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お手伝いは障子の張替え
③
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「あれは……えっと、妖怪みたいなものですか?」
思いついたことを聞いてみたけれど、「違うな」と言われてしまった。辰之助ははじめに水を塗ったところへ移動して、紙のふやけ具合を確かめている。
「妖怪……あやかしは、そりゃあ悪さもするが、時に人間を助けてくれたりもするだろ。昔っからいるもんだし。しかし妖魔は違う。悪さしかしねぇ。昨日のあの男を乗っ取ったみたいに……ああ、そういやあんたをはじめに襲ってきたあの辻斬りも多分同じだったな」
「え、そうなんですか?」
辰之助は紙をこそげ取るべくへらを手にしつつ「ああ」と言った。
「多分、憑りつかれ方が根深かったんだろうな。それで斬るしかなかったんだが。ま、死んじゃいないと思うけど」
辰之助は軽く言ったけれど、私はぞくっとした。
見てしまった赤い血と、男の叫び声が頭に蘇ってしまったのだ。
死んじゃいない、と言われたって、あれほど血を流していたのだ。ただで済んだはずがない。
いや、今はそれどころじゃない。
「そ、そうなんですね。あの、じゃあ辰さんのあの……橙色の光みたいなのは?」
私は一旦辻斬りの話を終わらせて、別のことを聞いた。
私の質問に辰之助は顔を上げて、私を見た。
そのときの視線が、どこか重いものだったので私はちょっとたじろいでしまった。
けれどすぐに笑顔に変わる。ごく普通の表情だ。
思いついたことを聞いてみたけれど、「違うな」と言われてしまった。辰之助ははじめに水を塗ったところへ移動して、紙のふやけ具合を確かめている。
「妖怪……あやかしは、そりゃあ悪さもするが、時に人間を助けてくれたりもするだろ。昔っからいるもんだし。しかし妖魔は違う。悪さしかしねぇ。昨日のあの男を乗っ取ったみたいに……ああ、そういやあんたをはじめに襲ってきたあの辻斬りも多分同じだったな」
「え、そうなんですか?」
辰之助は紙をこそげ取るべくへらを手にしつつ「ああ」と言った。
「多分、憑りつかれ方が根深かったんだろうな。それで斬るしかなかったんだが。ま、死んじゃいないと思うけど」
辰之助は軽く言ったけれど、私はぞくっとした。
見てしまった赤い血と、男の叫び声が頭に蘇ってしまったのだ。
死んじゃいない、と言われたって、あれほど血を流していたのだ。ただで済んだはずがない。
いや、今はそれどころじゃない。
「そ、そうなんですね。あの、じゃあ辰さんのあの……橙色の光みたいなのは?」
私は一旦辻斬りの話を終わらせて、別のことを聞いた。
私の質問に辰之助は顔を上げて、私を見た。
そのときの視線が、どこか重いものだったので私はちょっとたじろいでしまった。
けれどすぐに笑顔に変わる。ごく普通の表情だ。
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