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恋人と幼なじみ①

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 十月もはじまり、学園祭の準備が開始された。
 百途世学園の学園祭は十一月にある。中等部と高等部が合同でおこなう、大規模なものだ。
 でもやはり上の学校である高等部がいろいろと決めて、中等部はそれに従う形になる部分が多い。よって、つむぎたちの中等部組はあまり率先してすることはないのだった。
 部活の出し物も高等部の先輩が中心になってくれるので、クラスでの出し物くらいしか集中するところはない。
 新学期になってから、何回かのホームルームでなにをしようか話し合いをしていて、少し前に飴屋さんをすることに決まっていた。
 飴屋さん。お祭りで売っているりんご飴など、ああいうものである。
 りんごはちょっと大きいので難しいかと、小粒のフルーツ、いちごやぶどうに飴をかけて固めたものを売ろうということになった。
 これもまた、焼きそば、お好み焼き、たこ焼き……そういう大物ともいえるメニューはちょっと難易度が高いので、高等部の受け持ちになっている。別の定番のカフェなども同じだ。
 だから中等部のクラスは、売り物をするにしても、準備が簡単で、失敗しても大ごとにならなくて……というような軽いものを選ぶことになっている。
 それで飴を扱うことになったわけだ。それならフルーツを用意して、砂糖を溶かして飴の液を作って、かけて固めるだけ。簡単ではないが、お好み焼きを焼くようなことに比べればずっと楽だろう。
 その受け持ちだの、フルーツや備品の仕入れだの、もしくは当日の当番だの……決めることはいくつもあって。
 実際に作ってみることも必要だった。一回でうまくできるようになるはずはないだろう。何回も練習しなければ。
 ほかに当日の飾りつけも作らなければならない。看板など大きめのものも必要だ。
 ホームルームとして何日か日中に作業日を学校のほうで確保してくれているし、部活休みの日も作られて、放課後に作業することも可能になった。
 少しずつ、学園祭のムードも気持ちも高まってくる頃。
 つむぎは手先の器用さを買われて、飾りつけ担当になっていた。
 どんな飾りつけを作るか、それにはどんな材料が必要か……まずはそういう計画。まだ計画段階で、ほかに担当になった子たちと何度も打ち合わせをしていた。
 看板は、美術部の子たちが主に担当してくれることになった。絵の具を使って文字や絵を描くのだから、美術部の子がうまく作れるだろう。
 ほかに必要なのは、飴屋さんを魅力的に見せるための飾りである。
 紙で作る花や、折り紙で作る輪繋ぎなど、簡単なもので構わないけれど、その中でも華やかに、また飴屋さんらしさが演出できるように。
 ある日の話し合いの時間に、つむぎは提案してみた。
「風船を使ったらどうかなぁ。丸くて、飴みたいな感じに見えないかなって」
 風船を膨らませて、水素を入れて浮かべるのは無理かもしれないけれど、壁の上のほうにくくりつける。
 黄色やピンクなど、飴に見えるような色を選んで……。
 つむぎが出した案を、みんな真剣に聞いてくれた。
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