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発表会間近
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十月に入って、学校の制服も長袖になったころ。
発表会はついに一週間後に迫っていた。
準備はもう、ばっちり、と自信を持って言える。
練習だってたくさん、たくさんした。
一度、教室のみんなで本番に使う舞台を見に行って、打ち合わせや確認もした。
広い舞台の上。
狭い教室で踊るときより大胆に動かなくては使いきれないから、みんな一度ずつ踊らせてもらって練習する。
莉瀬はそのとき戸惑ってしまった。
前回の発表会より、ずっとうまくなった自覚はある。
ということはつまり、振りつけ自体が舞台の使いかたも広く、大きくなっているのである。
特に最後の見せ場。
ピケ、ピケ、シェネ。
回転技を入れながら舞台の前中央からぐるりと半周して、うしろ中央へ、移動していく動き。
これをきれいにキメることが、リゼットのバリエーションの成功ともいえる。
つまりこの見せ場を大胆に、そしてダイナミックにおこなうことが大切なのだ。
でも本番で使う舞台での練習は一度しかおこなえない。
なので莉瀬は考えた。
自主練習の教室でこれをおこなうとき。
舞台で使うぶんと同じくらい移動できるように、教室を四角く使って回るようにしたのだ。
普段より大きく、大きく手足を動かす。
一歩でも前へ進めるように。
そんなふうに、練習も最終段階。
ちなみに、あれから隼斗くんに一度会った。
朱里たちとの騒動のときには、たくさんお世話になってしまったので、お礼をしたのだ。
ちょっとどきどきしたけれど、「お茶でもおごらせて」とカフェに行った。
カフェといっても、豪華なんてところではない普通に町中にあるカフェだけど、それでもどきどきしてしまう。
発表会はついに一週間後に迫っていた。
準備はもう、ばっちり、と自信を持って言える。
練習だってたくさん、たくさんした。
一度、教室のみんなで本番に使う舞台を見に行って、打ち合わせや確認もした。
広い舞台の上。
狭い教室で踊るときより大胆に動かなくては使いきれないから、みんな一度ずつ踊らせてもらって練習する。
莉瀬はそのとき戸惑ってしまった。
前回の発表会より、ずっとうまくなった自覚はある。
ということはつまり、振りつけ自体が舞台の使いかたも広く、大きくなっているのである。
特に最後の見せ場。
ピケ、ピケ、シェネ。
回転技を入れながら舞台の前中央からぐるりと半周して、うしろ中央へ、移動していく動き。
これをきれいにキメることが、リゼットのバリエーションの成功ともいえる。
つまりこの見せ場を大胆に、そしてダイナミックにおこなうことが大切なのだ。
でも本番で使う舞台での練習は一度しかおこなえない。
なので莉瀬は考えた。
自主練習の教室でこれをおこなうとき。
舞台で使うぶんと同じくらい移動できるように、教室を四角く使って回るようにしたのだ。
普段より大きく、大きく手足を動かす。
一歩でも前へ進めるように。
そんなふうに、練習も最終段階。
ちなみに、あれから隼斗くんに一度会った。
朱里たちとの騒動のときには、たくさんお世話になってしまったので、お礼をしたのだ。
ちょっとどきどきしたけれど、「お茶でもおごらせて」とカフェに行った。
カフェといっても、豪華なんてところではない普通に町中にあるカフェだけど、それでもどきどきしてしまう。
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