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次回の発表会は……
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出てくる白鳥の名前だろうか。
でも『いっぱいいる』のだ。
一羽を指しているにしてはおかしい。
莉瀬のさらなる質問には凛もまわりの子たちもまた顔を見合わせてしまう。
「えっ、わかんない……みんな、そう呼んでるから」
「……そうなんだ。じゃ、帰って調べてみよ。ありがと」
莉瀬はお礼を言って話を終わらせた。
凛たちは元通り、帰り支度をしながらのおしゃべりに戻ってしまう。
莉瀬は制服に着がえながら『コールド』のことを考えていた。
なんでそういう名前なのかはわからないけれど、とにかくいっぱいいる白鳥たちのことなのだ。
そう、いっぱいいる。
DVDで『白鳥の湖』は見たことがあって、舞台の上には、ざっと二十人近い普通の白鳥がいたと思う。
その一羽にでもなれたらいいなぁ、とちょっと思ったのだけど、すぐに気弱な考えが浮かぶ。
さっきの子たちは「AクラスかBクラスじゃないかなぁ」と言っていたのだ。
聞くに、それなりに難しい役であるようだ。
本来の莉瀬の年令だったらなれたかもしれないけれど、なにしろ自分はまだCクラスの実力しかない。
選ばれるのは難しいだろう。
莉瀬はちょっと気落ちした。
オデットや、ほかにもちょっとした目立つ白鳥の役なんて遠すぎるけれど、そのくらいはできたらいいなぁと思ったことがある。
でもなにしろ「AクラスかBクラス」である。
莉瀬が思っていたよりずっと難しいものだったようだ。
でも『いっぱいいる』のだ。
一羽を指しているにしてはおかしい。
莉瀬のさらなる質問には凛もまわりの子たちもまた顔を見合わせてしまう。
「えっ、わかんない……みんな、そう呼んでるから」
「……そうなんだ。じゃ、帰って調べてみよ。ありがと」
莉瀬はお礼を言って話を終わらせた。
凛たちは元通り、帰り支度をしながらのおしゃべりに戻ってしまう。
莉瀬は制服に着がえながら『コールド』のことを考えていた。
なんでそういう名前なのかはわからないけれど、とにかくいっぱいいる白鳥たちのことなのだ。
そう、いっぱいいる。
DVDで『白鳥の湖』は見たことがあって、舞台の上には、ざっと二十人近い普通の白鳥がいたと思う。
その一羽にでもなれたらいいなぁ、とちょっと思ったのだけど、すぐに気弱な考えが浮かぶ。
さっきの子たちは「AクラスかBクラスじゃないかなぁ」と言っていたのだ。
聞くに、それなりに難しい役であるようだ。
本来の莉瀬の年令だったらなれたかもしれないけれど、なにしろ自分はまだCクラスの実力しかない。
選ばれるのは難しいだろう。
莉瀬はちょっと気落ちした。
オデットや、ほかにもちょっとした目立つ白鳥の役なんて遠すぎるけれど、そのくらいはできたらいいなぁと思ったことがある。
でもなにしろ「AクラスかBクラス」である。
莉瀬が思っていたよりずっと難しいものだったようだ。
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