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舞台のリゼット
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一時間ほどが経って、莉瀬の本当の本番『リゼットのバリエーション』の番がせまってきていた。
小品集はだいたい年令順なので、最初は小さい子からなのだ。
なので、Bクラスの子たちの出番は小品集の演目のなかばくらい。
それなのに、待つ時間なんてあっというまだったようにも感じた。
気がつけば莉瀬は次の出番を待って、舞台の袖にいた。
前の子たち、『くるみ割り人形』の『花のワルツ』だったが、それの終わりがどんどんせまってくる。
ぎゅっと胸の前で莉瀬はこぶしを握った。
今度は一人だけの衣装。
ピンク色のロマンティックチュチュに、頭には花のかんむり。
リゼットになるための衣装。
ナポリターナがうまくいったことで自信が強くなっていた。
大丈夫。
大丈夫。
自分に言い聞かせるけれど実のところ恐れてはいなかった。
初めて舞台を一人占めするというのに。
緊張しても仕方がないかもしれないのに。
緊張は確かにあったけれど、それより落ちついた気持ちのほうが強かったかもしれないくらいだ。
ついにアナウンスで名前が呼ばれた。
さすがにどきりと心臓が跳ねる。
『リゼットより、バリエーション。白鳥 莉瀬』
照明をいったん落とされて暗い舞台。
そこへ明るい音楽がはじまった。
それを聞いて莉瀬の体は勝手に動いていた。
ひとつジャンプをはさんで、明るくなった舞台へひといきで踊り出る。
数秒、ポーズを決めてすぐに音楽に合わせてはなやかな踊りがはじまった。
小品集はだいたい年令順なので、最初は小さい子からなのだ。
なので、Bクラスの子たちの出番は小品集の演目のなかばくらい。
それなのに、待つ時間なんてあっというまだったようにも感じた。
気がつけば莉瀬は次の出番を待って、舞台の袖にいた。
前の子たち、『くるみ割り人形』の『花のワルツ』だったが、それの終わりがどんどんせまってくる。
ぎゅっと胸の前で莉瀬はこぶしを握った。
今度は一人だけの衣装。
ピンク色のロマンティックチュチュに、頭には花のかんむり。
リゼットになるための衣装。
ナポリターナがうまくいったことで自信が強くなっていた。
大丈夫。
大丈夫。
自分に言い聞かせるけれど実のところ恐れてはいなかった。
初めて舞台を一人占めするというのに。
緊張しても仕方がないかもしれないのに。
緊張は確かにあったけれど、それより落ちついた気持ちのほうが強かったかもしれないくらいだ。
ついにアナウンスで名前が呼ばれた。
さすがにどきりと心臓が跳ねる。
『リゼットより、バリエーション。白鳥 莉瀬』
照明をいったん落とされて暗い舞台。
そこへ明るい音楽がはじまった。
それを聞いて莉瀬の体は勝手に動いていた。
ひとつジャンプをはさんで、明るくなった舞台へひといきで踊り出る。
数秒、ポーズを決めてすぐに音楽に合わせてはなやかな踊りがはじまった。
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