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SOS
しおりを挟むカチャリとドアが開き数人の男達が座敷に
入ってくる。
新たなの悪夢の始まりが数人の男……。
この人数では最初から狂わされてしまう。
まだほんの少し保っている正気の片隅で
そう思いながらも、これから始まる事に
性奴隷と化した体が疼き蜜が滴り、
男を誘う濃厚な花の香りが部屋に漂い始める。
ひとたびその香りを嗅いだ男達は、
こぞって服を脱ぎ実桜の体を嘗め回し、
1人がその体を貫き、もう1人は乳*をギュッと
摘み上げ、実桜を官能の奈落に落としていく。
こうなったらもう実桜にはただ喘ぎ、
奥の奥までめちゃくちゃにかき回して
性を叩きつけて欲しいという欲求に
支配されるだけだった……。
相変わらず実桜は、
自分がこの施設へ連れて来られた真の理由を
知らぬまま、検査・実験に明け暮れる毎日を
過ごしていた。
が、そんなある日。
不意に本当の両親と幸せに暮らしていた幼少期の
思い出(記憶)が夢で蘇り、実桜を愕然とさせた。
夢の中の幼い――おそらく4才位の実桜は、
自宅らしい邸宅の中庭で、ぐったりとした仔犬を
その胸にかき抱きながらさめざめとすすり泣いて
いた。
可愛がっていた仔犬が野犬に襲われ死んでしまった
のだ。
『ごめんね、チロ……ホントにごめ……神様、
お願いです、チロを ――』
その言葉の途中で、家の中から母親らしい
女性が何故か? 血相を変え実桜に向かって
走ってきた。
『実桜っ!!』
さっきまで、さめざめと泣いていた実桜の顔に
涙はない。
何故か? って……それは ――
死んだはずの愛犬・チロは実桜の胸元から元気よく
飛び降り、庭中を走り回り出したのだ。
「ママ、見て 見て。チロ、元気になったよ」
そう、無邪気に微笑む娘に母は愕然と立ち止まった
実桜の母方の女系家族にのみ代々受け継がれる
という異能は”治癒能力”
しかも実桜の場合、その能力が与えられるのは
触れたモノにだけでなく。
血液・唾液・分泌液などの体液からも、その能力が
与えられるとされ。
おまけに能力開発には異性との性交渉が
必要不可欠な為。
連日のよう、男性職員や研究員達の研究材料と
なる他、慰みモノにもされていた。
絶滅危惧種のΩでもある実桜は
数十人の男に抱かれ続け、
発情期が終わった時には疲労困憊で数日間は
起き上がれない状態となるが、これもこの遊郭に
来てからは常の事だった。
その間に性病や妊娠の有無の検査が行われ、
問題なしという結果が出れば、
次の発情期までは自室での自由時間が許される。
幸い実桜はまだ未経験だが、
避妊薬を飲んでいても妊娠してしまうシニアや
サポーターもいて、妊娠が発覚したそれらには
堕胎薬が投与される。
堕胎薬の効果は覿面だが、投与された者は
死んだ方がましだと思えるほどの苦痛に襲われ、
中にはそのままショック死してしまう者もいる。
実桜の検査結果は今回も問題なく、
再び自室で過ごす事となった。
しばらくすると食事が定期的に運ばれ、
それらを機械的に口にする。
発情期には不特定多数の男を相手し、
自身の事を気軽に相談出来る友もいない。
息の詰まりそうなこの生活にいつまで耐える事が
できのだろう……。
まだ早い時間だが何もする事のない実桜は
ベッドに横たわる。
再び涙があふれ出し、
枕に顔を伏せ声を押し殺して泣く。
このまま朝を迎えずに死ねたらいいのに……。
ここへ来てからというもの、
何度考えたか分からない。
ここ最近はその事ばかりを切望しながら
泣きつかれた実桜はそのまま眠りについた。
『神よ ―― もしあなたが本当に御座(おわ)す
なら、なるべく早くこの私をその御許(みもと)
へお導き下さい』
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