人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

緊急派遣

5

「あー……、わりぃな……」

　インターホンを鳴らすと、秋木はすぐ出てきた。

　が、酷い有様だった。

　髪はぼさぼさ、服はヨレているし、クマもくっきりついていた。

　前回会ったときには、こんな様子じゃなかったんだけどな。

　俺は疑問に思いつつも、営業スマイルで「お疲れ様です」と挨拶して、中に入った。

　流石に急すぎる呼び出しに、悪いとは思っているらしい。

　秋木は珍しく殊勝に謝ってきて、俺はなんだか心配になった。

　こいつが疲れている様子なのは大体毎回だが、そもそも俺はそれを癒すために呼ばれているのだから、ある意味当たり前と言える。

　でも、急な予約を入れるほど酷い状態なのだ。

「大丈夫ですか？　だいぶ酷いお顔ですが」

　俺はリビングに入れられつつ聞いたのだけど、秋木は先にどかっとソファに座りながら、がしがしと頭を掻いた。

　そんな雑な仕草も、今まで見たことのないものだ。

「大丈夫なもんか。もう疲れ切った。寝たい。そんだけだ」

　吐き捨てるように言われて、俺は「そうですよね」と言わざるを得なかった。

「もう風呂もいいわ。服だけ着替えろ」

　これは本当によっぽどだ。

　俺は思い、肩にかけていたバッグを下ろした。

　中からランチクロスの包みを取り出す。

「夕飯、食べました？」

　質問すると秋木は顔をしかめた。

　不快だというより、なんでそんな質問を、という顔だ。