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見習い魔女の来訪
④
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「はぁー。もう上空は寒かったわ。すっかり秋ね」
もうひとくちチャイを飲んで、今度は好みの濃さだったらしくサラは満足そうにため息をついた。マグカップを両手で包んで。
「空は寒そうだな」
ノアも普段、人間のお客にするよりはフランクな口調でサラと話した。
それだけではなく片肘をついて話す。
身内なのだ。それなりに砕けた姿勢にもなる。
「でも空が本当に綺麗なのよ。夏にはないものだわ」
「それは羨ましい」
ノアの言葉には、サラはちょっと残念そうに言う。
「ノアも乗せてあげられれば良かったのにな」
サラが体重も軽い女子である以上、それは無理な話であるのだがノアは茶化した。
「遠慮しておこう。地面に落っこちるからな」
「ああ、もうまた! 酷いっ」
言い合ってノアは「悪い悪い」とくすくす笑った。
こういうものは久しぶりだ、とノアは嬉しくなってしまう。身内にしかない空気だ。
たまにはサラの家にも顔を出さないとな、と思う。
叔母にも会いたいし、血は繋がっていないが幼い頃から何度も会って世話になっている叔父にも挨拶をしたいと思う。
「そういえば、なんだかおうちの中が綺麗ね。改装でもしたの?」
きょろきょろと部屋の中を見てサラは言った。
「ああ……」
あのときのことは話したくない。
おまけにまだ年若い女子であるサラには、男に襲われかけたなど耳に入れたくもなかった。
なのでノアは言い訳を口に出した。
「先月の嵐でな。古くなってたせいだろう」
夏の台風。
確かに暴風雨が吹き荒れていた。
サラはなにも疑問に覚えなかったらしく、「そうなんだ」と言った。
「うちも大変だったよ。お母さんが窓を補強したんだけどノアもそうすれば良かったね」
「ああ、甘く見ていたんだ」
普段言い訳にしている強盗が入った云々の話も、しないほうが良いと思った。
やはり年若い女子だ。恐ろしく思ってしまうかもしれない。
ノアはこの従兄妹に対して少々過保護なところがあったので、そのように思って誤魔化してしまった。
もうひとくちチャイを飲んで、今度は好みの濃さだったらしくサラは満足そうにため息をついた。マグカップを両手で包んで。
「空は寒そうだな」
ノアも普段、人間のお客にするよりはフランクな口調でサラと話した。
それだけではなく片肘をついて話す。
身内なのだ。それなりに砕けた姿勢にもなる。
「でも空が本当に綺麗なのよ。夏にはないものだわ」
「それは羨ましい」
ノアの言葉には、サラはちょっと残念そうに言う。
「ノアも乗せてあげられれば良かったのにな」
サラが体重も軽い女子である以上、それは無理な話であるのだがノアは茶化した。
「遠慮しておこう。地面に落っこちるからな」
「ああ、もうまた! 酷いっ」
言い合ってノアは「悪い悪い」とくすくす笑った。
こういうものは久しぶりだ、とノアは嬉しくなってしまう。身内にしかない空気だ。
たまにはサラの家にも顔を出さないとな、と思う。
叔母にも会いたいし、血は繋がっていないが幼い頃から何度も会って世話になっている叔父にも挨拶をしたいと思う。
「そういえば、なんだかおうちの中が綺麗ね。改装でもしたの?」
きょろきょろと部屋の中を見てサラは言った。
「ああ……」
あのときのことは話したくない。
おまけにまだ年若い女子であるサラには、男に襲われかけたなど耳に入れたくもなかった。
なのでノアは言い訳を口に出した。
「先月の嵐でな。古くなってたせいだろう」
夏の台風。
確かに暴風雨が吹き荒れていた。
サラはなにも疑問に覚えなかったらしく、「そうなんだ」と言った。
「うちも大変だったよ。お母さんが窓を補強したんだけどノアもそうすれば良かったね」
「ああ、甘く見ていたんだ」
普段言い訳にしている強盗が入った云々の話も、しないほうが良いと思った。
やはり年若い女子だ。恐ろしく思ってしまうかもしれない。
ノアはこの従兄妹に対して少々過保護なところがあったので、そのように思って誤魔化してしまった。
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