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対決・道場破り

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 言われると同時、男が動いた。
「はぁっ!」
 振りかぶり、突っ込んできたが、パンッと辰之助の剣が弾いた。
 私は既に息を呑んでしまう。
 辰之助の腕が並みのものではないのは助けてくれたときに感じていたけれど、本当にそのようだ。
 パン、パンッと竹刀のぶつかりあう軽やかな音が弾けた。
 ただ、顔つきはまったく違っていた。
 両手で構え、受けては弾く辰之助は楽しそうな表情をうっすら浮かべていた。
 対して男は必死といった様子。
 力の差は歴然であった。
 が、辰之助も即座に叩きのめす、というほどではないらしい。
 自分からも打ち込み、男に受け止めさせる。
「くっ……」
 辰之助の一撃。切り込んできたそれを、斜めにした竹刀でなんとか受けて、男が顔を歪めた。
 それを見て、辰之助はにやっと笑う。
「こっちが……がら空きだぜっ!」

 パンッ!

 いい音がして、男の胴が打たれていた。
 勝負ありである。
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