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第二章
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警察官が来てくれたものの、既に元夫はいなくなっていた。追いかけてくれた警備員さんも戻ってきていた。
「すみません、途中で見失ってしまいました」
「全然大丈夫ですよ」
あんなに、すぐ行ってくれていたのに。疑念感が拭えない。頭の中がモヤモヤしていて、何だか違和感を覚えている。
「あの、被害届だけ、出しても良いでしょうか?」
「署まで来ていただければ可能です」
パトカーで警察署まで連れて行ってもらい、わたしは被害届を提出した。
家に帰っても、怒りと絶望が同時に押し寄せてきた。涙が出てくると言うより、悔しくてやりきれなくて、地団駄を踏みたい感情に近い。何としてでも娘を見つけ出さなきゃ。
ブロック欄から元旦那を見つけて解除した。チャットを送ってみても、既読すら付かない。連絡をすると、返事は来ない。電話をかけてみると、すぐに出てくれた。
「莉子のこと、知らないよね? 何もしてないよね」
「なんのこと? そもそも仕事中だから、そんなことできない」
おかしい。たしかに元旦那の姿だったのに。何があったのだろう。わたしの頭がおかしくなってしまったのか。
しばらく、悶々とする日々が続いていた。
自分でも思い当たるところを探してみたけれど、見当たらない。途方に暮れて、倉敷駅前通りの交番を訪れた。
「以前に娘のことで捜索願を出した秋月ですが、現在はどのような状況でしょうか?」
若い警察官が出てきた。通報のときに来てくれた人だ。書類を見ながら、思慮深い表情で考え込んでいる。
「捜索はしてるんですけど、なかなか証拠品も見つかってない状況です」
「そうですか」
やはり警察に相談しても、どうしようもなかった。交番を出て、駅前を落ち込みながら歩いていた。正義感の気力だけで動けている。
(とにかく、莉子を助けなきゃ……。警察を頼れないとなると、わたしだけで探すしかないのか)
気分が沈みつつも、責任感だけが付きまとっていた。家に帰ったらポスターでも作ろうかな。そう思いながら、警察署の前で肩を落としながら意気消沈しながら歩いていた。
自分のお腹がぎゅるぎゅると鳴って、昼ご飯を食べてなかったなと気が付く。そこで、公園に座って朝食用に買っていた菓子パンを食べることにした。
きれいな夕日が雲に隠れていて、どんよりとした気持になる。パンから目を離した隙に、鷹が飛んできて、わたしのパンを奪っていった。
「ちょっと待って!」
追いかけていくけれど、鷹のスピードには負けてしまった。手にはかじられて中途半端に千切れた菓子パンだけが残っている。今日はうまくいかないな。
こんな日もあるかな。気持が全く切り替えられず、気分が落ち込む一方だった。ふと前を見てみると神社が見えた。入口付近に看板が出ている。
「お祓い受付中……?」
(根本的な解決にはならないかもしれないけれど、気晴らしにはいいかも)
弥生は神社の境内に入った。お正月にしか来たことがなかったから、あまりの静けさと本殿の大きさに恐れおののいている。
しばらく歩くと、目立つ案内看板が目に付いた。受付に到着すると、高校生ぐらいで金髪の若い女性がいた。
(神社なのに、こんな若い子でしかも派手髪のひともいるのか)
驚きながらも静かに声をかけた。
「すみません。お祓いをお願いしたいのですが」
「分かりました。こちらに来られるのは初めてでしょうか?」
意外にも、しっかりと対応してくれて安心した。
「はい、そうです」
「では、軽くご説明しますね。」
受付の奥にある建物のふすまを開けてくれた。どれを選んでも同じだろうと感じたから、真ん中にあるスリッパに足を通した。
「おじいちゃーん、ちょっと来て」
「すみません、途中で見失ってしまいました」
「全然大丈夫ですよ」
あんなに、すぐ行ってくれていたのに。疑念感が拭えない。頭の中がモヤモヤしていて、何だか違和感を覚えている。
「あの、被害届だけ、出しても良いでしょうか?」
「署まで来ていただければ可能です」
パトカーで警察署まで連れて行ってもらい、わたしは被害届を提出した。
家に帰っても、怒りと絶望が同時に押し寄せてきた。涙が出てくると言うより、悔しくてやりきれなくて、地団駄を踏みたい感情に近い。何としてでも娘を見つけ出さなきゃ。
ブロック欄から元旦那を見つけて解除した。チャットを送ってみても、既読すら付かない。連絡をすると、返事は来ない。電話をかけてみると、すぐに出てくれた。
「莉子のこと、知らないよね? 何もしてないよね」
「なんのこと? そもそも仕事中だから、そんなことできない」
おかしい。たしかに元旦那の姿だったのに。何があったのだろう。わたしの頭がおかしくなってしまったのか。
しばらく、悶々とする日々が続いていた。
自分でも思い当たるところを探してみたけれど、見当たらない。途方に暮れて、倉敷駅前通りの交番を訪れた。
「以前に娘のことで捜索願を出した秋月ですが、現在はどのような状況でしょうか?」
若い警察官が出てきた。通報のときに来てくれた人だ。書類を見ながら、思慮深い表情で考え込んでいる。
「捜索はしてるんですけど、なかなか証拠品も見つかってない状況です」
「そうですか」
やはり警察に相談しても、どうしようもなかった。交番を出て、駅前を落ち込みながら歩いていた。正義感の気力だけで動けている。
(とにかく、莉子を助けなきゃ……。警察を頼れないとなると、わたしだけで探すしかないのか)
気分が沈みつつも、責任感だけが付きまとっていた。家に帰ったらポスターでも作ろうかな。そう思いながら、警察署の前で肩を落としながら意気消沈しながら歩いていた。
自分のお腹がぎゅるぎゅると鳴って、昼ご飯を食べてなかったなと気が付く。そこで、公園に座って朝食用に買っていた菓子パンを食べることにした。
きれいな夕日が雲に隠れていて、どんよりとした気持になる。パンから目を離した隙に、鷹が飛んできて、わたしのパンを奪っていった。
「ちょっと待って!」
追いかけていくけれど、鷹のスピードには負けてしまった。手にはかじられて中途半端に千切れた菓子パンだけが残っている。今日はうまくいかないな。
こんな日もあるかな。気持が全く切り替えられず、気分が落ち込む一方だった。ふと前を見てみると神社が見えた。入口付近に看板が出ている。
「お祓い受付中……?」
(根本的な解決にはならないかもしれないけれど、気晴らしにはいいかも)
弥生は神社の境内に入った。お正月にしか来たことがなかったから、あまりの静けさと本殿の大きさに恐れおののいている。
しばらく歩くと、目立つ案内看板が目に付いた。受付に到着すると、高校生ぐらいで金髪の若い女性がいた。
(神社なのに、こんな若い子でしかも派手髪のひともいるのか)
驚きながらも静かに声をかけた。
「すみません。お祓いをお願いしたいのですが」
「分かりました。こちらに来られるのは初めてでしょうか?」
意外にも、しっかりと対応してくれて安心した。
「はい、そうです」
「では、軽くご説明しますね。」
受付の奥にある建物のふすまを開けてくれた。どれを選んでも同じだろうと感じたから、真ん中にあるスリッパに足を通した。
「おじいちゃーん、ちょっと来て」
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