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フラペチーノの甘い時間②

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 えっ、同じのが飲めるの?
 そんなのすごい、もっとデートみたい。
 そう思った浅葱だったけれど。
 先輩は今日はお店が空いていたので、すぐに注文できそうにあいていたレジ。つかつかと向かって、「さつまいもフラペチーノをふたつ、お願いします」と注文してしまった。
 浅葱は、きょとんとしてしまい、すぐにかぁっと頬が熱くなるのを感じた。
 一緒に注文してもらってしまった。同じメニューを、ふたつ。
 デート感は増すばかりである。
 もしかして、レジのお姉さんとかに「デートなのね」とか思われたりして。
 そんな妄想までしてしまって、すぐに心の中でぶんぶんと首を振った。
 それは図々しすぎる。
 図々しすぎる、けれど。
 まるでなくは、ないんじゃないかなぁ。
 なにしろ高校生の男子と女子が、一緒にいるのだ。そう見えたっておかしくはないだろう。
 胸を熱くしながら、「あちらでお待ちください」と言われて待機カウンターへ向かった蘇芳先輩を追いかけた。肩にかけていたバッグからお財布を取り出す。
「すみません、注文お任せしてしまって……650円ですよね」
 お財布を開けて、小銭をつまもうとしたのだけど、「ああ、いい、いい」と手を振られてしまって、また驚いた。
「俺が誘ったんだから、おごるよ」
 また、きょとんとしてしまった。
 おごるとは。
 いや、意味がわからないわけはないけれど。
 そしてその言葉の意味はすぐに飲み込めて、慌ててしまう。
「え!? えっ、いえいえ、そんな、悪いです!」
 そう言ったのに、蘇芳先輩は笑顔のまま。
「いいって。実は夏休みに短期バイトをしたんだよ。それが結構、収入になったから」
 それでさっさと先輩は「さつまいもフラペチーノ、おふたつ。お待たせしましたー」と、店員さんが差し出してくれたカップをふたつ持って、おまけに「さ、あっちで飲もう」とうながされてしまった。
 あわあわとしつつも、ここで無理やりお金を押し付けるのも失礼になる。
 え、え、いいのかな。こんな、誘ってもらっただけでもありがたいのに、おごってくれるなんて。
 これは夢ではないだろうか。
 浅葱にはもはや、そんなふうにしか思えなかった。
 先輩をそのまま追いかけて、「ここでいいかな」とすすめられた、窓際のカウンタ席につくしかなかったのである。
 男の子に飲み物をおごってもらったなんて、初めて、だった。
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