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お招きディナー

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「リゲルくん、おかわりはいかが?」
「ありがとうございます。いただきます」
 ライラの母がおかわりを勧めて、リゲルはそのままそれを受けた。良く食べるのだ。そこはとても若い男性らしい。
 背こそ低めであるものの、彼の体つきは成人した男性そのままに、しっかりしていた。体を使う仕事であることも手伝っているのだろう。服を着ている上からでも筋肉が確かについているのがわかる。夏などは特に薄着になるので、固そうな筋肉の付いた腕や、くっきり浮いた筋が見えて、とても『若い男性らしさ』を感じさせる体つきだった。ライラという、若い女性の眼から見てだけでなく、きっとほかのひとから見てもとても魅力的だろう。
 本人はそれをあまり自覚していないのだろうか。背の低さばかりを気にしたことを言うのは。
 まぁそういうものかもしれない。良い点よりも、ひとつの欠点のほうが気になってしまうものだ。人間というものは。
 自分だってそうだ、とライラは思う。自分の容姿を気に入っていないとは言わないけれど、気になってしまう部分はどうしてもある。
「お花でも植えたのかしら?」
 今度リゲルに質問したのは、ライラの母だった。二切れ目のパイ包みにフォークを入れながら、リゲルは頷く。
「カーネーションの手入れをしてきたんです」
「そうなんだ。初夏のお花だからそろそろ咲くのよね」
 ふんわりとした花弁に、やわらかなぎざぎざのついた先端。華やかでありつつも、慎ましやかさも同時に持っている、ライラが好きな花だ。
「ああ。つぼみのが多かったぞ。まぁ一応、通年咲くんだけど、この時期がやっぱり一番綺麗だな」
 それならもう少ししたら咲くのだろう。そのお屋敷のカーネーションは見られないだろうが、街中や野で見られたらいいな、と思う。勿論、リゲルが手を入れたものを見たい気持ちはあったが。
「何色?」
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