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日曜日はデート②

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 あのことは誰にも話していなかった。当たり前だ、幼なじみだと思っていた空に告白された、なんて誰にどう言えというのか。
 お父さんやお母さんになど話せるはずがないが、だからといって友達にも話せない。普段なら親友である李奈にまっさきに「どうしよう」と相談するところなのだけど、これに関しては無理だ。
 だって、李奈は空に片想いしているのだから。その片想い相手がつむぎに告白したなど。嫌な気持ちにさせてしまうに決まっている。
 だからつむぎは話すつもりはなかった。誰に、というか、誰にも、だ。誰に話してもややこしいことになってしまう気がする。
 でも空にはなにか言わなければいけないだろう。「好きだ」と言われてしまったのだから。自分からもちゃんと言わなければ。
 なにを言ったらいいのか……。
 そりゃあ、空と付き合うことはできないのだから「ごめんね」だ。
 けれどそれが正しいのかよくわからない。
 「恋人がいるから」という立派な理由はある。それだけで断る理由にはなると思う。
 ただ、わからなくなってしまうのは、それは自分の気持ちではないからだ。
 自分の気持ち。つまり自分はその『恋人』、いばら先輩のことをどう思っているかというのが問題なのであって。
 空と話をしているときにも考えていたけれど、好きには決まっている。そうでなければ偽装でも付き合ったりはしない。
 けれどこの『好き』に本当はどういう名前がつくのか、つむぎはだんだんわからなくなりつつあった。

 いばら先輩のことは好き……。だって素敵なひとだもの……。
 でも恋かと言われたら……そりゃあ、微笑みを向けられたり、触れられたりしたらどきどきしちゃうけど、でもそれは当たり前じゃないかな、だっていばら先輩からなんだから……。

 さらに思考がぐるぐるしてきていたのだけど。そこにふっとなにかが映った。
「おい? つむぎ?」
 ぱたぱたと目の前でなにかが揺れる。知っている声もした。
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