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舞台のリゼット
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舞台のうしろ中央へたどりついた。
一瞬とまって体を落ちつけて、すぐに舞台の中央へ駆けていく。
音楽の終わりに合わせて、ピン、と手をあげて体を大きく張って、最後のポーズ。
練習していたとおりに、ぴしっと決まった。
一瞬、ホールの中は完全に無音になった。
でもすぐに音がはじけた。
大きな拍手の音だ。
リゼットを祝ってくれる拍手のように、舞台の上のリゼットには感じられた。
張りつめていた息が、はぁ、はぁ、とこぼれてくる。
成功したのだ。
やりとげたのだ。
感激の気持ちがあふれて、リゼットは舞台の前中央へサッと進んで、ていねいにおじぎをした。
見てくれてありがとう。
ナポリターナと同じ気持ちでだったけれど、その気持ちはさっきよりずっと強かった。
そしてやはり、サッと舞台の袖へ駆けていく。
客席から見えない部分へ走りこんで、はぁ、はぁ、と息をついた。
やっと心臓がばくばく跳ねてくる。
リゼットは、莉瀬に戻っていた。
夢を見たような舞台だった。
けれど、あれも確かに莉瀬だったのだ。
一瞬とまって体を落ちつけて、すぐに舞台の中央へ駆けていく。
音楽の終わりに合わせて、ピン、と手をあげて体を大きく張って、最後のポーズ。
練習していたとおりに、ぴしっと決まった。
一瞬、ホールの中は完全に無音になった。
でもすぐに音がはじけた。
大きな拍手の音だ。
リゼットを祝ってくれる拍手のように、舞台の上のリゼットには感じられた。
張りつめていた息が、はぁ、はぁ、とこぼれてくる。
成功したのだ。
やりとげたのだ。
感激の気持ちがあふれて、リゼットは舞台の前中央へサッと進んで、ていねいにおじぎをした。
見てくれてありがとう。
ナポリターナと同じ気持ちでだったけれど、その気持ちはさっきよりずっと強かった。
そしてやはり、サッと舞台の袖へ駆けていく。
客席から見えない部分へ走りこんで、はぁ、はぁ、と息をついた。
やっと心臓がばくばく跳ねてくる。
リゼットは、莉瀬に戻っていた。
夢を見たような舞台だった。
けれど、あれも確かに莉瀬だったのだ。
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