なんです」
「歌を歌うのが好きで」
 言うリゲルもどこか誇らしそうで、むしろライラはそっちのほうに緊張してしまいそうになったくらいだ。リゲルのその期待に、信頼に応えられるだろうか、というところに。
 ああ、でもリゲルの紹介が『幼馴染です』じゃなくなったらいいのに、なんて欲張ったことを思ってしまう。リゲルが推薦してくれて、そして自分を連れてきてくれただけでも嬉しすぎることだというのに。
 挨拶のあとは一室を借りて、着替えた。用意してきたのは、例の『結婚式』に使ったドレスだ。オレンジ色のドレスは親類や参加者にとても好評で、でもやっぱり一番褒めてくれたのは結婚する従姉妹だった。
「ライラ、大人っぽくなったわね」
「ありがとう」
 子どものころから知られているので、成長を感じてもらえたのだろう。
 そしてそれはライラも同じだった。少し家が離れているので、年に数回しか会えないのだけど、従姉妹のお姉さんはとても綺麗になっていた。
 体型はどちらかというとライラと似たタイプかもしれない。背が高くてすらっとしているのだ。なのでウエディングドレスも着こなしていてとても綺麗。
 まぁ、胸のほうは……ライラよりふっくらとしていたけれど。
 そしてちょっと、ライラは「いいな」と思ってしまったのだけど。
 結婚式の新婦さんなんて一番忙しい立場なのだから、個人的に話す時間はあまりなかったのだけど、その中で「恋人はいないの?」とも聞かれて、ちょっと恥ずかしくなってしまった。
「い、いない、けど」
 言い淀んだライラに『好きなひとはいる』とは察されたのかもしれない。従姉妹のお姉さんはくすっと笑って、「じゃあ、色々落ち着いたらまたゆっくりお話ししましょうよ」と言ってくれた。
 そしてブーケトスのシーンでは、投げるのではなくライラに「貴女に」と渡してくれた。
「まだ少し早いかもしれないけれど。でも、ライラにしあわせがきますように」
 渡されたのは、ピンクの薔薇だった。ふんわりかわいらしいピンク色のブーケを抱きしめて、ライラは満面の笑みで「ありがとう」と言って。
 とても良い式だった。
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