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帰り道で会う、気になるひと
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莉瀬の通う草鹿中学校。
入学したばかりの頃に、草鹿中学校で陸上大会があった。
大会といっても小さなもので、このあたりの中学校、何校かの代表を呼んでおこなうものだったらしい。
よくあることだ、サッカー部や野球部は、もっと頻繁にやっている。
莉瀬は陸上にはあまり興味がなかったが、親友の奈津池 立夏が「見に行きたい」……いや、「応援しに行きたい」と言ったので見に行った。
立夏が応援なんてしたいと言ったのは、当たり前のように、好きな男子が出るからである。
莉瀬は今のところ、好きな男の子というのはいなかったから、立夏のことをちょっとうらやましく思っていた。
小学校のとき、少し好きなひとはいた。
でも卒業して違う中学校になってしまったので、なんとなくその気持ちは消えてしまった。
それ以来、そういう気持ちは起こってこない。
やっぱりちょっと寂しいことだ。
なので陸上大会を見に行ったときも、陸上の様子を見るよりは、隣で立夏がこぶしを握りしめて、好きなひとの様子を見つめているかわいいところのほうが気になっていたのだけど。
「あっ、ねぇ! 次、奏太くんが走るよ!」
立夏が嬉しそうな声を上げたので、莉瀬はそちらを見た。
どうやら短距離らしい。
五十メートルか百メートルか……。
そこで目にとまったひと。
奏太くんの隣で順番を待っていた、ほかの学校の男子。
そこで莉瀬は、ぱちりとまたたきをした。
あれ、あのひとだ。
当たり前のように制服ではなく陸上をするひとがよく着る半袖シャツに短パン姿だったけれど、なんとなく顔を覚えてしまっていたし、えり足まである髪が同じだ。
陸上やってるひとだったんだ。
当たり前のように、莉瀬は初めて知った。
入学したばかりの頃に、草鹿中学校で陸上大会があった。
大会といっても小さなもので、このあたりの中学校、何校かの代表を呼んでおこなうものだったらしい。
よくあることだ、サッカー部や野球部は、もっと頻繁にやっている。
莉瀬は陸上にはあまり興味がなかったが、親友の奈津池 立夏が「見に行きたい」……いや、「応援しに行きたい」と言ったので見に行った。
立夏が応援なんてしたいと言ったのは、当たり前のように、好きな男子が出るからである。
莉瀬は今のところ、好きな男の子というのはいなかったから、立夏のことをちょっとうらやましく思っていた。
小学校のとき、少し好きなひとはいた。
でも卒業して違う中学校になってしまったので、なんとなくその気持ちは消えてしまった。
それ以来、そういう気持ちは起こってこない。
やっぱりちょっと寂しいことだ。
なので陸上大会を見に行ったときも、陸上の様子を見るよりは、隣で立夏がこぶしを握りしめて、好きなひとの様子を見つめているかわいいところのほうが気になっていたのだけど。
「あっ、ねぇ! 次、奏太くんが走るよ!」
立夏が嬉しそうな声を上げたので、莉瀬はそちらを見た。
どうやら短距離らしい。
五十メートルか百メートルか……。
そこで目にとまったひと。
奏太くんの隣で順番を待っていた、ほかの学校の男子。
そこで莉瀬は、ぱちりとまたたきをした。
あれ、あのひとだ。
当たり前のように制服ではなく陸上をするひとがよく着る半袖シャツに短パン姿だったけれど、なんとなく顔を覚えてしまっていたし、えり足まである髪が同じだ。
陸上やってるひとだったんだ。
当たり前のように、莉瀬は初めて知った。
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