上 下
14 / 46

今夜のお仕事③

しおりを挟む

「はぁっ、あ、……や、ぁ……っ、あっ!」
 今日はうしろからだった。好都合。
 俺はうしろからが好き。
 単純に男の体の構造上、うしろから入れられるのがラクというのもあるけど、一番の理由は当然。犯してくる男の顔を見なくて済むという点だ。
 男の指がうしろを弄ってくる。どうもコイツはオトコノコを抱くのに慣れているようで、上手かった。カラダ的な意味でも上客だ。
 まぁ、下手なら下手でもいいけど。
 玲也は童貞だから下手ということになっていた。俺の頭の中では。
 なのである意味そっちのほうが燃えるといえば燃えるのだった。
 ちゃんとクリームを用意してきて、それを使ってくれたのでぐちゅぐちゅと卑猥な音がたつ。体の内側を弄られてぞくぞくした。
 うしろもすっかり慣れたのでもうあんまり痛くない。だから玲也が俺を求めてきたとしても、体はそんなにつらくは……でも逆か。処女のほうがいいか。
 でも残念ながらもう、二年近く前にバックヴァージンは散らしてしまったんだな。妄想と引き換えに。
 悶々としつつうしろを慣らされて、「入れていい?」と訊かれる。
「ん、ちょうだい……ゴム、つけてね?」
 受け入れる返事をしつつも釘はさす。そういう契約だ。
 病気だけは怖かったから、ゴム無しは絶対に拒んでいたし、客に「ナマで」と渋られても話も上手い俺は、どうにか丸め込んでつけさせていた。
「ああ、ちゃんとするさ」
 今日のコイツは大人しくつけてくれた。
 やれやれ話がわかる。向こうも向こうで病気の心配はあるだろうしな。
 粘膜から感染するのだ。タチ側だってリスクは同じこと。
「いくよ、レオくん……っ」
 ちゃんとゴムの感触を感じたので安心して力を抜いたと同時。ずぐっと俺の身を太いものが貫いた。
「あ、あぁっ! お、おっき、ぃ……!」
 声を上げる。あまり演技ではなかった。
 実際に大きかった。それにキモチイイ。
 犯されるのは好き。女の子を抱くよりは、玲也に近い行為だから。
 本当はまるで近くなんてないことは、見ないふりをする。
 すぐに、ぱん、ぱんと腰が打ち付けられはじめられた。
 俺は意識してかわいく喘ぐ。
「あんっ、あん……きも、ちい……っはぁっ!」
 こう喘げば玲也はどう思うかな。女の子みたいでかわいいと思ってくれるかな。女じゃなくてもいいやとか思ってくれるかな。そうだといい。

 玲也、玲也。すき、俺のこと、だいて。

 頭の中で何度も呼ぶうちに、本当のことになる気がした。
 うしろから犯されているのだと。
 玲也が俺のことを愛して抱いてくれているのだと。
 うしろからは、はぁはぁと息遣いが聞こえてくる。名前はあまり呼ばれないので安心した。
 ぎゅっと目をつぶる。爽やかな笑顔が浮かんだ。大好きな顔だ。
「はぁんっ、あ……っ、あんっ……いい、いいよぉ……!」
 ぐりっと奥を突かれるととても気持ちいい。意識してうしろを締め付けてやる。こうしてやると気持ちいいようなので。
「うっ……レオくん……、イくよ……!」
 もう偽の名前なんて耳に入らなかった。俺もイけるように快感に集中する。
 そして、最後のひと押し。

『……璃緒。好きだ』

 頭の中で、妄想の玲也に囁かれて。
 脳だけで俺は絶頂に押し上げられた。
「あ、あぁーっ!!」
 びく、びくっと体が跳ねた。ぴしゃっと精液がシーツに落ちる。
「う……っ!」
 中で男のものもびくびくと跳ねた。ゴムのおかげでナカには入ってこない。
 ほっとした。ちゃんとイッてくれたことと、ゴムをしたというのが本当のことだったことに。
 はーっと力を抜く。いつのまにかシーツを握りしめていたようで、手がちょっと痛いことに気付いた。
「悦かったよ、レオくん……」
「ん……俺も、悦かった……」
 今日の『悦かった』は本当だった。良い妄想ができた、という意味で。
「もっかい、する……?」
 調子に乗っておねだりする。
「まだ足りないの? いやらしい子だなぁ」
「だってすげー悦かったから……ねぇ?」
 うしろをきゅっと締め付ければ、男は簡単にそれを大きくした。
 そしてまた突かれて俺はシーツを握りしめ、喘ぐ。手が痛いのにもお構いなしに。
 つぶった目の奥に大好きな顔を思い描いて。
 頭の中で玲也の名前を繰り返しながら。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

幼馴染から離れたい。

June
BL
アルファの朔に俺はとってただの幼馴染であって、それ以上もそれ以下でもない。 だけどベータの俺にとって朔は幼馴染で、それ以上に大切な存在だと、そう気づいてしまったんだ。 βの谷口優希がある日Ωになってしまった。幼馴染でいられないとそう思った優希は幼馴染のα、伊賀崎朔から離れようとする。 誤字脱字あるかも。 最後らへんグダグダ。下手だ。 ちんぷんかんぷんかも。 パッと思いつき設定でさっと書いたから・・・ すいません。

浮気をしたら、わんこ系彼氏に腹の中を散々洗われた話。

丹砂 (あかさ)
BL
ストーリーなしです! エロ特化の短編としてお読み下さい…。 大切な事なのでもう一度。 エロ特化です! **************************************** 『腸内洗浄』『玩具責め』『お仕置き』 性欲に忠実でモラルが低い恋人に、浮気のお仕置きをするお話しです。 キャプションで危ないな、と思った方はそっと見なかった事にして下さい…。

とろけてなくなる

瀬楽英津子
BL
ヤクザの車を傷を付けた櫻井雅(さくらいみやび)十八歳は、多額の借金を背負わされ、ゲイ風俗で働かされることになってしまった。 連れて行かれたのは教育係の逢坂英二(おうさかえいじ)の自宅マンション。 雅はそこで、逢坂英二(おうさかえいじ)に性技を教わることになるが、逢坂英二(おうさかえいじ)は、ガサツで乱暴な男だった。  無骨なヤクザ×ドライな少年。  歳の差。

その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました

海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。 しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。 偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。 御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。 これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。 【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】 【続編も8/17完結しました。】 「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785 ↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

君がくれた日常

青ムギ
BL
「ゲイとか気持ちわりぃ」 自分がゲイであることを隠し続けていた佳祐はある事をきっかけに、クラスメイト全員にバレてしまう。 そこからいじめが加わり、佳祐の心はズタボロだった。不登校になり、学校へのストレスが原因で病院に入院する。 その時、学校で虐められている事が両親にバレてしまい、心配した両親は父親の故郷である田舎へと佳祐を行かせた。 そこから、高校へ入り新しい生活をスタートさせようとするが、過去のいじめが原因で友達を作るどころか、教室という空間が嫌いになっていた。早く卒業したいと思いながら重い足取りで学校へ行っていたが、ある時隣の席の直也に「仲良くしよう」と言われる。佳祐は最初こそは断固拒否をしていたが、話していくにつれ、居心地の良さを感じてしまう。 一緒に居るうちに佳祐はポロッと自分はゲイであることを告げた。直也の反応は驚きだった。佳祐は激しく後悔した後に、また引きこもってしまう。 佳祐は過去を乗り越え、新しい道をスタートさせることが出来るのかー、、、、 都会育ち・佳祐と田舎人・直也の切ない恋愛ストーリー

処理中です...