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(SS)歩実:今日の雨音
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教室の窓際の席から、歩実は黒い雲に覆われた空を眺めていた。
さゆりが恨めしそうに窓の外を睨んで言う。
「降るのかなぁ……。カッパ着て自転車で帰るの面倒くさいから、帰るまでこのままが良いな」
歩実は、さゆりに微笑みかける。
「私は雨、好きなんだよね。雨の匂いも、傘に当たる音もね」
「えぇー? 歩実、変な子。どうしてそんな風になっちゃったの?」
「人を変態みたいに言わないでよ。ちゃんと理由はあるよ。言わないけどね」
そう、雨は好きだ。
小学校の入学式も、雨が降っていた。
お父さんとお母さんと一緒に、入学式の後、外食をした。雨がしとしと降る中、私はお父さんに抱っこされて、同じ傘に入っていた。その時の雨の匂いと、耳の近くで鳴り続けていた雨が傘に当たる音を、今でも覚えている。
お父さんは、その後すぐにお母さんと離婚していなくなってしまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
授業が終わり、今日は部活のない日だから、帰り支度をする。
さゆりが歩実の肩をポンと叩く。
「ねぇ、ちょっと寄っていこうよ」
「いいよ。宿題ないし」
歩実は徒歩通学だが、さゆりは自転車通学だ。
駐輪場でさゆりが自分の自転車を出していると、遂に雨がポツポツと降り出した。
「お店までは、押してくよ」
さゆりは自転車を押して、歩道を行く。歩実は肩にカバンを掛けて、左右の手にそれぞれ傘を持って歩く。
行きつけのファストフード店に入り、ポテトとシェイクを注文する。ふたりとも帰ったら多分即、夕飯だから。
「歩実、もう進路希望、出した?」
「まだだよ。今日、お母さんと相談……ケンカかも知れないけど、するつもり」
「調理専門学校にいきたいんだっけ。お父さんが料理人だったんだよね」
「そう。今はもう料理人じゃなくて、パン屋やってるらしいんだけどね」
「……全然会ってないの?」
「私が小学校に入った頃にいなくなって、それから一回も会ってないよ。……刑務所に入ってたらしいから、私に気を遣ってるんだろうね。それか、私が嫌ってると思ってるのかも。ほとんど覚えてないから、好きも嫌いもないんだけど」
そう言いながら、歩実は大きな窓の外の、激しくなってきた雨を見る。雨の線は太く、窓に大粒のしずくが当たり、重力に負けてガラスの表層を流れていく。
「でも、やっぱり雨の日に、思い出しちゃうんだよね。家族で行ったレストランのこと」
「いいな、歩実は。わたしは物心つく前にお父さんが亡くなったから、写真でしか見たことないんだ。前にも言ったかも知れないけど」
「……なんだか、ポテトとコーラのつまみに話す内容じゃないね」
ふたりは、アンマッチな取り合わせに笑った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
小降りになるのを待って、家に帰った。
アパートの2階に上がると、玄関ドアの横の閉まった窓から光が漏れていた。珍しく定時で帰れたのだろうか。ドアを開けて「ただいま」と呟く。
「おかえり。部活ない日だよね。遅かったじゃない」
歩実の母、実佳が少し疲れた顔で歩実を向いて言った。
「ポテト食べながら豪雨を凌いでたの。そのまま帰ってきたらびしょ濡れになるところだったよ」
「ハンバーガー食べてこなくてよかったわね。今日はハンバーグよ」
既に食卓には夕飯の準備が出来ていた。
「今日は早く上がれたんだね」
「繁忙期が終わったからね。しばらくは定時上がりかな」
「前もそんなこと言って、次の日から遅かったじゃない」
「今は人が足りてるから大丈夫。あの時は大変だったわねぇ」
歩実は自室でジャージに着替えて、食卓に着く。実佳は海外雑貨やら、店舗の什器やらの輸入販売の会社の課長だ。父と別れた後に入った会社で、最初は営業から初めて、今は総務課に所属している。
夕食の間に、チラチラと視線を感じて、実佳が訝しげな表情で訊く。
「何か言いたそうな顔ね。しかも言いにくそうなカンジ」
「あのね、進路希望を出さないといけないんだけど」
歩実は一度、俯いて、実佳の目を見る。
「調理専門学校に行って、調理師免許を取りたいの」
「……取って、どうするの?」
「レストランで働きたい。お父さんと最後に行ったような、ちゃんとしたレストランで働きたいの」
実佳はフォークを皿の上に置いて、リビングのサイドボードの上の写真立てを見やる。小学校の入学式に小雨の中で撮った写真。歩実が、これだけはとっておいてと捨てさせなかった。
「あなたはナポリタンを食べてたわね。口の周りに色がついて、あの人が何回も笑いながらナプキンで拭いてた」
「そうなんだ、あんまり細かくは覚えてないけど」
実佳は溜息を吐いた。
「……お父さんね、料理がとても上手だったわ。あなたがその才能を引き継いでるかは分からないけど。今は普通の大学に行ったからって、大企業に入ったからって、それで安泰っていう時代でもないからね。あなたがその道に進みたいなら、止めはしないわ」
「ホント? じゃあ……」
「でもね、外食産業は大変よ。新人が仕事を覚えるのもそうだけど、お店自体が続かないの。開店しても、数年後には無くなってる店舗がたくさん。忙しいわりに報われないことの多い仕事だってこと、分かってるよね」
歩実は、真面目顔で答える。
「それでも、やってみたい。誰かの思い出に残るような料理を、私も作りたいの」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あれから3日間、雨は降り続いている。
土曜日の午後、歩実とさゆりは、カフェで一緒に宿題をしていた。
歩実が窓に当たる細かい雨粒を眺めているのを見て、さゆりが微笑む。
「お父さんのこと、思い出してるの?」
「進路を決めたら、お父さんのこと考えなくなるかと思ってたけど、そんなことなかったみたい。やっぱり思い出しちゃうなぁ」
「……ねぇ、会いに行ってみたら?」
さゆりの提案に、歩実は驚いた顔をする。
「だって歩実、お父さんの居場所知ってるんでしょ。だったら会いに行って、私も料理人になるって伝えればいいじゃない。お父さん、喜ぶかも知れないよ」
「今更、私の顔も覚えてないでしょ。もう10年も会ってないんだよ」
さゆりは、歩実の右手を両手で握る。
「わたしは、会いたくても、もう会えないの。わたしも一緒に行くよ。だから、行こうよ」
「さゆり……」
怖い。お父さんに会って、昔のあの思い出が壊れるのが怖い。もし誰かと再婚して幸せそうにしてたら? 昔みたいなカッコ良いお父さんじゃなくなってたら? いまさら勝手に来るなって嫌がられたら?
それで歩実は気付いた。
あの時の父の姿のまま、ずっと自分の頭の中に冷凍保存しておきたかったのだ。解凍して、他の姿になるのを恐れていた。10年で変わらないわけがない。その変化を自分の中で理解できる自信もないし、進路への決意も揺らいでしまうかも知れない。
歩実の眉を顰めた複雑な表情を覗いて、さゆりは続ける。
「じゃあさ、まずわたしだけで見てくるよ。ここでしょ、歩実のお父さんのパン屋さん」
スマホの地図アプリに、歩実の父のパン屋の外観が映る。
「そこだけど、えっ、さゆりが行くの?」
「うん。ちょっと見てくるよ。ついでにこのレビューに書いてある超美味いっていうクロワッサン買ってきてあげる」
善は急げとばかりに、さゆりは傘を持ってカフェを出て行く。
すぐに歩実も、傘を持って店を出る。傘をさして小走りで駆けていくさゆりを追いかけながら、大声を上げる。
「さゆり! なんで急にこんなことするの?!」
「青春、青春! 雨なんか、わたしたちの元気で吹き飛ばしちゃおうよ!」
「意味分かんない! 私、全然、心の準備出来てないよ!」
さゆりが小走りのまま、満面の笑顔で叫ぶ。
「10年も準備してきたじゃない! 今日のためにさ!」
その時、雨が本降りになった。ふたりは近くのバス停に避難する。
バス停の屋根に当たる雨の音は大きく、道に勢い良く落ちてはねて来た水滴が靴を濡らす。
「着いたらずぶ濡れだよ。恥ずかしいよ」
「今日会えないなら、もう一生会えないかもよ。それでも諦める?」
さゆりの問いに、歩実は真っ直ぐ前を見つめる。
「ううん。私は会いたい。本当は、ずっと会いたかった」
「じゃあ、行こうよ」
さゆりは手を差し出す。
歩実は少し戸惑って、さゆりの手を取った。
ふたりは頷き、大粒の雨が降りしきる中、もう一度歩き出した。
<歩実 今日の雨音:終>
さゆりが恨めしそうに窓の外を睨んで言う。
「降るのかなぁ……。カッパ着て自転車で帰るの面倒くさいから、帰るまでこのままが良いな」
歩実は、さゆりに微笑みかける。
「私は雨、好きなんだよね。雨の匂いも、傘に当たる音もね」
「えぇー? 歩実、変な子。どうしてそんな風になっちゃったの?」
「人を変態みたいに言わないでよ。ちゃんと理由はあるよ。言わないけどね」
そう、雨は好きだ。
小学校の入学式も、雨が降っていた。
お父さんとお母さんと一緒に、入学式の後、外食をした。雨がしとしと降る中、私はお父さんに抱っこされて、同じ傘に入っていた。その時の雨の匂いと、耳の近くで鳴り続けていた雨が傘に当たる音を、今でも覚えている。
お父さんは、その後すぐにお母さんと離婚していなくなってしまった。
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さゆりが歩実の肩をポンと叩く。
「ねぇ、ちょっと寄っていこうよ」
「いいよ。宿題ないし」
歩実は徒歩通学だが、さゆりは自転車通学だ。
駐輪場でさゆりが自分の自転車を出していると、遂に雨がポツポツと降り出した。
「お店までは、押してくよ」
さゆりは自転車を押して、歩道を行く。歩実は肩にカバンを掛けて、左右の手にそれぞれ傘を持って歩く。
行きつけのファストフード店に入り、ポテトとシェイクを注文する。ふたりとも帰ったら多分即、夕飯だから。
「歩実、もう進路希望、出した?」
「まだだよ。今日、お母さんと相談……ケンカかも知れないけど、するつもり」
「調理専門学校にいきたいんだっけ。お父さんが料理人だったんだよね」
「そう。今はもう料理人じゃなくて、パン屋やってるらしいんだけどね」
「……全然会ってないの?」
「私が小学校に入った頃にいなくなって、それから一回も会ってないよ。……刑務所に入ってたらしいから、私に気を遣ってるんだろうね。それか、私が嫌ってると思ってるのかも。ほとんど覚えてないから、好きも嫌いもないんだけど」
そう言いながら、歩実は大きな窓の外の、激しくなってきた雨を見る。雨の線は太く、窓に大粒のしずくが当たり、重力に負けてガラスの表層を流れていく。
「でも、やっぱり雨の日に、思い出しちゃうんだよね。家族で行ったレストランのこと」
「いいな、歩実は。わたしは物心つく前にお父さんが亡くなったから、写真でしか見たことないんだ。前にも言ったかも知れないけど」
「……なんだか、ポテトとコーラのつまみに話す内容じゃないね」
ふたりは、アンマッチな取り合わせに笑った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
小降りになるのを待って、家に帰った。
アパートの2階に上がると、玄関ドアの横の閉まった窓から光が漏れていた。珍しく定時で帰れたのだろうか。ドアを開けて「ただいま」と呟く。
「おかえり。部活ない日だよね。遅かったじゃない」
歩実の母、実佳が少し疲れた顔で歩実を向いて言った。
「ポテト食べながら豪雨を凌いでたの。そのまま帰ってきたらびしょ濡れになるところだったよ」
「ハンバーガー食べてこなくてよかったわね。今日はハンバーグよ」
既に食卓には夕飯の準備が出来ていた。
「今日は早く上がれたんだね」
「繁忙期が終わったからね。しばらくは定時上がりかな」
「前もそんなこと言って、次の日から遅かったじゃない」
「今は人が足りてるから大丈夫。あの時は大変だったわねぇ」
歩実は自室でジャージに着替えて、食卓に着く。実佳は海外雑貨やら、店舗の什器やらの輸入販売の会社の課長だ。父と別れた後に入った会社で、最初は営業から初めて、今は総務課に所属している。
夕食の間に、チラチラと視線を感じて、実佳が訝しげな表情で訊く。
「何か言いたそうな顔ね。しかも言いにくそうなカンジ」
「あのね、進路希望を出さないといけないんだけど」
歩実は一度、俯いて、実佳の目を見る。
「調理専門学校に行って、調理師免許を取りたいの」
「……取って、どうするの?」
「レストランで働きたい。お父さんと最後に行ったような、ちゃんとしたレストランで働きたいの」
実佳はフォークを皿の上に置いて、リビングのサイドボードの上の写真立てを見やる。小学校の入学式に小雨の中で撮った写真。歩実が、これだけはとっておいてと捨てさせなかった。
「あなたはナポリタンを食べてたわね。口の周りに色がついて、あの人が何回も笑いながらナプキンで拭いてた」
「そうなんだ、あんまり細かくは覚えてないけど」
実佳は溜息を吐いた。
「……お父さんね、料理がとても上手だったわ。あなたがその才能を引き継いでるかは分からないけど。今は普通の大学に行ったからって、大企業に入ったからって、それで安泰っていう時代でもないからね。あなたがその道に進みたいなら、止めはしないわ」
「ホント? じゃあ……」
「でもね、外食産業は大変よ。新人が仕事を覚えるのもそうだけど、お店自体が続かないの。開店しても、数年後には無くなってる店舗がたくさん。忙しいわりに報われないことの多い仕事だってこと、分かってるよね」
歩実は、真面目顔で答える。
「それでも、やってみたい。誰かの思い出に残るような料理を、私も作りたいの」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あれから3日間、雨は降り続いている。
土曜日の午後、歩実とさゆりは、カフェで一緒に宿題をしていた。
歩実が窓に当たる細かい雨粒を眺めているのを見て、さゆりが微笑む。
「お父さんのこと、思い出してるの?」
「進路を決めたら、お父さんのこと考えなくなるかと思ってたけど、そんなことなかったみたい。やっぱり思い出しちゃうなぁ」
「……ねぇ、会いに行ってみたら?」
さゆりの提案に、歩実は驚いた顔をする。
「だって歩実、お父さんの居場所知ってるんでしょ。だったら会いに行って、私も料理人になるって伝えればいいじゃない。お父さん、喜ぶかも知れないよ」
「今更、私の顔も覚えてないでしょ。もう10年も会ってないんだよ」
さゆりは、歩実の右手を両手で握る。
「わたしは、会いたくても、もう会えないの。わたしも一緒に行くよ。だから、行こうよ」
「さゆり……」
怖い。お父さんに会って、昔のあの思い出が壊れるのが怖い。もし誰かと再婚して幸せそうにしてたら? 昔みたいなカッコ良いお父さんじゃなくなってたら? いまさら勝手に来るなって嫌がられたら?
それで歩実は気付いた。
あの時の父の姿のまま、ずっと自分の頭の中に冷凍保存しておきたかったのだ。解凍して、他の姿になるのを恐れていた。10年で変わらないわけがない。その変化を自分の中で理解できる自信もないし、進路への決意も揺らいでしまうかも知れない。
歩実の眉を顰めた複雑な表情を覗いて、さゆりは続ける。
「じゃあさ、まずわたしだけで見てくるよ。ここでしょ、歩実のお父さんのパン屋さん」
スマホの地図アプリに、歩実の父のパン屋の外観が映る。
「そこだけど、えっ、さゆりが行くの?」
「うん。ちょっと見てくるよ。ついでにこのレビューに書いてある超美味いっていうクロワッサン買ってきてあげる」
善は急げとばかりに、さゆりは傘を持ってカフェを出て行く。
すぐに歩実も、傘を持って店を出る。傘をさして小走りで駆けていくさゆりを追いかけながら、大声を上げる。
「さゆり! なんで急にこんなことするの?!」
「青春、青春! 雨なんか、わたしたちの元気で吹き飛ばしちゃおうよ!」
「意味分かんない! 私、全然、心の準備出来てないよ!」
さゆりが小走りのまま、満面の笑顔で叫ぶ。
「10年も準備してきたじゃない! 今日のためにさ!」
その時、雨が本降りになった。ふたりは近くのバス停に避難する。
バス停の屋根に当たる雨の音は大きく、道に勢い良く落ちてはねて来た水滴が靴を濡らす。
「着いたらずぶ濡れだよ。恥ずかしいよ」
「今日会えないなら、もう一生会えないかもよ。それでも諦める?」
さゆりの問いに、歩実は真っ直ぐ前を見つめる。
「ううん。私は会いたい。本当は、ずっと会いたかった」
「じゃあ、行こうよ」
さゆりは手を差し出す。
歩実は少し戸惑って、さゆりの手を取った。
ふたりは頷き、大粒の雨が降りしきる中、もう一度歩き出した。
<歩実 今日の雨音:終>
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