人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

今夜のお仕事

3

　雑談をしながら向かった先はレストラン。

　高級店、多分一見さんお断り的なところだろう。

　イタリアンのそこで、美味しいコース料理を食べて、七瀬のほうはワインなんかも飲んだ。

　そのあとは勿論、ホテルである。

　こちらだってラブホテルであるはずがない。

　しっかり予約してあったシティホテルだ。

「ミヤくんは今日も艶っぽいな。このパンツとか、脚のラインがよく見えて」

　入ってフロントで手続きをして、エレベーターに乗ってすぐに手が伸びてきた。

　俺の腿をするっと撫でてくる。

　ぴったり脚に沿う、タイトなスラックス。

　ぞくっとしたけれど、嫌悪感というより単に触れられた刺激だった。

　そもそもこうして見られて、触られることを想定して選んだ服なのだから。

「ふふ、ありがとうございます。お手当で新調したんです」

　実際は事務所からの給料で買ったのだから、七瀬からの金と断定はできないのだが、そう言っておく。

　この言い方のほうが喜ばれる。

「そうか、それじゃ今度の同伴は買い物に行こう。いい店があるんだ」

「それは嬉しいです」

　そんなやりとりの間にも、七瀬の手は腿から腰へ回ってきて、ぐっと抱き寄せてきた。

　腰を抱かれたまま一室に向かい、入って、そのあとはシャワーで……。

　もうすっかり慣れた一連の仕事。

　広くてふかふかのベッドの上、組み敷かれて小さく声を洩らしながら、俺は考えた。

　今日の仕事をもっと楽しくする方法。

　七瀬にサービスしてやるのもそうだし、俺自身が気持ちよくなれることも。

　せっかくこんな仕事をしてるんだ。

　楽しまないと損じゃないか。