44 / 125
なにかご用事?
3
しおりを挟む
「先生? 乙津先生ですか?」
「はい」
先生になんの用事だろう。
思ったけれど、それなら別におかしなことじゃない。
それどころか、乙津先生がここの責任者なのだから、自然ともいえることだ。
「わかりました。先生、多分もういらっしゃると思うから、呼んできますね」
「すみません。ありがとうございます」
きまり悪げな様子のままの彼に、にこっと笑ってみせて莉瀬は、たたっと、階段を駆け上がった。
バレエ教室は二階なので、エレベーターを使うまでもないのだ。
すぐに教室の前へたどりつき、ドアを開けた。
「こんにちはぁ」
あいさつをすると、いつものようにフロアにいた子たちが「こんにちはー」と返してくれる。
莉瀬はちょっと中を見回して……すぐに乙津先生を見つけた。
「先生!」
莉瀬ははいていたスニーカーを脱いでくつ箱に入れて、中へ上がる。
乙津先生のもとへまっすぐに行った。
「あの、お客さんみたいです」
「あら、お客さん?」
乙津先生は当たり前のように、不思議そうな顔をした。
それはそうだろう。
お客さんなら普通に入ってくればいいのだから。
「建物の前にいらして……えっと、私と同じくらいの男の子で」
そこまで言って乙津先生は思い当たってくれたらしい。
ああ、と小さく言った。
「また……普通に入ってくればいいのにね」
ひとりごとのように言って、莉瀬に、にこっと笑ってくれる。
「ありがとう。わかったわ、行くわね」
「はい」
先生になんの用事だろう。
思ったけれど、それなら別におかしなことじゃない。
それどころか、乙津先生がここの責任者なのだから、自然ともいえることだ。
「わかりました。先生、多分もういらっしゃると思うから、呼んできますね」
「すみません。ありがとうございます」
きまり悪げな様子のままの彼に、にこっと笑ってみせて莉瀬は、たたっと、階段を駆け上がった。
バレエ教室は二階なので、エレベーターを使うまでもないのだ。
すぐに教室の前へたどりつき、ドアを開けた。
「こんにちはぁ」
あいさつをすると、いつものようにフロアにいた子たちが「こんにちはー」と返してくれる。
莉瀬はちょっと中を見回して……すぐに乙津先生を見つけた。
「先生!」
莉瀬ははいていたスニーカーを脱いでくつ箱に入れて、中へ上がる。
乙津先生のもとへまっすぐに行った。
「あの、お客さんみたいです」
「あら、お客さん?」
乙津先生は当たり前のように、不思議そうな顔をした。
それはそうだろう。
お客さんなら普通に入ってくればいいのだから。
「建物の前にいらして……えっと、私と同じくらいの男の子で」
そこまで言って乙津先生は思い当たってくれたらしい。
ああ、と小さく言った。
「また……普通に入ってくればいいのにね」
ひとりごとのように言って、莉瀬に、にこっと笑ってくれる。
「ありがとう。わかったわ、行くわね」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~
釈 余白(しやく)
児童書・童話
今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。
そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。
そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。
今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。
かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。
はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
釣りガールレッドブルマ(一般作)
ヒロイン小説研究所
児童書・童話
高校2年生の美咲は釣りが好きで、磯釣りでは、大会ユニホームのレーシングブルマをはいていく。ブルーブルマとホワイトブルマーと出会い、釣りを楽しんでいたある日、海の魔を狩る戦士になったのだ。海魔を人知れず退治していくが、弱点は自分の履いているブルマだった。レッドブルマを履いている時だけ、力を発揮出きるのだ!
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
今日の夜。学校で
倉木元貴
児童書・童話
主人公・如月大輔は、隣の席になった羽山愛のことが気になっていた。ある日、いつも1人で本を読んでいる彼女に、何の本を読んでいるのか尋ねると「人体の本」と言われる。そんな彼女に夏休みが始まる前日の学校で「体育館裏に来て」と言われ、向かうと、今度は「倉庫横に」と言われる。倉庫横に向かうと「今日の夜。学校で」と誘われ、大輔は親に嘘をついて約束通り夜に学校に向かう。
如月大輔と羽山愛の学校探検が今始まる
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
【完結】小さな大冒険
衿乃 光希(恋愛小説大賞参加しています)
絵本
動物の子供たちが、勇気を出して一歩を踏み出す、小さくても大きな冒険物語。主人公は毎回変わります。作者は絵を描けないので、あなたの中でお好きな絵を想像して読んでくださいね。漢字にルビは振っていません。絵本大賞にエントリーしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる