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押しかけ女房高校生
①
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「美味しいですか」
ダイニングのテーブル。
今日は頬杖ではなく、自分も茶碗と箸を持っている菜月は、でもあのときと同じかそれ以上ににこにこしていた。
「ああ。この家でこんな立派な飯が食えるなんてな……」
茂は白ご飯に豚肉の生姜焼きを乗せて次々食べながら、感嘆してしまう。
土曜日、昼間。
今日は菜月が家に押しかけてきた。
休日なのだ、朝寝坊をしていた茂がインターホンで起こされて、なんだと思いつつ出てみると、エコバッグを提げた菜月がにこにこ立っていたのである。
そして昼ご飯を作ってくれた。
彼いわく、「付き合ったんですから、訪ねてきたっていいでしょう?」だそうだ。
今日のメニューは豚の生姜焼き。付け合わせは千切りキャベツとプチトマトなんてシンプルに。
ただドレッシングが手作りだった。なんというドレッシングなのかわからない、ケチャップとマヨネーズが混ぜられた、甘酸っぱいものだが野菜が新鮮なことも手伝って美味しいと感じられた。
それから味噌汁と、冷や奴。
米まで一合分、持ってきて炊いてくれた。用意周到なことだ。
これほど立派な食卓、自分で言ったように茂はだいぶ長いこと経験していなかった。ここで言うことではないが、離婚前の杏子と咲耶との食卓以来である。
ダイニングのテーブル。
今日は頬杖ではなく、自分も茶碗と箸を持っている菜月は、でもあのときと同じかそれ以上ににこにこしていた。
「ああ。この家でこんな立派な飯が食えるなんてな……」
茂は白ご飯に豚肉の生姜焼きを乗せて次々食べながら、感嘆してしまう。
土曜日、昼間。
今日は菜月が家に押しかけてきた。
休日なのだ、朝寝坊をしていた茂がインターホンで起こされて、なんだと思いつつ出てみると、エコバッグを提げた菜月がにこにこ立っていたのである。
そして昼ご飯を作ってくれた。
彼いわく、「付き合ったんですから、訪ねてきたっていいでしょう?」だそうだ。
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