21 / 35
フラペチーノの甘い時間②
しおりを挟む
えっ、同じのが飲めるの?
そんなのすごい、もっとデートみたい。
そう思った浅葱だったけれど。
先輩は今日はお店が空いていたので、すぐに注文できそうにあいていたレジ。つかつかと向かって、「さつまいもフラペチーノをふたつ、お願いします」と注文してしまった。
浅葱は、きょとんとしてしまい、すぐにかぁっと頬が熱くなるのを感じた。
一緒に注文してもらってしまった。同じメニューを、ふたつ。
デート感は増すばかりである。
もしかして、レジのお姉さんとかに「デートなのね」とか思われたりして。
そんな妄想までしてしまって、すぐに心の中でぶんぶんと首を振った。
それは図々しすぎる。
図々しすぎる、けれど。
まるでなくは、ないんじゃないかなぁ。
なにしろ高校生の男子と女子が、一緒にいるのだ。そう見えたっておかしくはないだろう。
胸を熱くしながら、「あちらでお待ちください」と言われて待機カウンターへ向かった蘇芳先輩を追いかけた。肩にかけていたバッグからお財布を取り出す。
「すみません、注文お任せしてしまって……650円ですよね」
お財布を開けて、小銭をつまもうとしたのだけど、「ああ、いい、いい」と手を振られてしまって、また驚いた。
「俺が誘ったんだから、おごるよ」
また、きょとんとしてしまった。
おごるとは。
いや、意味がわからないわけはないけれど。
そしてその言葉の意味はすぐに飲み込めて、慌ててしまう。
「え!? えっ、いえいえ、そんな、悪いです!」
そう言ったのに、蘇芳先輩は笑顔のまま。
「いいって。実は夏休みに短期バイトをしたんだよ。それが結構、収入になったから」
それでさっさと先輩は「さつまいもフラペチーノ、おふたつ。お待たせしましたー」と、店員さんが差し出してくれたカップをふたつ持って、おまけに「さ、あっちで飲もう」とうながされてしまった。
あわあわとしつつも、ここで無理やりお金を押し付けるのも失礼になる。
え、え、いいのかな。こんな、誘ってもらっただけでもありがたいのに、おごってくれるなんて。
これは夢ではないだろうか。
浅葱にはもはや、そんなふうにしか思えなかった。
先輩をそのまま追いかけて、「ここでいいかな」とすすめられた、窓際のカウンタ席につくしかなかったのである。
男の子に飲み物をおごってもらったなんて、初めて、だった。
そんなのすごい、もっとデートみたい。
そう思った浅葱だったけれど。
先輩は今日はお店が空いていたので、すぐに注文できそうにあいていたレジ。つかつかと向かって、「さつまいもフラペチーノをふたつ、お願いします」と注文してしまった。
浅葱は、きょとんとしてしまい、すぐにかぁっと頬が熱くなるのを感じた。
一緒に注文してもらってしまった。同じメニューを、ふたつ。
デート感は増すばかりである。
もしかして、レジのお姉さんとかに「デートなのね」とか思われたりして。
そんな妄想までしてしまって、すぐに心の中でぶんぶんと首を振った。
それは図々しすぎる。
図々しすぎる、けれど。
まるでなくは、ないんじゃないかなぁ。
なにしろ高校生の男子と女子が、一緒にいるのだ。そう見えたっておかしくはないだろう。
胸を熱くしながら、「あちらでお待ちください」と言われて待機カウンターへ向かった蘇芳先輩を追いかけた。肩にかけていたバッグからお財布を取り出す。
「すみません、注文お任せしてしまって……650円ですよね」
お財布を開けて、小銭をつまもうとしたのだけど、「ああ、いい、いい」と手を振られてしまって、また驚いた。
「俺が誘ったんだから、おごるよ」
また、きょとんとしてしまった。
おごるとは。
いや、意味がわからないわけはないけれど。
そしてその言葉の意味はすぐに飲み込めて、慌ててしまう。
「え!? えっ、いえいえ、そんな、悪いです!」
そう言ったのに、蘇芳先輩は笑顔のまま。
「いいって。実は夏休みに短期バイトをしたんだよ。それが結構、収入になったから」
それでさっさと先輩は「さつまいもフラペチーノ、おふたつ。お待たせしましたー」と、店員さんが差し出してくれたカップをふたつ持って、おまけに「さ、あっちで飲もう」とうながされてしまった。
あわあわとしつつも、ここで無理やりお金を押し付けるのも失礼になる。
え、え、いいのかな。こんな、誘ってもらっただけでもありがたいのに、おごってくれるなんて。
これは夢ではないだろうか。
浅葱にはもはや、そんなふうにしか思えなかった。
先輩をそのまま追いかけて、「ここでいいかな」とすすめられた、窓際のカウンタ席につくしかなかったのである。
男の子に飲み物をおごってもらったなんて、初めて、だった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
全体的にどうしようもない高校生日記
天平 楓
青春
ある年の春、高校生になった僕、金沢籘華(かなざわとうか)は念願の玉津高校に入学することができた。そこで出会ったのは中学時代からの友人北見奏輝と喜多方楓の二人。喜多方のどうしようもない性格に奔放されつつも、北見の秘められた性格、そして自身では気づくことのなかった能力に気づいていき…。
ブラックジョーク要素が含まれていますが、決して特定の民族並びに集団を侮蔑、攻撃、または礼賛する意図はありません。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ウォーターヤンキーQK(ヤンキー軍団が、県大会優勝するまで)
Daasuke
青春
1980年代の実話
ある工業高等専門学校
プールも無い学校
そこにできた 水泳同好会
集まったメンバーは色々
女のにモテたい
水着が見たいから
本気の部員
ヤンキーで謹慎中スカウトされた部員
などなど
そんな高校生が
2年間で
県大会1位になるまでの
コメディ青春物語
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる