人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

今夜のお仕事

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　数日後の予約日、十八時少し前。

　俺は既にきっちり支度を整えて六本木駅前、指定の場所に立っていた。

　六月も中旬。

　もうだいぶ蒸す日もあるが、今日は曇りで肌寒かったので、半袖のシャツに、薄手のカーディガンを羽織ったスタイル。

「こんにちは、お久しぶりです」

　今日はホテルからではなく同伴だったから、待ち合わせ場所で待つこと二十分近く。

　待ち合わせ相手は十分ほどの遅刻でやってきた。

　だが待つのだって仕事のうち。

　俺は怒るどころかにこっと笑ってみせた。

「ああ、ミヤくん。悪い、仕事が長引いて」

　俺をミヤくんと呼んだこの中年の男・七瀬ななせはもう三、四回、俺を指名してくれている常連だ。

　羽振りがいいようで、今日も海外製とわかるスーツを身につけている。

「いえいえ、お疲れ様です。土曜なのにお仕事大変ですね」

　簡単なやり取りをする。

　もう数回接しているから、どういう反応をされるのが好きかくらいは把握している。

　俺は好印象であろうセリフを口にした。

「ああ、あんまり曜日は関係ないからね。行こうか」

　それは気に入られたらしく、七瀬は先を指差して、俺を促す。

「はい！」

　明るく返事をしてついていく。